七百四十生目 休暇
越殻者つまり神。
あちこちに潜み各々やりたいことやっている。
水に溶け込み空に舞い木々に紛れる。
実際あれこれ戦ってみて自分のホームグラウンド以外で強い神はレアだ。
だって彼等殴り勝負で世界の基盤を支えるタイプじゃないし。
特殊性を保持するのが神たるものなので実は言うほど多くの者に気分で被害をもたらせられない。
ただ神の罰は別だ。
準備さえすれば存在が格下のあいてなら容赦なく消せる。
なにせ同格相手にぶちこむ技だからね本来。
まあ使ったことを見たこと有るのはニュムペだけだ。
明らかに効率悪いんだよねアレ。
というらへんも書いてある。
「暗殺に使えそうですね」
「さらっと怖いこと言わないでください。でもまあ、事実そうです。誰かの敵国に乗り込んで使ったりはまずムリですけども」
「まあ、邪魔な大型魔物を仕留めるぐらいになりそうですね。ただ……まだまだ越殻者らしき案件は多数あります。しかし、あなたは解決能力が非常に高い……こちらは、数と範囲それに質は担保できます。貴方への依頼は、それを踏まえた上でさせてもらうかと」
「つまり……私は切り札?」
「鬼札です」
ようはババ抜きのババってことかい!
口には出さないがそう突っ込む。
ランムは書類から目を外し顔を見上げこちらを見る。
どうやらざっと目を通し終えたようだ。
精読は後でやるだろう。
「さて、正式な報奨の受け渡しは後でするとして、間違いなく助かりました。皇国としては正直、魔物に頼らざるを得なくなっていることは、危機感を刺激するに足りるでしょうね」
「……もしかして、なんからの政治に利用を?」
「それは少なくともあなたが気にすることではないのは間違いないですね。そもそも、そのような火の粉をこっちで払うのにも使うのですから」
「そうですか……」
「それと、追加で尋ねたいことがあるのですが」
なんだろう。
今目が光ったように見えた。
めちゃくちゃこわい。
「調査の結果、わかったことが。いくつかの迷宮内に、アノニマルースの姉妹都市を名乗る団体魔物たちが確認されていますが、情報を隠していたのですか?」
「あっ」
「……忘れてたのですか」
仕方ないじゃないか……!
このあとめちゃくちゃ説明させられた。
アノニマルース姉妹都市とはアノニマルースと友好関係を持つ魔物たちの集いだ。
魔物はその場所に文化を作っているとさすがに捨てて離れてくるというのは難しくなる。
なので水の洞窟に火山に氷河にアノニマルース姉妹都市はある。
向こうはこっちと違い自然を組み込む形でなりたっている。
具体的に言うとマイナス20度が普通の迷宮は全部マイナス20度のままだ。
実は行く先々で割と姉妹都市は作っていた……うん軽いノリである。
実は行く先々で作られているため重要なセーフティエリアになっていたりする。
死霊の館姉妹都市とか。
ランムはとりあえず正式に調査を出すらしい。
めちゃくちゃ呆れられたけれど。
とりあえず悪性のものではないと主張しておいた。
アノニマルースに戻る。
ダカシは改めてちゃんと話すことをしてみるらしい。
幸い妹が相手してくれないので暇なんだとか。
グルシムはああ見えて忙しい。
各地に分神を送ってなおかつアノニマルースも見守っている。
具体的に何をしているかは秘密らしい。
今回の戦いは凄まじく気疲れした。
戦いよりもよほど疲れたかもしれない……
それでも。
アノニマルースの公園で小鬼たちが遊んでいる。
この小鬼たちは通称餓鬼。
皇国の魔物だ。
そして……広い世間ではゴブリンとも呼ばれている。
ゴブリンはコボルトなんかと同じく結構特殊な魔物だ。
フェアリーみたいなことを言われる。
半分神話生物というか……
めちゃくちゃその場所の信じられている話に左右される。
ココのゴブリンは群れることは少なくて家族単位。
凶悪な顔はしていないが凶悪な出っ腹をしている。
ちなみに栄養状態が足りててガリガリ状態だ。
性別はオスメスあり砂場に今うんちタワー作って遊ぶくらいのいたずら心はある。
まあようは普通の魔物だ。
そして遠くの凶悪な魔物と同一種……
不思議な魔物たちだ。
不死旅団も側面を併せ持っていた。
きっとそれ自体は誰にも。
ここまで住む地域で変わる魔物は珍しいけれど。
私はアイスを買いながら遠くを見る。
公園の水を彼等が飲んでいる。
あの中にもニュムペの意思が溶け込んでいるのだろうか。
今日もなんとか平和だ。
あとは私が完全に復調するだけ
章ここまでなので整理します2022/02/09




