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六百七十八生目 復帰

 戦場で駆ける場違いな漆黒の騎士とカルクックは目撃情報が多数。

 戦いの神に愛された戦いだったとそっち界隈のニンゲンたちが大興奮したとか。

 ……ほんと何しに来たんだろう彼。


 朱竜は炎を吐いて大陸を焼き払うことはなくなった。

 これは約束がなくなったからだろう。

 ただ……朱竜自体も存在不明。


 大神だろうと死ねば(エフェクト)体で復活する。

 ただ私のような端の神でも復活に半日要する。

 大神が更に時間を必要としていてもおかしくないだろう。


 そしてアルセーラ朱竜だが。

 全身が石のように固くなってはいたが……

 どうやらそのまま採掘が可能らしい。


 流石に朱竜並とは言わないものの大量の火山は豊富な鉱石資源になる。

 特に終盤の変形が逆に良かったらしい。

 下半身に比較的安全な採掘ができるそうだ。


 上半身は上半身で鉱石ではなく希少な素材となる。

 現在検証中らしい。

 エネルギーまみれの骨は確かに私が想像するだけでも様々な武器に組み込めるだろう。


 ピヤア団たち。

 彼らの多くは……自ら掴まった。

 というよりもはやボロボロで医療にかかるために捕まった様子。


 脱走しそうだから目を光らせてはいるのだとか。

 でもアノニマルースも逃げられたからなあ……

 ただ。


 アルセーラはアルセーラ朱竜の中から飛び出たコアみたいな半透明の石内にいる。

 このコアは割れずまたアルセーラに意識はまったく戻っていないらしい。

 生きてはいるようだけれど……


 果たして彼女が無事に戻ってこれるかは神も知らない。

 そして時空嵐は消え去った。

 戦闘の余波か……はたまた朱竜の納得に寄るものが。


 さて。

 そうこう情報をホルヴィロスに教えては貰えたんだけれども。


「あの、みんなに話にいったりするのは……ほら、こんなに元気出し……」


「医者の見解から言わせてもらうと、面会拒絶の札をはるくらいかな」


「そんなに……?」


「まあ自覚がないのは仕方ないよ。私だってビックリしているし。だけれども、私の見立てでは相当無理な負担がかかっているね。もちろんちゃんと外傷も危険だったけれど、今回はどちらかといえば内部負担が飛び抜けていたかな。ほら、生き物は自ら無理な運動負担をかけることで炎症を起こしたりもするじゃない? あれのだいぶひどいバージョン。どういう負荷かけて戦闘したんだろう……もちろん、負荷をかけるのは戦闘だからわかるけれど、それでも限度が」


「わかった、わかったから!」


「本当? それなら良いけれど」


 ホルヴィロスがここまで言うのならば本気なのだろう。

 だとすると……

 やっぱり"巨獣再臨"か。


 なんとなく嫌な予感はあった。

 凄まじい質量の増加。

 それに伴う世界が変わるほどの高い能力。


 当然私の内側や外側それに魂からも還元するためのエネルギーというエネルギーをしぼりとる。

 そりゃお腹が減り続けるわけだよ。

 私……病的飢餓に陥ってるんだ。


 なんとなくだけれど自身のタマシイまでやせ細っている感覚がある。

 神力は封印してあるようだけれどかわいた土のように注がれる量に対して中身がまるで足りていない。

 さらにやせ細った土地は過剰に色々投与しても全て流れてしまう。


 ここ1週間の治療によってようやく私があれだけ食べられたのか。

 これはもう……限界ギリギリまで"巨獣再臨"は使いたくないなあ。

 それはそうとして。


「ホルヴィロス」


「ん?」


「ありがとうね、迷惑かけた」


「迷惑はほんとーに! けれど、ローズのためならどれだけ迷惑かけられてもオッケー! なんなら、まだまだ返しきれないものもあるぐらいなんだから……」


 その辺りで私の意識は溶液の底へとしずんで行った。







 それからしばらくは私の治療が始まった。

 私から会いに行くつもりがむしろ私のリハビリを見に来た面々に励まされながら。

 ……私がちゃんと色々抜いた状態で有るき回るだけでここまでしんどいなんて思いもしなかったけれど。


 ドラーグとコロロはというと。


「ファイトー! ローズ様ー! ローズ様ならすぐに力を取り戻せますよー!」


「ん……コロロも昔、似たようなことした」


 まずドラーグ。

 ちいさい。

 またマスコットみたいなサイズになっている。


 0.1%の姿らしい。

 コロロに抱きかかえられている。

 トランスして大きくなったのにまるで問題なしかあ。


 コロロは黒鱗の鎧を脱ぎ私服。

 意外とオシャレ。

 誰かに選んでもらっているのだろうか?


 毒の腕は飛び出ておらず見た目はそこまで変化していない。

 ただ腕や足からチラチラと皮膚とは違う色付きが見えている。

 前はなかったはずだ。


 気になりはするけれどまあにおいは良い方に変質している。

 それっよりっも!


「ぐぬぬぬぬ」


「焦らないようにねー、手はちゃんと添えて、テンポよく!」


 私はホルヴィロスにツルで全身を支えられつつ2足で崩れそうな腰を奮い立たせていた。

 まっすぐな道に2本の手すり。

 そこにはさまるように移動するだけなのに……!


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