六百六十七生目 晶竜
朱竜とドラーグがついに向き合って対立する。
朱竜はドラーグの啖呵を切ったのをみて。
眼力を強めた。
「パパ……ナイス叩きつけ……」
『そのような虫ケラ以下の、誰かに支えてしか立てぬような、誇りなど!』
「僕がみんなに支えられるだけじゃない! 僕がみんなを支えるんだ! それもやったことのない神なんて!」
「ッ!?」
えっ今の息を飲んだの朱竜?
今のドラーグに圧された?
そんなにクリティカルな……ああそうか。
朱竜はしらないからか。
朱竜が知らないことをたくさん知るドラーグのことを。
異様に成長した姿を……特に今目覚ましい成長を叩きつけられればそうなるか。
ドラーグは飛び上がり翼から凄まじい推進力を得る。
朱竜は対抗に腕を振るうがコロロが見ている。
私も魔法で引力を生み出し空に腕を引っ張る。
闇魔法"サンセッツ"だ。
タイミングがズレコロロが適切にドラーグを動かし避ける。
更に加速したドラーグがもはやあらゆるものを突っ切って。
「パパ」
コロロが槍をそこに合わせ。
「これなら、どうだぁ!!」
光が合流し1つの剣となって。
おそらく捻りもない。
だけれど1番の力と技となにより誇りが。
朱竜の横鼻を抉った!
「な……に……!?」
「はあぁー!! らあぁーーっ!!」
拳が振り抜かれえぐりねじり周囲に爆発が起こり拳より遥かに広い範囲を吹き飛ばしていく。
結果として朱竜が戦い始めていらい。
初めて明確にたたらを踏んで後退した。
そのことに朱竜自体が信じられないと行った様子でドラーグを見つめる。
『我を気圧した……!? 一体なんなのだ、その力……!』
「……?」
「使ったほんにんが一番わかってなさそうなの何!? ってあれ? ちょっ、ちょっと私の力が」
なんだか私の神力含むエネルギーが吸い取られている?
ドラーグたちのほうだ。
それだけじゃない。
あちこちからエネルギーの輝きが集ってきている。
それは朱竜からすらも。
『何!? そのような許可は……』
「これは、みんなからあったかい力が来る……」
多分ここでみんなの想いは1つ。
なにそれしらん。
何が困るかって奪われている感覚はないのだ。
吸収じゃなくて……呼応?
敵として戦っている相手とすら呼応するというのは。
なんだか"無敵"に近いものを感じた。
なにより集った力で始まりだしたのは。
「パパ……これって」
『これはトランス!? しかも……何? 許可をするわけが……あ、こら、やめろ!』
「親から力が……そうか、この力がローズ様の……」
「えっ」
「パパ……やろう」
「うん」
ドラーグは全身に集まっていく力に深く深呼吸。
そして。
「「トランス!」」
……この光の卵に包まれたさいに攻撃をしかけるのは素人だ。
朱竜はそこらへんをわきまえている。
トランス中の輝きは誰にも邪魔できない最強の防御なのだから。
外から見る変化など一瞬だ。
機械を使いゆっくりとトランスするのもまあ悪くは無いんだけれど……
自身で条件が満たせて内の殻を破れるのが最高。
それをドラーグとコロロは見せつける。
ふたりが1つのトランス場で同時なんてあるんだ……
卵の殻が砕かれ中からは丸めた体が飛び出してくる。
そう……さっきまでの20メートルサイズがすっぽり入るトランス光卵からだ。
まずはコロロ。
遠目からみるに身長はそこまで変わっていない。
ここはもう成長過程で育つだろう。
ただ見た目の変化が劇的だった。
ドラーグの黒い鱗で鎧のような物が形成されていた。
なるほどドラーグに乗るための全身スーツごと変化したな?
高度な服は着こなせることで自身の肉体延長線上になることがある。
今のはトランスでなったのかな。
半透明なヘルメットで目の部分が覆われ眼光はさらに鋭く。
けれど目を引かれたのは毒だ。
彼女の背中から2本の毒が飛び出ていた。
翼のようにみえるがその先には槍。
あれは腕扱いなのか。
黒竜の鎧は完全に自身を黒くして隠せれる。
あれは便利だろう。
そしてドラーグのほうはというと。
まず全長は先程よりずっと大きい。
朱竜とタメを腫れるほどではないが……
そのサイズは100メートルにたどり着くかもしれない。
そして何よりもカラーだ。
下地に黒色の鱗が見えるもののそれはメインじゃない。
全身をさらに覆う鱗は水晶のように半ばすけても見えて。
それなのにしっかりと色を反射している。
角度や場所によって色が変わるプリズムカラー。
トゲ状の鱗や角それに爪たちがそれぞれの主張をしている。
そしてなにより。
翼が奇妙なものに代わっていた。
水晶鱗に覆われたそれは大きく厚く1対2枚に。
代わりに相当に巨大で硬そうで。
先の方に噴出口みたいなのが見える。
あれ……ドラーグは一体何をできる姿なんだ?




