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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
不死身のない不老不死は虫翅の夢を見る
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七百三十八生目 面倒

 シンシャの消滅から復活の流れを教えてもらえた。

 つまるところこうだ。

 シンシャとは引き継がれた存在。


 確かにベースはテクだがその上にシンシャが乗っている。

 前のシンシャは前世のような扱いになるわけで。

 つまり『彼女としてのシンシャ』は死んでいて『彼としてのシンシャ』が新しく始まっている。


 ややこしいな……

 つまるところ乗っ取りではなく融合という感じなのか。

 まあ人格壊れてて乗っ取りじゃないのかと言えば微妙すぎるのだが。


 私はリアルタイムに教えてもらえたことを伝える。

 リュウはおもいおもいに語って罵って帰っていった。

 みんなの反応は芳しくない。


 かわりにシンシャは満足げだった。


「厄介な……」


「結局、コレはテクの望み通りだったのかなぁ……」


「まあ、大枠的にはそうじゃろねぇ〜。結局儂になるのは不死旅団の目的みたいな面はあるからさぁ。儂はさぁ、まぁ〜なんつーの? 結局めんどくさがりなのよ。知ってる?」


「今初めて話してるのに知るも何もあるかバカ!」


「テキビシー、まあさあ、なんか……ほら……そもそも、何から話したら良いかな……」


「……言え、寿命とは何だ」


「あー、ナルホド? 『そもそも俺たちの寿命の認識と、そっちの寿命の認識が一致していない気がするから、そこから聞きたい』か……め、面倒だな……」


「翻訳……できてる……」


 ダカシは目を見開き驚く。

 ……多分シンシャだから出来ているんじゃない。

 テクの力ゆえだ。


「ああ、あれ系? キミら。寿命は必ず決まった長さを、生まれつきロウソクがあって、それが燃え尽きたら死ぬ、みたいなロマン系? ああ、あれねえ、まあ否定はしないけどさあ、ちょっと儂の寿命とは違うかなぁ。なんというかさ、儂の寿命は、変わるものじゃよ」


「変動する寿命……それって定命論じゃなくて、行動や結果で変わるという考え方?」


「そ。しかも、たいていの場合、使い切ることなく器のほうが砕けて死ぬ。まるで注がれて流れる水と(かめ)のように。ほら、あれあれ……え? えーっと、つまり、事故とか、病気とか、そーいうの? で、儂の能力は、その水だけに直接干渉してもらうことができたり、渡すことができるんじゃよ。普段なら……人ひとりあたり1日分かの」


「「えっ」」


「それを奉仕活動で埋め合わせすることで、面倒くさいやつらから目をつけられんようにしていたんじゃ。神相手は仕方ないにせよ、儂ら、ニンゲンたちとガチトラブルしたらマジで詰むんで……どしたん? みんな。もしや儂の能力、もっとすごいもんだと思っていた? 無理無理、もし儂が全力を注いでも、たったひとりの年齢を大きくいじって赤子にするなり老人にするなりやるのは、それこそ長年かかってしまうんじゃよ」


「「えぇ……」」


「はあぁ……解説疲れたぁ、儂こういうことをするタイプじゃないから、肩こったのう。誰か、茶をくれ……ってああノビてたわい。めんどくさい、面倒くさい……」


 そういいつつお茶をくみに行ったりはしない。

 そこらへんがなんとも言えないな……

 にしてもこれはひどい。


 テクの話を聞く限り他の面々は各々抱えているものや考えがたくさんあって行動していた。

 水銀の寿命話に関しては初めて知ったけれど。

 そんなに少ないなんて……


 しかも絶対値じゃなくて変動値である。

 いやまあそうか。

 変動値だから彼が介入できたんだ。

 

 それにしてもだ。


「もしかして、全部面倒くさいから……?」


「そらそーでしょ、リュウのやつに聞いたんじゃろ? ずっと人間を引き継いできた神だって。なんというかさ、あんまり神って実感ないのよ。記憶に深いのは、いつも人と人の暮らし。儂は儂の生きるためにやることはやるし、仲間たちは大事じゃ。なぜそこで揉め事を起こして、とんでもなく面倒さを背負い込むんじゃ」


「まあ……納得できはする」


「ローズがそういうなら……」


「フム」


「儂がここまで話したのだ、そちらの事情も話してくれるのだろう?」


 疲れたと言わんばかりに椅子へ深く沈む。

 シンシャはなんというか……

 顔のない神の中で1番神らしくなかった。








「――まあつまり、キミらは要警戒対象にされている。今回のことも包み隠さず報告するよ」


「でも良いのか? つまり敵なんだろ、儂ら」


 ダカシにはかいつまんで説明していたせいで改めて聞かされ驚きながらうなずいていた。

 自分の中で情報処理できているらしい。

 シンシャが言うことは半分はごもっともなんだけれど……


「正直ここで、シンシャが打った保険が効いてくるわけで……それがあるうちは敵と言いにくいし、のさばらした時の害も正直あんまり……」


「成程、儂ら、そういえば今回は善行しかしとらんな」


「……良いのか? 本当に」


「悪いな」


 ダカシが苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 グルシムが言ったのは『ここでこういう奴を止められなかったこっちが悪かったのであって、向こうへは是非もないな』みたいなことを言っている。

 

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