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六百七十生目 反抗

 まさしくクリティカルとしか言えない一閃。

 槍とブレスが朱竜の横腹を貫通。

 朱竜の口から炎ではなく致命的な熱液が漏れ出す。


 ……だけどまだ生命力はある!


『……ッ! なるほど! 我の力を利用したか……! 確かに、我ならば我を破ることは、可能……! だが、我の力を受けて無事では済むまい』


「はぁ、はぁっ!」


「パパ……!」


 朱竜の傷が無理やり塞がれて行き槍はコロロの毒腕へと戻っていく。

 ただドラーグのほうは。

 今のでいくつか水晶鱗が弾け跳んでいるうえ明らかに生命力が削れ血を流している。


 そりゃあそうだ。

 朱竜渾身の1撃を無傷ではさすがに……!


『我が直接この手でトドメを……グウッ!? なんだ!? ダニ共めか!?』


 私が前に出てドラーグを回復……とやっている瞬間に。

 朱竜が苦しそうに怯む。

 そして身体を揺さぶりだした。


 いろんなところが気になるらしいが特に頭を振っている。

 なるほど……あそこは兵たちが向かっていない。

 やはりやってくれると思っていたよイタ吉!


 小さすぎてはっきりは見えない彼らのファインプレーに感謝しつつ。

 私は朱竜の空いた穴の部分にイバラをねじこむ。

 ほぼ刺し込むように。


 そこから引き抜いて朱竜の反撃の腕振りを避けつつ空や時空魔法で次元を引き裂きながら打撃を与え……

 影魔法を放つ。


「クッ」


 一瞬……ほんの一瞬だけ。

 朱竜の動きが縫い留められ止まった。

 "シャドウステッチ"……ただ影を縫い止めて動きを止めるだけの魔法。


 普段の朱竜ならば微動だに影響を受けないだろうけれど。

 今ほんの僅かに弱っていた。

 それが今の状況を作る。


 私は朱竜が振りかぶろうとした腕の範囲から跳んで避けて。

 背後で舞わせていた大イバラたち。

 遊んでいるわけじゃない!


 "龍螺旋"!

 さらに尾のイバラ毒!

 毒は大地すら穿ち朱竜の身体に赤い棘として刺さる。


 尾のイバラは切り離してその場に残しつつ……

 残りの大イバラたちは全部龍螺旋3つ!

 頭肩腕に次々と当たり。

 2連続3箇所の大爆発が起きた!


 重音が響き大きく朱竜を抉り削る。

 最初の頃はまったく響かなかったが。

 今の朱竜はまさしく追い詰められて顔のしかめかたが牙で口を貫きそうに深刻だった。


『貴様ぁ……何だこの力は、今まで我に、何を重ねてきた……! 毒ではない、これは、魂を揺らす……!』


「最初の壁を取っ払うための、薬だよ!」


 そうか……"無敵"も効いているんだ。

 やっと。ココまできて。

 けれど朱竜が苦し紛れに振るった両腕が目の前に。


「ッ……!」


 目の前が……!

 暗く……!

 音が……遠く……!


 痛みはない。

 私の身体は空に飛ばされているのにだ。

 これはすごくまずいね。


 やけに頭が冷静に冴えわたる。

 生命力……見なくてもわかる。

 今のまぐれ当たりみたいなので生命力が1まで削れた。


 この1という感覚は数値で表すとだ。

 生命力バーがほぼゼロでスキル"頑張る"の部分が発動。

 今は何度か統合されて別名スキルと化しているけど。


 多分"イバラ戦師"かな。

 働いたおかげで即死して1発肉塊退場を免れた。


 受け身をミスしたら死んじゃうぞ……よっと!

 ぐるりと立て直して空中一回転。

 なんとか地面に足をつけて着地して。


[キャッチした]


 リバイアサンが勢いをころすように立っていてくれた。

 よし……急いで自己を毒で回復させる。

 わずかでも治して肉体の感覚を取り戻さなきゃ。


 そう今私は痛みも何も肉体の感覚が吹っ飛んでいる。

 脳が色々遮断しているらしい。

 あとが怖いね……!


 走り出し光魔法"ヒーリング"で自身の身体を無理やり動かす。

 ああっこれ何か胸とかの骨がいくつかおかしくなってる感じがする!

 息がおかしいもん苦しすぎる!


 それでも歩みを止める理由にはならない!


『ローズ様!』


『まだ立ち上がる、ドラーグ、ローズオーラ! ならば、我の命をかけて、勝つのみ……っ!!』


「パパ……ローズ……ここで決めよう……」


 朱竜がさらに地面へ深くかがんだ!?

 ドラーグも同じように屈む。

 ドラゴンロアの構え……!?


 もちろんただの対立ではこちらが負ける。

 ここは私が合わせる!

 高いとこに跳び上がり全力で移動。


 高速飛行して魔法を放つ。

 聖魔法"ソウルシャッカル"!

 聖なる鎖がどこからともなく伸びてきて朱竜の内側へと肉体を無視し刺さる。


 同じく"ブリンクスター"!

 まばゆい光が爆発として放たれ。


 空魔法"ベンド"を設置。

 同じく"ディザミネイション"!

 朱竜が内側から膨れ上がる。


 魂の束縛はすぐにきれた。

 しかしそんな一時でも邪魔出来たなら十分。

 向こうからしたら判断も同時におかしくなる。


 

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