七百五十二生目 仕掛
私の気迫は私が普段自身の気配を弱く見せている技術に起因する。
それを一瞬だけ特定方向に
叫びと解放して共にぶつける。
技術の応用というやつだ。
鋭く刺すような気迫はうまく使えば相手の攻撃をズラシたり踏み込むのを抑えたりできる。
彼等が戦闘も出来ない者なら泡吹いて倒れるぐらいのものではある。
特にニンゲンは駄目だろう。
ただそこは既に死んでいる幽霊魔物でなおかつ上位。
ためらったりは見せるもののじゃあそれで襲いかかりが止んだりはしない。
なんならお返しに邪気念が飛んでくる。
2コンボくらいなら耐えて来るなあ。
焦るが焦りは禁物。
ちゃんと戦い抜けば負けるような試合じゃない。
今全体から狙われて6つくらい各方面から黒やら赤やら黄色の砲撃が飛んできているけれど。
落ち着いて空に浮かんで!
「よっし!」
「やったか!?」
"影分身回避・空"自動発動。
1回だけなら無償で避けられる。
しかも影だけ残すからまるで当たった手応えがあるだよね。
エネルギー余波で煙が舞っている中から奇襲で火魔法"ヒュージフレイム・アレンジ"!
普段は投げられるボールかそれ以下の大きさである"フレイムボール"を巨大化して1撃に重さを置いたのが"ヒュージフレイム"。
その炎をどうアレンジしたかというと。
「なんだ!? 火の玉が突っ込んでくる!」
青白い巨大火球IN私!
しかもそのまま体当たりまでしちゃう。
普通の火ならば私が体当たりしたら炎をまとって熱い私がぶつかることになる。
しかし今は現象を魔法物質化というものをしているため炎は私の重みと共に相手を焼き切ろうと熱い塊としてゴムまりみたいに衝突!
「ぎゃあああ!!」
「うわこっちくるなパスパス!」
「次は誰が餌食になる!?」
こうして乗っかるようにガリガリ熱してやれば本来すぐに消えるはずの炎が大打撃を浴びせていく。
よしとりあえず2体くらい伸ばした!
3体体当りしたあたりで与えていた魔力が切れて炎が途絶える。
霊体すら荼毘に付すという有効打だがやはり1発見ると相手の動きが一気に変わってきてしまう。
具体的に言えば並んだ。
それだけで誰かに飛びつく間に周りからボコボコにされるんだよね。
ただ並んでくれたならそれはそれで準備すればやりようがある。
そしてなにより私の間合いだ! そして何体いるんだほんと!
イバラたちを……伸ばす!
「来たぞ!」
イバラはそれ1つで相手を翻弄できるのに並んだことで効率よくしばける。
1つ1つに意識をさいて効率よく動かすのはドライがとてもうまい。
私は魔法を練り上げアインスはトリッキーに動きつつ全員を翻弄するようにイバラの細かな動きを振るう。
(さあさあ、当てられるかな! そっちいった!)
(逃がすか! "なぎ払い"と"連牙"そして"龍螺旋"!)
イバラが一直線に薙ぎ払ったあと連続で2回素早く振るわれたかと想いきやいつの間にか舞っていた他のイバラたちが襲いかかる。
相手がガードした上から打ち据えてそのあと2回爆発である。
爆発はガードではどうしようもなく吹っ飛ぶ!
めちゃくちゃ攻撃が来ているけれど流れ弾の被弾以外はほぼ抑えている。
さすがアインスだ。
魔法も出来上がった!
"パニッシュメント・アレンジ"!
本来は高く飛び上がってから相手に極光が落ちるという屋外専用魔法。
ちなみに飛び上がるときに破壊力はないので天井にぶつかると消えます……
その向きをグルっと変えた。
横向きに素早く動いて横1列並んでいるところに何発も落ちていく。
連続なのは"二重詠唱"とズレた相手にも当てたいため魔力過剰供給して火力より手数を上げた。
効率よくエネルギー過剰供給……割とできるようになってきたはず。
横向きに落ちる極光は亜音速である速度を維持したままエネルギーの塊なため貫通し列へ被害を与えていく。
警戒すべきものが増えたせいでより意識が割かれ……
さっき危険だと思っていたやつを避けきれない。
聖魔法とかモンスターハウスにいる幽霊魔物はほぼ苦手だ。
逆に明るい環境にいる幽霊魔物はこういうのより暗黒的な魔法のほうが効いたりする。
まあ少なくとも今だいたいの魔物に当てたが5体ぐらい目を回している。
「うっ、ググぅ……! いかん! もっと呼べ!」
「ええっ、アイツラも!?」
「やべぇって、むしろ三つ巴になるって!」
「ぎゃああああ!!」
「選択肢がないぞー!」
あっなんか何名か外に逃げていった!
モンスターハウスからは出ていないようだけど他と合流しだしたか!
向こうに剣ゼロエネミーぶん投げておくのはやはり正解だったか。
ほんと事前知識がないとあっという間に詰むだろうなあモンスターハウス。
仕掛ける側から直接話を聞いてきたからすごく有用だ。




