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六百五十四生目 巨獣

 アルセーラの口はブツブツと単語が出鱈目に並べられていく。

 まるで正気とは思えない。

 しかもわざわざ攻撃してくるし。


 剣ゼロエネミーを向かわせて斬り裂く!

 うわ硬った!

 感覚的には岩盤でも斬ってるのかと思うぐらいだ。


 剣ゼロエネミーは本物の地面くらいなら切り裂いてしまいそうなのであくまで例えとして。

 ただそれでもまったく無意味という感覚ではない。

 剣ゼロエネミーも巨大化させつつ硬い相手に対して攻めていけるよう変化。


(こういうのは、任せとけ!)


 ドライがゴリゴリに操作し削っていく。

 一方私の方はイバラを伸ばしつつ駆ける。

 目の前に岩棘が迫って身をひねることで削るように避ける。


 黄色い血が跳ねる。

 足を止めたらさらに背後から迫る土槍にえぐられていた。

 横にすぐ飛んで岩棘が空から振るのを避ける。

 せ……攻めにくい!


 炎ビームは"防御"で受ける。

 大丈夫。耐性でほとんど受けられる。

 問題は。


「ッ!」


 この時同時に岩を落とされたりする。

 剣ゼロエネミーなら受けられるものの私自身で避けつつ余波を受ける。

 岩の欠片でも勢いが凄まじく肉をえぐってくる……!


 相手自体は避けることのないいわばカカシだ。

 イバラの方は"龍螺旋"を中心に武技で攻めていく。

 音速ではたくと遅れて爆発!


 頑強とはいえ無効ではない。

 "無敵"を行使しつつ聖魔法"レストンス"! "セパレーション"!

 打てる手は打つ。射撃しまくって連続でせめて攻めてせめまくる!


「やあぁーーッ!! ガッ!?」


 しかし……回復しないで連続で受け続けるとしんどい。

 もはや何度目か。

 腹に穴を空けるかのような一閃。


 大量に土槍が生え私を刺していく。

 致命打は避けられるが……!


「何、アタシ、国、金、ウォールーううあううう!!」


 めちゃくちゃ痛い……!

 血が鱗にシタタと垂れる。

 もうだいぶ……まだか!?


「はあぁ!!」


 さらに攻撃を重ねる。

 聖魔法で切り込み切り分けて。

 浄化の光であぶり出す!


 浄化とは不純を純化させるということ。

 明らかにこのアルセーラは焼きやすそうな見た目している。

 実際痛いのかどうかはわからないが手応えはある。


 後少し……


「アルセーラ、正気に戻れッ!」


 大きく飛び掛かり。

 そのままアルセーラの体に前足をかけて。

 武技"地魔牙砕(ちまがさい)"!


 (エフェクト)で噛み付いて力で叩きつける。

 本来朱竜自体ならば土の能力でそうそう効かない攻撃。

 しかしアルセーラに深く刺さり刻んでいく。


 相変わらず生物というよりほぼ砦の壁……!

 でも大きくひび割れて胸が破れる。


 中から光が溢れ出ている……

 うわっ!?

 私の腹が鋭く刺され突き飛ばされた……!


「戦場の、神!! 魔王!! モロロラロロガオオ!!」


「うっ……ぐっ……」


 アドレナリンが限界を打ってきている。

 鼓動が激しい。人間のそれとは比較にならない。

 そして……私自身が輝き出し地面の鱗に投げ出される。


 やっときた……!

 重い身体を引き上げる。

 痛みをぐっとこらえ。

 内なる衝動を。


「これを待ってた……! "巨獣再臨"」


 私の周囲に止めを刺さんと岩棘が降り注ぎ土槍が飛び出し……

 全てが(エフェクト)で打ち払われ弾かれる。

 き……きつい!


 痛みとかじゃなくて体が変だ!

 熱く溶けそうなほどに。

 振り切れない熱量に浮かされて地面を蹴りアルセーラ朱竜から離れ落ちる。


 当然このままじゃあ地面に激突する。

 しかしなぜか問題ない気がしてきた。

 私は体の脚と腕を必死に動かして地面に伸ばし……


 その脚がなぜか地面についた。

 もちろん時間がたてばぐっと着地……というか落下するだろう。

 しかし現実はほぼタイムラグなしで。


 凄まじい力の渦に自身の体感覚が持っていかれ一時的に目も見えなかった。


「……ウウッ」


 つむっていた目を開ける。

 内側に流れる力が凄まじい。

 目の前には……


 あいかわらず大きなアルセーラ朱竜。

 あれでもなんか縮んだ?

 まわりの兵器たちが……小さい。


 違う!

 コレ私がちゃんと大きくなれたのか!

 五感が戻るにつれ状況が把握できる。


 まず私のサイズ。

 朱竜たちよりずっと小さい。

 しかし前の時は飛び回る蚊ぐらいだったのがちゃんと全体像把握して向き合えるほどに。


 つまり大きくなっただけで普段の戦いサイズ差ぐらいか。

 よく普段から数メートル差の相手はしているからそのぐらいかな。

 そして。


 私は前方にアルセーラ朱竜で背後に朱竜がいる。

 フォウのリバイアサンさんはちょうど上から飛んで合流してきた。

 船もそこそこ近くを飛んでいる。


 内側から力が溢れ出してくる……

 まるで……抑えきれない!


「ウオオオォォォォーーン!!」


 当たりに声がエコーし響いていく。 

 砂煙が舞い(エフェクト)が私から発せられ辺りに散る。

 す……すごいスキルかもしれないこれ!


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