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我がホエハリの群れ全体の記録

・某日未明

 スペードの狩猟した獲物を狙って黒腕鳥が接近、奇襲を狙ったようだが失敗し撃退する。

 アシガラスの腕は美味のため狩猟を狙うが即戦線離脱される。


・同日早朝

 スペード隊帰還。負傷者1。ただしヒーリング回復範囲内。

 傷因、獲物を追い詰めたさいにカウンタータックルを食らう。追い込み方に練度不足あり。反撃を予想しての連携訓練が必要。

 収穫。全員分の食事あり。冬に備えた備蓄も順調。


・同日朝

 食事。仔どもらは離乳食に慣れてきた模様。直に硬いものを食べる訓練に移る。


・同日昼

 ハート隊による訓練は着実な模様。

 兄:やや短慮的だが成果を出すことに貪欲。狩猟成績が良。

 姉:秘めるものが凄まじいが未だその芽は未萌みほう。態度成績はハート組を凌ぐ。

 弟:誰よりも時間をかけ誰よりも正しい正解を出そうと頭に描くが行動に移す前に終わることがある。規律成績が優れている。

 これからも時折成績を求めることにする。


・同日斜陽

 黒腕鳥の襲撃。

 スペード隊を襲った黒腕鳥の仲間と推測。

 それだけなら些事さじだが巨黒腕鳥も同時襲撃。

 救援到着までにジャック隊ハート隊が壊滅、仔のうち姉を拉致。

 ジャック隊とハート隊はヒーリングし半回復。ただしジャック隊オス1が骨折のため治りが悪い。要継続治療。

 備考:ハート隊が軽症で済んだのは進路を開けるために威力より退かす事を優先したためと思われる。

 クイーンによる指示で近場の高台から黒腕鳥の群れを観測の結果強烈な瞬きと夜中のような闇が発生。

 クイーンに報告。クイーンは姉が自力脱出したと判断。捜索隊編成。

 備考:それぞれの意見を記録。

「わたくしが いきます、おなかが すいている でしょうから」

「むれの まもりを かため、のこりを まもるのが ゆうせん、クイーンは ジャックの ちりょうを つづけよ」

「かわりに わたしが いきます。まもりきれなかった つぐないを させてください」

「おれが ふがいない ばっかりに。ほねさえ ぶじなら……」

「わたしたちは あしでまとい でしょうから こどもたちを まもりますっ!」

「ああ、ハートたちは キングたちと こどもを まもってくれ スペードは けいしょうだ。いつでも いける」

「ダイヤたいは けいしょうながら むれの けいびを かためたいと おもいます しょくりょうは もうわたしません」


 編制はスペード隊とジャック隊から1。

 高所からの落下による即死が危惧されるがクイーンによるとまあ間違いなく大丈夫だろうとの事。

 追記:黒巨腕烏たちは未成年の男児を好むとの噂。姉が拉致されたのは女児は食料にしても惜しくないから?


・同日日没

 空に強い光が瞬く。

 黒腕鳥を襲った物とほぼ同質と判断。

 使用者は姉の可能性が高い。

 捜索隊も同意見で直ぐに向かっていったとのこと。

 但し位置が厄介で大回りしなくては別の群れにぶつかるか強敵のねぐらと伝わっている。

 安全策を取り急ぎながらも光を目指す。


・翌日早朝

 殆ど同じ位置に明かりを確認。

 スペード隊は何度か交戦するものの危険な敵はいない。

 クイーンから事前に狩猟時その場での捕食を許可、推薦。

 体力切れを起こさないように適度に狩猟しつつ移動。


・同日昼

 問題発生。

 前回の光と大幅に位置が違う。

 また危険な場所を遠回りする必要があり右往左往するハメになる。

 追記:後日姉は巨牙虎に追われ逃げた事が判明。奇跡的に別のホエハリに出会い撃退した模様。地理的にはどこの群れのホエハリの縄張りではないため、別の群れのクローバー隊と思われる。

