七百四十七生目 神罰
塩漬けされ漬物にされていた依頼たちはどれもこれも迷う。
別に1つしか選べないわけではないけれど。
依頼の拝啓には依頼者の想いがある。
あんまり無碍にもできないよね。
「5ーつ! これがラスト! 我らが冒険者の聖地の遺跡にて、奥地に上位魔物が発見された! 現地調査を信頼できるやつに任せたい!」
「あ、それ少なくとも受けます」
これこそ渡りに船。
快活なギルドマスターに見送られ街へ。
結局依頼は全部めどがついた。
1つめの狩り依頼はアノニマルース支部に。
狩りの得意な魔物はすごく多い。
2つめの蟻虫を追い出す依頼は魔物冒険者と勧誘部でもある私の部下たちの合同に。
うまいことアノニマルースに誘う予定。
3つめの依頼は仲間に回したらジャグナーと雷神がやってくれるらしい。
結局レベル上げは現地がいちばん。
絵描きの望む方向性がわからないのでゴツい岩クマと細い亜音速切り裂きの2つだ。
4の依頼と5の依頼を私が引き受けた。
まずは4の依頼からだ。
モンスターハウス……つまり幽霊やら邪鬼やらなんやらの魔物たちに呪われ愛された家に突撃して解呪すればいいというわけだ。
街外れの一角。
確かにここなら危険はないだろうな……って思った場所にその屋敷はあった。
完全にニンゲンが立ち入らぬように鉄柵が敷き詰められている。
私はもらった鍵を開けて中に入る。
ちゃんと入ってから閉じて……と。
広い庭が一切手入れされず自然を汚してそこにあった。
割と庭とか森とかって管理するニンゲンやらケモノやらがいないと荒れまくる。
自然界は適者生存なので植物たちもめちゃくちゃ蹴落として自分たちが幅を利かせようとするんだよね……
自然というの自然に見せた整理されて効率の良い空間のことなのだ。
ココはもはやニンゲンどころかこのただよう邪気で小動物1匹虫1匹寄ってこない。
植物たちも元気がなくなのに争うので荒れ放題だ。
ちなみに植物界隈で他者を蹴落とすパワーが強いと言われているのはミントと竹とユーカリ。
セイタカアワダチソウなんかも有名かもしれない。
しかも荒らすだけ荒らして集団自滅したりもするのでこう……ね。
庭がひどい有様なのはそういうヤバい奴らじゃなくても自然は汚れるということを表している。
「よし……やるか」
とりあえず今のステータスは……
[ニーダレス Lv.33→43 ポイント3→13→3
"繋がりの無敵13→15" "イバラ戦師20→21" "魔眼を持つ者13→15"
"言葉を超える教師14" "疲れ知らずの魔毒獣14→16 " "獣の賢者15→17" "神魔行進5→9 " "光神術6" "小神罰" "大地の神域6" "分神2" "バトルマニア4→7" "宣言2→3" "魂分・同体の奇跡5→7" "巨獣再臨1→5" "銀の神盾1→4" "深淵の一端1→4" "小神罪"new "守護領界"new]
["すり抜け回避" "連重撃" "二重詠唱" "発力獣" "自己無敵" "正気落とし" "同調化" "救命士" "石の肉体" "ダイヤモンドブラスト" "千里眼" "毒沼に咲く花" "千の茨" "時眼" "四無効" "言読解明" "飛行の極意" "影分身回避・空"]
めっっちゃくちゃ強くなった。
さすが朱竜との大騒動。
スキルの一覧に蒼竜から力を引き出した謎の技術は書かれてないなぁ。
私はアノニマルースの仲間たちの経験値を得てアノニマルースの仲間たちへ私の経験値を流すという相互交換が成立している。
しかも互いの元手が減らない。
このスキルが私のレベル上がりにくい今の状況でも恐ろしい勢いで強くなっていく。
多分このメリットが普通は存在しないからアノニマルース以外の魔物はそこまでレベルが上がりにくいんだろうな……
まあその中で異様にレベルを上げるものやレベルが高い環境ゆえにみなレベル高くなるゾーンや……
世界から愛された場所だから寝て食べて過ごす魔物がとんでもないレベルになっていたりもするんだけれど。
目の前のモンスターハウスはレベルが高い環境と愛された場所のあいの子。
彼等は彼等自身の高い適性を持つ環境を狭い閉鎖空間に生み出している。
そして強くなったもの同士でさらに生存競争で強くなっていく……
さて新スキルだ。
[小神罪 神が神を撃つための能力。過充力、拡張神格、過剰放出、信仰聴取、破神技術などがつめあわさっている]
簡単に言えばニュムペが使っていた大技だ。
あれの私版を作るキットだ。
確かに私相手の神をボコボコにはできるけれど追い返せるだけの話だったからね。
明確な武器というかこれをやったらお前の傷は深いぞ! ということができる。
あと神ではないさらに格下のやつに即死効果。
恐ろしいね……小神罰でも出来るがセットで運用するのがどうやら前提らしい。
コレのほうがスムーズに出来る……出来てしまう。




