七百五十一生目 閃光
封魔石の効果は見ていたらすぐにわかった。
彼等ヤジロウたちが石の中へと凄まじい勢いで吸い込まれていく。
やがて気持ちのいい吸い取り音と共に消えてしまった。
封魔石が怪しく輝いている……
こうして弱った霊的存在を捉えられるのだ。
ちなみに1度中に入ったら強固なブロックがされるらしいのでどちらかといえば拘束みたいな類。
優しく入れておけるものではない。
さっさと次へいってしまおう!
もうこういう時は勢いのほうが大事である。
彼等に逃げられたら大変だ。
扉を開きっ! バックステップ!
私の開いた扉ごと爆発した!
私は後ろへ跳んだことにより平気。
いやさあ爆破トラップはもうドッキリじゃないじゃん!
つまり向こうも殺るき十分ということか。
一瞬でここを制圧したせいで向こうも立ち位置を変えたらしい。
凄まじいまでの殺気は向こうの部屋から感じるのに爆発の音が耳の奥に残るだけであとはあまりにも静か。
不気味だ。
しかし挑まねばならない。
聖魔法"ブリンクスター・アレンジ"!
2つの光弾がクルクルとうねりながら向こうの部屋の方へと飛んでいく。
部屋の中で爆発し一気に閃光が輝いて。
「「なんだぁ!?」」
「はああぁーー!!」
今だ!
私は雄叫びを上げながら突っ込む。
場の空気は洗浄された光が満たしたままだ。
これがアレンジの力。
空に輝く2つの星は一瞬の輝きではなく長い光を放つ。
そして実体がなくて探りにくい魔物たちをあぶり出す!
これの利点はこちらに有利なあぶり出し状態を維持できること。
出るわ出るわ幽霊の魔物たち!
もはやいちいち脳内解説している暇はない!
まず走りながら全体に対して2丁拳銃ビーストセージで乱射。
一気に接近しつつ跳んで机の上にのり天井のシャンデリア付近まで跳ぶ。
シャンデリアに飛び乗って生えている幽霊を踏みつける。
爪でバリバリ引き裂きつつイバラを展開しシャンデリアの接続部にに巻きつける。
飛んでくる毒の針を跳んで避けつつシャンデリアで勢いをつけ。
思いっきり揺れて周囲に迫ってきていた幽霊たちを巻き込む!
「うわぁ!?」
「あ、当たらない!」
「やべっ、透過できぶっ!」
「巻き込まれるぞ! あの光が邪魔だ!」
射撃でひとりも静かにならない時点で相当強いなあ。
今引っ掻いたやつも起き上がった。
物理耐性を光魔法のエンチャントで貫通しているはずだから単純に生命力……生命……? とにかくそれが多いか硬い。
それによく見ると被弾を出来得る限り少なくしている。
やっぱ上位魔物は戦いを手慣れている。
単なる力量差以上に技量がある!
ただしそれは集団戦に優れているということとはイコールではない。
むしろ普段からそれ相応に争う間柄。
さっきからよく見ると互いに射線上に入って当たってしまうだの身体の配置が互いに邪魔だのとこちらを攻めきれていない。
そういうところへ私は魔法を落としていく。
地魔法"スパイクロック・アレンジ"!
尖った岩たちが地面を破り壁から生え次々とはなったところにいた長い胴を持った獣幽霊と足だけしかなくて不気味な足幽霊を襲っていく。
アレンジはここから。
普通は集結して内側に閉じ込めるが互いにどんどんと入れ違って明後日の方向へ飛んでいく。
そう他の魔物たちへ!
「ぬうあぁ!」
「やばって邪魔っ!?」
「お前そこにいたらっ!」
「まわるーまわるー……」
シャンデリアごとぶん回された魔物が目を回したのは怪我の功名。不幸中の幸い。
とりあえず地魔法以外に2つ3つ聖魔法放っているけれどやっぱ向こうも弱点に対して過敏に反応する。
まあおかげで魔法回避のために気を取られてくれているけれど。
多対1はとにかく囲まれないようにすること。
そのためには私よりも気をとられるものがあると良い。
聖なるトラップに揺れて落ちそうなシャンデリアといい感じになってきた。
地上におりたら早速前と後ろに合計4体襲い来るのを輝くイバラで打ち払う。
下をくぐり抜けるように走ってまた前から来てる!
いや本当に何体いるの!?
急いで身体を捻り黒いモヤで巨大化した腕の殴りをギリギリ避ける。
多いなー!
走り回ってとにかく数を減らすことに専念!
こういう場合当たり判定は小さいに限る。
身体サイズはエアハリーのように小さいままを維持し尾と首元の赤いトゲ花から毒を撒く。
私の身体にも毒をオンしてブーストをかけていって。
私に私の毒は強力なエナジー剤のように働く。
翼は授からずとも自前のがもうある……!
「そこだっ!」
「でいやぁー!」
奇襲でもなんでも無い時は気迫をこめて飛びかかり蹴りを食らわす。
幽霊が一瞬でも気迫に気をとられればもうけもの。
猿叫をうまくあげれないのでこれで。




