七百四十八生目 領域
元々私の弱かった大きく放つ能力が"小神罪"により強化された。
神格が私自身の成長している分よりも広がったしこれなら複数の神力塊を作れる。
神を殺す技術が手に入ったということは神を殺さずに追い詰める技術も手に入ったということ。
そして……信仰聴取なんだけど。
なんと私は私を信じる……言い方悪いけどつまり仲がいい相手に対して心を届けてアンケートを取れるみたいな使い道ができるようになった。
これは念話系の応用バージョンだ。
相手の想っていることに耳を傾けたり逆に大多数に聴くことができる。
面白いのはこれを使う時に相手と会話する神託バージョンと相手の内側に聴くだけで会話はしないアンケートバージョンを選べること。
アンケートバージョンは相手にバレない。
色々試したことが有る。
私がアンケートバージョンで『好きな色はなんですか?』と聞いた。
すると匿名のデータがワッと集まるのだ。
意識すれば何色がどのぐらいの割合か結構細かく割り出せる。
神託バージョンは四神像の周りで遊んでる子どもに隠れて使ったことがある。
『もうそろそろご飯の時間みたいだから、帰ろうね。石像からのおねがいでした』
と伝えたら子どもタチがキョロキョロしてから「はーい」と言った。
すると私の方にたくさんの『はーい』という念話も飛んできた。
仕組みが面白いな……
変わったスキルだから今後も磨いていこう。
[守護領界 自身の領域を支配し理解する。特殊な結界を張ることができる。結界神通力、全域把握、自己介入性などを得る]
コレが凄まじい曲者。
なんかいいかなと思って取ったらとんでもスキルだったシリーズである。
スキルの詳細な説明書を全文記載してまとめてくれないかな?
まずこのスキルは発動すると自分の住処に対して全域把握できるようになる。
地上地下空中全ての存在あらゆるものが自身の感覚として延長され脳の処理に接続される。
……めちゃくちゃである。
つまりアノニマルース内で何がどこにあって誰が何をしているのか事細かく私が把握できてしまうのだ。
そう……出来てしまう。
私自身のリソースを全部食う勢いで。
そんなことをされると私は1歩も動けなくなってしまうし疲労も凄まじい。
これは慣れ以上に神のスキルって全部マニュアル操作なせいだ。
バカみたいに多い情報量を絞りたいのだが上手くやらないとオフになってしまう。
把握そのものにそんなに神力は消費しないが……
結界を全体に貼るのに多くの神力を浪費する。
ここらへんはまだ効率が悪い。
そもそも設置型スキルなのに現場に設置の細工していないのが悪い。
アノニマルースでは前々から設置する構造で魔法的効果を及ぼすいわゆる儀式型の魔法実験はしていた。
そこに接続する形でなんとかならないかな……
把握してしまうスキルの方はとにかくほんの少しスイッチを入れられないか今細かくいじっている。
一応頭の片隅に薄ぼんやりアノニマルースが浮かぶことはあるのだが……
それはそれで把握できることが少なすぎて遠すぎるんだよなぁ。
街がある……ということしかわからん。
もし大幅な変化あったらわかるかもしれないけれどそれ以外遠くから街を眺めている感覚。
自己介入性というのは自分という範囲の拡張のことらしい。
普段私は私という肉体1つを自分だと認識している。
当たり前だね。
コレは私という存在が1つはっきりしているからであり形が崩れていないから。
ただ世の中には自身の存在を他に増やしたり薄めたり逆に濃縮することに長けた魔物がいる。
ゴースト系やガス系それにスライム系。
分裂したり水の中全体に自分を移したり誰かに憑依したり……
それらが自己介入性というものらしい。
そして自分に対して他者を招き入れてしまうこともできる。
ただ意識と意識って2つの溶液が1つの容器に入れられるみたいな感じになるらしく混ざっている間は1つだと認識するのだけど……
分離すると2つにまた分けられる。
私がどんどん誰かになる危険性は遮断していれば薄い。
なぜこのスキルで自己介入性がマニュアル操作できるようになるかと言えば結界範囲内……つまりアノニマルースの把握とは私との同一化によって行われているから。
だから薄く把握するのは『私が遠くから見ている』感覚になるし完全にオンになると『私が1歩も動けないほど情報に飲み込まれる』ことになる。
私の意識が昇華し神のそれとなり自己意識が薄く……というよりアノニマルースという巨大な何かと混ざり合う。
あれは本当にやばかった……
朱竜に襲われた次に死ぬかと思った事件だ。
というわけで目下訓練中。
使えるようになるまでは封印だなあ……




