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六百四十二生目 再来

 過去の朱竜を降臨させて現在の朱竜と揃える。

 そんな無茶苦茶な計画を聞かされた。

 神でも想定しないような『当時の復刻』だぞ……!


「ひと柱でダメだったとしても、ふた柱なら話は別さね?」


「どう考えても、良くないことが起こる!」


「ハッ! 負けるのは我が神の威光を羨むものばかりさね!!」


 私はすぐに飛びかかる。

 これが長年に晒された狂気……

 神とかの長命存在並に生きたニンゲンの末路。


 というか近くに神に飼われた神がいるからなんかああいうのこじらせるっぽいんだよなあ……!

 目の前の相手もほぼその同義だ。

 しかも背負うものが国だ。


 朱竜だけならばただ信仰に殉ずればよかったかもしれない。

 自分たちだけならば流れるままに生き進めていけただろう。

 しかし当時のエリートとはいえ新兵が国を背負ってしまった。


 長く押しつぶされながら先頭を走り続けなくてはいけなくなり。

 悪事の味を覚えどんどん肥大化して行き。

 それなのに初心を忘れることもかなわず。


 朱竜を2体とかどうなるか見たくもない!

 最悪星が滅んでもおかしくない。

 ほら。時間軸の違う自分と触れ合うと宇宙がヤバい……というやつ。


 そうじゃなくても常勝等の神力を強大に持つものが並び立つのだ。

 朱竜同士がどう思うかは別としても余波だけで世界が狂いそうだ。

 なにせこの昔の時間に戻す渦自体が単独の矛盾で起こっているんだから!


 私はイバラを伸ばしながら武技を準備し剣ゼロエネミーや銃ビーストセージにセットアップを行う。

 アルセーラは指を鳴らすと金貨たちが舞いあがりアルセーラの周りを飛び回る。

 そして例のごとく時空の渦が少し発生しだした。


 しかし私の攻撃を弾くには十分だった。

 というより単なる破壊力ではどうしようもないような……

 不可思議な感触と共に弾かれ私ごと吹き飛ばされる。


 擬音にするとガインッだろうか。

 結界とはまた違った。

 いけるか……? 神力で。


「うふふふふっ! アタシの力はどうさね。財力! 本当に金に糸目をつけない実力。ほら、さらに追加さね。朱竜様のために!」


「この、だったらこの金貨たちを……」


 ――響き。

 私たちの動きが恐れて思わず止まってしまうほどに。

 それは地の底から音が響いてきた。


 私が昔"観察"したときに見た。

 朱竜のフレアブラストという技。

 後で知ったがその時使われたのがその大技だった。


『映像、映像を回す! こちら司令部! 全員これを見ろ……朱竜だ!』


 何があったのか。

 そこには(・・・・)火山があった(・・・・・・)

 私がずっと心の片隅に思っていたこと。


 ――朱竜とは炎を象る生物じゃない。


 あまりに巨大な影はその火山が噴火し噴煙とマグマを上げているところから歩いてとおってる。

 時空の嵐も思わず押されて裂け目ができたらしい。

 そこに歩むのは……朱竜。


 巨大すぎる身体はまるで火山がうごいているかのように。

 魔王の乗り物とどっこいどっこいなほどに巨大なその姿は。

 あまりに赤熱をしていた。


 ――朱竜とは湧き上がる大地そのものを象った存在。






 私が土の加護を得て黄色い血液が流れている。

 加護ということは大自然から付与されたものなのだ。

 その大自然の象徴が……加護を与える側が念話で送られてきた映像の朱竜だった。


「グァ――――――――ァァァ……!!」


 地震。

 こんな遠くからでも届くほどの叫び。

 竜の叫び……


「おお……」


「っとと……」


 倒れかけるのを踏ん張って耐える。

 アルセーラも動けないようだ。

 きっと今……戦場の全てが止まっている。


 たったひと声で戦争が一時停止した。

 全員がひざを崩して仰ぎ見る。

 常勝の神を。


「ほう。大神(オオミカミ)の登場であるか」


「「誰っ!?」」


「って……ゼクシオさん!?」


 さっきの振動がとどめでウォールの張っていた壁は完全に崩れていた。

 そこから堂々はいってきたのはリーダーやローズクオーツたちではなく。

 いかにもカルクック的な使い魔に乗って散歩してきたという面持ちでやってきていた。


「戦いが止められた気配がした。そして激化する気配もかんじておる。故に現れた。それもまた戦い故」


 いきなり乱入してきてはたまたわけのわからないことをいう相手に対してアルセーラすらあんぐりとしていた。

 本当になんなんだろうね……

 私もこの神のことよくわからない。


 そしてここまでバシバシ神力を放っているだけあってアルセーラも相手がただものではないことは察したらしい。

 神使だから神力も感じられるし。

 改めて身構える。


「だ……誰さね!」


 私とゼクシオ交互に見る。

 私は全力で否定。

 ええ……? と言いたげな顔のアルセーラ。


「我は戦場(いくさば)の神。名は各々の伝承がある。好きに呼ぶがいい」


「嘘……パ・テンケさね!?」


 らしいですよ。

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