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百七十四生目 斧槍

 私vsイタ吉!

 模擬戦とは言え思いっきりいかせてもらう!

 "鷹目"で周囲観察を怠らず突っ込む!


 初動はほぼイタ吉と同時!

 互いに駆けて距離を詰める。

 "近接攻撃"で牙に(エフェクト)を纏わせイタ吉は尾を伸ばす。


 ガキン!

 私の牙とイタ吉の尾先の刃がかち合う。

 イタ吉は両手を添えて押し込んできているから押し切るのは難しいか。


 ガリガリと歯から不快な感触。

 イタ吉も押し切りは不可能と判断したらしい。

 一瞬力が緩む。


 私も同時に牙を離した。

 共に後ろへと下がってから再び激突する。

 互いの小手先は互いにひっかからない。


 力を緩めるタイミングを間違えれば引き込まれて攻撃を叩き込まれる。

 狙いすました目がチャンスを探して光り2度3度歯と刃がぶつかり合う。

 パワーが強い魔物なのかレベルは私の方が高くとも押し切れる気配はない。


「あんまりパワータイプじゃなさそうだな!」

「そっちはまだトランスしてから慣れていないみたいだね」


 図星らしくイタ吉の構えが変わった。

 尾を前に持ってこられるほど長かった尾はさらに伸びて刃のない部分の尾を持つと力を込めてピンと張らした。

 構えはまるで斧槍を構えているかのよう。

 おそらく理解してやっているわけじゃない。


 身体が何となく動かしやすいように本能的にやっている。

 頭で分かってはいなくとも身体が知っているのなら十分危険だ。


「はぁ!」


 両手を添えて縦に振り回してきたそれは鎌のように。

 離れていた私のところまで届く!?

 "止眼"で体感時間を限界まで引き伸ばす!


 ほぼ止まったように見える時間は目の前に迫る刃をギリギリ捉えた。

 良し落ち着いて。

 解除と同時に"空蝉の術"!


「わっと! 強すぎたか? っていない!」


 イタ吉が刃で叩き壊したのは私がめくった地面。

 私はイタ吉の視界から隠れて背後に回り込んだ。

 まだ見つかっていないのなら詠唱する。


 "エクスプローシブF"でイタ吉の真後ろを爆発させよう。

 熱が集まってさすがに気づかれた!


「ぬあっ!?」


 イタ吉は慌てて離れようとするが身体をひねる手間のせいで間に合わなかった。

 ドガン!

 爆炎が広がりイタ吉を炙り吹き飛ばす!


 しかしコゲつつも体勢を立て直してきた。

 "フレイムボール"の追撃はなんなく避けられる。

 "フレイムボール"を撃ったスキに改めてかけよられた。


 四足で走られたら多少の距離は一瞬で詰められる。

 それと同時に尾先が飛んできた。

 そりゃ尻尾だから単独で動かせるか!


 突きを"防御"して背後に突き飛ばされる。

 痛いが平気、直ぐに着地して反撃!

 駆け寄って切り裂けばイタ吉の毛が散る。


「まだまだ!」


 イタ吉の毛皮はそこそこ厚いらしく皮は裂けたが大きなダメージはない。

 再び両手持ちして横なぎ。

 範囲広いな!


 回避しきれずに腕が少し裂けた。

 まあ平気だ。


「うまくなってきたじゃない」

「まだよく分かっていないけれどな!」


 模擬戦とは言え戦闘中にそれを言っちゃって良いのかイタ吉。

 密接して互いに立ち位置を探り合って切り合う。

 イタ吉の2足と4足の切り替えが厄介だ。


 刃を振りまわされれば少しずつ私の毛皮が切れて血が出る。

 "戦士の心"でこの程度の痛みで集中力を乱さないが生命力は削られる。

 まともにイタ吉の剣舞を受けるには歯で喰い止めるしかないから避けるのが中心になってしまう。


 屈んで上を刃が通り抜けたら爪で腹を裂く!

 少し血が散るがやはり致命傷は避けられる。

 ほぼ直感的に動いて避けているのだ。


 互いに生傷増やし合戦になりつつあったところで跳んで距離をとった。

 確かに模擬戦だからあのまま続けてもいいがどうせなら良い戦績を残したい。

 接近時は"肉斬骨断"を使っていってダメージを与えていたがどうもイマイチ通りが悪い。


 とりあえずいくつか詠唱。

 とんでくるように長いリーチの振り回しを避けつつそこらに土魔法"Eスピア"をばらまく!


「うおっ、なんかやばい!」


 イタ吉が跳ぶと同時に魔法が発動して槍が乱立する。

 上に跳んだのは良かった。

 だが着地を考えておらず土槍だらけの場所に落ちる。


「うあっおおおぉぉっ!!!」


 捻って尾を先に叩き付け土槍と刃を噛み合わせた!

 ガリガリガリと言いながら落ちていく。

 さらに周囲の斜めに生えた土槍がイタ吉を削りやっと止まった。


 ドン! ザンッ!

 破壊音と共に土槍が切り裂かれる。

 イタ吉は肩で息をしつつなんとか危険地帯から這い出てきた。


 尾先の刃がややボロついている。

 あれは爪みたいなものらしいからそのうち治るだろうが今は別。

 切れ味が鈍った今がチャンス。

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