 問題は捜索隊そのものにも発生。

 やや危険度が増すが早めに辿り着けるルートを通った所黒腕烏の群れと遭遇。

 巨黒腕烏はおらず。

 但し逃して貰えず戦闘。

 ジャックをメインに据えスペードが集団で前線を作る。

 対する黒腕烏は数は14と報告。

 飛び出して機動戦で攻めてきた敵は堅実にジャックが落とす。

 スペードが集団にまとわりつかれるが巨黒腕烏がいない影響か連携率低下。

 互いの攻撃が互いに当たり身内争いを初める始末。

 功績を焦って飛び出した黒腕烏を順に落とすだけで時間はかかったが結果的に撃破。

 敵死亡7、負傷5。半数を切った段階で急激に逃げ腰になり逃走したとのこと。

 備考:巨黒腕鳥に助けを求めにいったと考える。但し今回はこちらを見失った模様。

 味方損害軽微。ヒーリングにより任務続行を判断。

 行動度消耗による優先度を意識し全体の治療を抑える。

 ジャック、土魔法使用数増大により行動力に負担。以後予備戦力に徹する。

 その後も何体かと接敵するものの大した脅威にはならず。


・同日斜陽

 定期的に打ち上がる光を追ってついに目的地にたどり着く。

 現場には捜索対象の姉。

 緊張と疲労から意識を失うが命に別状は無し。

 備考:後の証言でその場にホエハリがいた模様。既に姿は見えなかったため余計な争いを避けるために去ったと思われる。栄養が足りていたのは姉がかなり熱心に砕いて実を捕食していたため。離乳食の必要性と作り方、実の確保などを理解していたのは驚嘆に値する。

 付近に巨牙虎と思われる遺体が鎮座。

 殆ど骨だけになっていたため回収出来ず。

 切鼬きりいたちが付近にいたため追い払う。


・同日夕日

 切鼬が接近したため追い払う。

 姉は寝かせたまま運び帰還中。

 そのため一層警戒し安全ルートを通る。

 切鼬が接近したので追い払う。

 道中黒腕鳥に遭遇するもののこちらに気づかず飛び去る。

 恐らく前遭遇した群れとは別個体の様子。

 切鼬がしつこいので追い払う。

 殆ど危険な敵はいないが知性を持たない魔物と何度か接敵。

 帰りの行軍の糧にする。

 切鼬を肉の切れ端で追い払う。

 休息を挟むことで全体的な効率改善を図る。


・同日落日

 切鼬を見かけたので土魔法で払う。こけおどし用に行動力は込めない。

 暗くなったため接敵回数が落ち行軍速度上昇。

 切鼬が先回りしてたので吠えて払う。

 備考:なぜ切鼬を殺さなかったか? それは理由が2つあったらしい。1つは何やら意識のない姉と悪くない繋がりがあることを、意識が無くなる前にほのめかしたから。もう1つは攻撃行動は一度も取ってこなかったため。

 夜目を慣らしつつ安全ルートでより深い夜になる前に帰還出来る目安がつく。

 切鼬がしつこすぎるので放置して体力温存をする。


・同日夜中

 捜索隊が群れの縄張りに帰還。

 切鼬がダイヤ組に追い払われる。

 捜索隊、結果報告。

 クイーンはこれを受領、姉を一時的に引き取る。

 仔の兄弟が心配そうに姉にまとわりつくが母がなだめる。

 やはり仲は特別良いらしい。

 切鼬が骨を折って休養中だったもう片側のジャックに追い返される。


・翌日未明

 姉が意識を取り戻す。

 全体的に身体の異常はないものの成長期での過度な負担が原因で筋肉痛や疲労感が抜けず療養に入る。

 クイーンが微笑ましそうに姉の少し近くで眠る切鼬を見る。

 追い出そうか検討したが悪い事をしないのなら姉の友達を追い返すのは忍びないとの事。

 方針はクイーンに一任してあるため経過観察をする。


 今回の事件について

 群れが強大な敵群れに襲われた際に防ぎきれない不幸があることを認識。

 姉が早熟故に死者が出なかった事は否めず通常時でも死者ができるだけ出ないよう対策を練ることが課題。

 キングの名に於いて今回の事件は全て我が責任とする所存。

 群れへの責任は一切認めない。

 記憶に記した記録を元に近々対策会議を開く。

 いかなる処罰も受け入れる旨をクイーンに問た所、少しは仔どもたちに気に入られる努力をせよとの事。

 果たして、仔とは何を好きになるのだろうか?

 やはり、群れを襲う脅威は有無を言わせず叩きのめす力だろうか?

 そう思案していた所クイーンに呆れられた。

 どうすれば良いというのか。それは次回の記録時に答えを出したい。

黒腕烏→アシガラス

巨牙虎→ギザガコウ

切鼬→イナヅチ

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