百六十九生目 軍事
ほい交代。
穴子達をドライがボコって怪我を治療してから私に変わった。
来世では5匹とも末永く生きられるように祈っているよ……
さてマグマに穴子が沈む前に遺体を回収。
今回必要なのはこの穴子の身体だ。
殺した挙句遺体を利用するだなんて死者への冒涜待ったなしだが正直食べるのも同じ様なものだから仕方ない。
世界のルールは強い。
ここに集めた5匹の遺体を空魔法"ストレージ"で作った亜空間に回収。
容量はぎりぎりと言ったところか。
さてはてここにはもう用は無いし帰るか。
(あ、ちょっと待って!)
うん?
どうしたのアインス。
(このじめんのじょうほう、あつめられない?)
"ジオラークサーベイ"?
うんわかった。
ということで数分かけて地魔法"ジオラークサーベイ"を唱えた。
光が地面に染み込んで少ししたら帰ってくる。
そしてなだれ込んでくる周辺の地面情報。
(おおー、やっぱりなんとなく、すごい! っておもったんだ!)
すごい? なにが?
(ここ、ほうせきとか、てつとか、こうせきいっぱいだよ!)
え、マジで?
そいやあ何やかんや火山の外は掘り返した跡が多かったっけか。
火山の中でも希少品があるのはなんとなくそんな気はしていたが……
覚えておけば希少品を手に入れ放題かも。
アインス、今のデータをあとでどこかに写すからちょっとまとめておいてくれる?
(わかったー! うわー、ココすごいよ!)
うん詳しいことは気になるが一旦戻ろう。
空魔法"ファストトラベル"で九尾家に戻る。
九尾家に入って穴子たちの遺体を引き渡した。
「派手にやったようじゃの」
「さすがに本気の殺し合いだったからね……」
「まあ必要なのはこいつらの皮じゃからなんとかなるわい」
そう言って九尾は穴子をさばき出した。
そこは任せておけばいいだろう。
私は九尾に言って一旦帰ることにした。
群れへと戻ってきたら今度はユウレンの元へ向かう。
相変わらず骸骨づくりをしていた。
「ユウレン! 頼みたいことがあるんだけれど!」
「あら、何かしら?」
「今から送るデータをどこか紙に書けない?」
「そういうことなら……カムラ」
ユウレンにそう呼ばれたらカムラさんがどこらかともなくすっ飛んできた。
え、今どこから聞きつけてやってきたの。
こわい。
「はい、こちらです」
「カムラ、ローズから思念を受け取ってそれを書き留めておいてくれないかしら」
「わかりました。では準備をします」
そう言ってカムラさんは机やら筆記道具をテキパキ揃えた。
ええと、送るデータは……
「こんな感じのものです」
「……わかりました、順番に書いていきます」
そう言うとカムラさんはサラサラと流れるように筆記しだした。
めちゃくちゃ早い。
手慣れているようだ。
流れるような動きを見つつ私もデータを確認した。
それは何と言えばいいか、画像データのように脳内にある。
アインスがまとめてくれたからだ。
だから改めて良く読まなければ私ですら理解が出来ない。
同じ脳を共有するはずのアインスがやったことでもわからないのはアインスが意識単位で離れていたからかもしれない。
そのおかげで私の知らないほどに私の身体の力を引き出してくれるのはありがたい。
おそらく私の元人間だったころの記述を参考にしたのかデジタル書類のように表が作られていた。
パラパラと見ていくとはっきり言えば驚くほどに貴重品の宝庫だった。
もちろん鉱石たちは一度インゴット加工できなければ大きな価値は生み出せないが……
鉄や銀や石炭はともかくとして見てもわからない金属が多数あった。
これはおそらくこの世界オリジナルの金属。
魔力でもこもっているのだろうか。
しばらくはカムラさんが1ページ分書き終えれば次のデータを"以心伝心"で送ることを繰り返した。
そこにジャグナーも通り掛かる。
「お、なんかやってるねぇ。そいやさっきアヅキ殿にグンジトケイビはお前の担当とか言われたのだが、何のことかわからんと言ったらローズ殿に聴けと言われてな」
「ああ、ちょうど良かった。これから説明するよ」
軍事と警備に関して説明した。
まあ改めて考えることでもないが警備は大事だ。
これだけ多種多様な種族が揃っているからアッという間に事故が起こるだろうからだ。
それに軍事は……まあやはり今後も何もなく平和であれば良いのだがそうではないこともあるだろうし。
私や一部だけが最前線で戦っていればどうにかなる時代はいつまで続くかわからない。
特にこの大規模な数を守ろうとしたら。
その分ジャグナーの腕力と戦闘脳は役に立つはずだ。
「なるほどな、そういうことなら得意だ! 任せておけ! 早速だが目ぼしいやつならいくらか見かけたからこっちでもらって鍛えて良いか?」
「うん、良いよ。無理しない程度にね」
よしよし、ジャグナーはなんとかなりそうだ。
次はアヅキかな。