六百六十五生目 猛攻
2021/11/11
1754部目に未投稿だった部分を投稿しました。申し訳ありませんが、そこのチェックをお願いします
ドラーグが全身から体液か血かを撒き散らしながら上空高くから降りて回転し光で切り裂きぶつける。
朱竜は完全に受けきって見せ全身から怪我の煙と熱を吐き出しながら宙に浮き。
地面に向かって炎を吐くことでドラーグに火が向かう。
ドラーグは地面にたどり着いた瞬間に蹴ってすぐ飛び上がり炎を避けるように飛行。
背中のコロロを気遣っては本来できない行動だが……
もはやコロロはあのころではない。
なんなら今の動きを指示したのはコロロだろう。
練習しているのを何度か見たことがある。
はたしてどこまでガチガチにスキルビルドを組んだのか……
そして地面に炎を吐くということは当然次の動作がある。
朱竜が大きい腕の爪でクイッと上に降った瞬間。
地面から大量に土塊の槍たちが岩山のようにして勢いよく飛び出す。
ドラーグとリバイアサンさんはさすがに数度目ともあって対応が慣れている。
完全な回避は目指さない。
勢いに身を任せ岩に沿うようにからだを削り燃やしながら避ける。
そしてあまりそこから離れない。
位置がある程度ランダムに広く飛び出るということ。
裏を返せば狙われず重ならない。
1つ避けて様子見すれば良いわけだ。
特にリバイアサンは強化と弱体化を引き受けつつ隙間隙間で攻撃するにとどめているらしい。
ヒートアップしまくっている前線の戦いには機体の能力不足。
だが。
『遅い』
当たり前だが朱竜はいつまでもポーズを取っているわけではない。
それなりにスタミナを使うのかいままでムダぶりはないが。
ちゃんと地面に立ってから腕が振るわれる。
光を伸ばした槍のような剛腕はもはや1つの兵器である。
それを巨体サイズが重力に縛られているとはいえその重みをブンブンふるえるのだ。
コレ以上の脅威はそうそうない。
光は本来存在しない部位にも打撃を発生させる脅威の部分だ。
当然のようにドラーグと上からぶった斬られ大きく吹き飛ぶ。
うわ……今のガードは間に合ったけれど。
「ガッ……グァッ……!」
「うう……」
『やはりそうだな。お前だけだ。ドラーグ、この場において、貴様がもっとも弱い。その弱さは、有り体に言えば罪だ。実力、速さ、技、質量、そういったものではない……我に比較すればココに居るものは全員誤差だ。貴様は戦いへの心構えが、心そのものがあまりに弱い。なぜ、ココに立つ。なぜ今また立ち上がる?』
朱竜は話しながら目線を横に向ける。
ドラーグは……体に大きなキズを残しながらも立っていた。
薬や自己再生も使っているけれど重大なダメージには間違いない。
しかし朱竜が興味を示したのはそちらではない。
そこには地上から駆ける1つの姿。
比較値ならば小粒だがニンゲン比なら巨人はあるあの死神姿って。
死滅!?
『なるほど。その力、覚えがある。聖女だな? しかし、中身は前と違うらしい。力を引き出しているのは称賛に値するが』
死滅が……ようはハウコニファーが更に飛翔する。
朱竜の眼前にまで来て。
あらゆるものを滅する火を持つ棒を振るう。
連続で力いっぱい顔面へ炎が叩きつけられ。
下手をしなくても正しく死を与えんとする攻めだったが。
『肝心の力量がないな。我に届きうるが、それだけだ』
火には火で。
朱竜が顔にかかった火たちを炎をぶつけ吹き消す。
そんなんもできるんだ!?
ほんのわずかなスキルたちが全能のように機能する。
そのあと「フンッ」と鼻息を鳴らすとなぜか死滅は勢いよく吹き飛び地面に落ちていく。
……あ! もしかして鼻息!?
攻撃ですらない!?
いや……。
朱竜はナメたわけじゃなくもっとも短い手で相手を質量で圧倒することを選んだだけだ。
しかしその直後朱竜の顔全体が猛毒の液でぶん殴られる。
ちょっと何を言っているかわからないが液体が形を持って殴ったのだ。
多少は『死滅』した顔の表皮に。
ぶつかると同時に毒液は広がり顔全体にかかる。
凄まじい量の毒液は朱竜の顔全体から大量の蒸気をあげる。
なんだか朱竜自体も顔をしかめた気がした。
『チィ……この力。月の神か。それを虫けらが扱うとはな。だが……我らこそ、月の神共に抗った者たちだ。舐めるな!』
ヒュドラの毒……つまりペラおじさんだ!
って月の神? え?
そうこうしているうちに朱竜が勢いよく首を振るい光をまとって前に叩きつける。
小さすぎてほとんどみえないけれど……もしやペラおじさん頭突きされた!?
そりゃ腕が振れるということは頭も振れるよね!
ペラおじさんがあの程度でなんとかなるとは思えないが。
ペラおじさんは死滅に乗っていたのだろう。
そしてペラおじさんが乗っていてアイツが乗っていないわけがない。
アイツは派手ではないが鬱陶しさはトップクラスだ。
私も朱竜の前に来た。
やることをやろう!




