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六百六十生目 変化

 朱竜の攻撃はこれまでためこんでうちはなつスタイルだった。

 だけれども振るうだけでここまで薙ぎ払えるとなると話が変わる……!

 私は"防御"したがあっけなく吹き飛ばされ。


 地形は吹き飛びついでに近くにあった兵器たちが空を舞う。

 次々と爆発炎上し兵たちの命も舞う……!

 なんというえげつない攻撃!


「うわあっ!?」


「ローズ様!」


 大きく吹っ飛んだ私をドラーグがキャッチ。

 いたた……凶悪になって威力もましている。

 降ろしてもらいすぐに駆けながら回復。


[ちょっとこっちの方もまずい]


 少し目を離すとどっちもおかしくなるらしい。

 アルセーラ朱竜のほうもフォウが書き込むように異様な変化を遂げていた。


 上半身はまるで脱げたかのように肉が削げ落ちている。

 なのに朱い骨組みが不気味に存在していたまま。

 青いアルセーラ像は完全に割れてあそこが上半身の弱点になっていそうだ。


 位置は首の付け根辺り……

 そして下半身はというと。

 こちらはドロドロに溶けたあげく更に訳のわからない融合を果たしている。


 手や足それに何本も伸びた節状の脚部が山のように膨れ上がった下半身肉体を支える。

 下半身はあれはあれで成り立っているのか火山口があちこちに出来て若干気持ちが悪い。

 全身弱点のようだが火山穴はたびたび噴火して溶岩とマグマと煙で攻撃してくる。


 上半身は肉がない分攻撃は通りやすいが内臓もない。

 また筋肉がないのに身軽に腕を振るっている。

 何か無い限り近づかないのが良さそうだというのは司令部の見解。


 だから今は兵たちは下半身によってたかって集中砲火している。

 特に火口は現場で魔物兵やアカネが突撃している。

 熱攻撃に対してほぼ無効化できる面々で突撃しているらしい。


 ここまで来れば誰だってわかる。

 もはやクライマックスだ。

 

 "神魔行進"の対象はリバイアサンとドラーグそれにコロロ。

 あともしかして出来るかな……

 アカネにも!


 神力の(エフェクト)線がアルセーラ朱竜のほうにまっすぐ行く。

 ……よし。

 繋がれた感覚。


 大丈夫そうだ。

 そのまま私は周囲に目を向ける。

 ドラーグやリバイアサンが繋がった力でさらに強くなっているらしい。


「よし……これで対抗できそうですね!」


[神力追加供給確認。リバイアサン機能拡張]

[完了。発射]


 リバイアサンの右腕と左腕にある頭。

 それがぐるりと回って目が輝く。

 一気に私たちの周りに(エフェクト)が発生し同時に身体がすごく動く……!?


 "観察"してみるといまので味方たちの全能力が引き上げになったらしい。

 しかも私たちというののは……

 小さな兵ひとりひとり含んでだ。


『何だ今のは!? 全員の動きがよくなったぞ!?』


『フォウの援護みたい! 今ならどんどん行ける!』


『よし、こっちも伝えてくる! ココが決め時だ!』


 ジャグナーとの念話でも士気がだいぶ増している。

 というよりもうみんなここで決めなくちゃ先がないことを理解してしまった。

 向こうがさらに攻めてくるのだから!


 朱竜の残り生命力は半分。

 アルセーラ朱竜は3割だが勢いよく減っている。

 突撃組が活躍しているらしい。


『全員に通告して。アルセーラ朱竜はもうすぐ落ちる、最優先はそちら!』


『了解』


 司令部からみんなにこれで連絡が行ったはず。

 動きがかわり軍たちの砲撃がよりアルセーラ朱竜に。

 リバイアサンがこちらにきて私と交代。


 朱竜にタックル仕掛けたのを横目で見つつ私はアルセーラ朱竜に向かう。

 アルセーラ朱竜は明らかに理性がないまま手当たりしだいに殴っている。

 急いで近寄り近くの砲台地帯に対して拳を叩き込むところで……


「させ、ないッ!」


 私の全身装甲つけてイバラバネジャンプし跳び蹴り!

 前までのサイズなら痛くも痒くもなかっただろうけれど。

 さすがに大きなサイズの私の勢いはあったらしい。


 軽い上半身にヒットしアンバランスな身体はすぐに転がる。

 横倒しになった肉体は腰下の重さで悲鳴を上げるように骨が鳴る。

 よしよし。


『助かった、今そこの地形を崩されるわけにはいかなかったからな』


『私にできることならどんどん言って!』


 とにかくアルセーラ朱竜を倒しきらないと。

 こちらも実は半壊しているらしいし。

 向こう……つまりピヤア団は既に壊滅状態の打撃をもらっていると聞いた。


 こっちは対朱竜用の用意だったけど向こうは包囲殲滅の用意だったからね。

 守りにこもったニンゲンを射抜く兵器が多くても朱竜たち相手には役立たない。

 早く1体撃破して少しでも朱竜に対応できなければ全滅もありうる。


 なにせ今朱竜のほうをチラリと見たら。

 あの炎がさらに変質していたのだから。

 少し浮いた後地面に向かって炎を吐いていた!

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