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六百四十一生目 冒涜

「うーむ……」


「そうくるか……」


 外から見るとおっそろしく地味な攻防が繰り広げられているが。

 結界内部からしたらてんやわんやの大戦争である。


 互いのミニ自分は自身のリソース。

 多く使えるが多く使えば使うほど疲弊するし裏を突かれる。

 侵入側もうっかり裏を突かれたら負けるのだ。


 ミニ私がわーわーと突入して行き隔壁が閉じられ後続と隔離される。

 罠で倒されている間に横の道から潜んでいたミニ強私部隊が殴り込む。

 向こうのリーダーたちをボコボコにして次へ。


 そんな感じで進んでいく。

 場を支配して相手のリソースを削って。

 1手1手どちらがこの結界支配するか汗をかきながらやる。


 リーダーに至っては変身を解いている。

 変身で浪費するエネルギーすらもったいないのだろう。

 集中もこっちに割きたいと。


 ただ結界の支配に力を裂いてもセキュリティが甘いままなら問題ない。

 確かに時間はかかっているけれど……

 そちらも余裕がないのなら上々。


 重要なエネルギーを巡らすポイントを抑えて無効化。

 端っこの結界が砕けた。

 みんなが顔を合わせてそこから中の壁を殴り始める。


 結界の内側でもラストスパートの戦いになる。

 内側総力戦では外側あちこちの結界にヒビがはいったり。

 逆に修復をされたりと。


 地味だった外側も今ではすっかり派手になってきた。


「ぬ……おお……」


「む……ぬくく」


 むしろこの最終場面こそが侵入側も危険なところ。

 侵入しているリソースを最も遠く広くに送らなくてはならない。

 負荷もそうだが侵入側が多くの経路や面を制圧し続けないといけない。


 どこか食い破られれば元々向こうの土俵。

 取り直すのにこちらはさらに数倍大変になる。

 それが結界のヒビ攻防に対して現れていた。


 ただ……

 残念ながらこれはテーブル上でやる駒遊戯ではない。

 持ち前のリソースや神力の差それにスキルでの理解度。


 "銀の神盾"を持っている私には明らかな対抗は困難だ。


「これで、終わり!」


「ば、馬鹿な……!」


 大きく結界にヒビが入り。

 割れた……!


「今だー!!」


「「やぁー!!」」


「や、やばい」 


「うぉ、オォ……!」


 こうなった、押せ押せの大合唱。

 岩壁はみんなが爆破しようと攻撃しているし……

 私は"見透す眼"からの(くう)魔法"ミニワープ"!


 壁の向こう側。

 それはリーダーたちすら飛び越えて。

 炎に包まれた神域の空間内。


 アルセーラはそこにひとりいた。

 ただしとある物に囲まれて。


「こ、これは……?」


「おや……? もう 通してしまったのかい……ったく、あんたらは恐ろしいさね」


 アルセーラもやはりあくまで時間稼ぎとしか考えていなかったらしい。

 こちらを見ても慌てずさもありなんといった様子だった。

 既に浪費する変身は消している。


 そして手元にある袋の中に手を突っ込み。

 中から取り出したのは古めかしい金貨。

 ……あの過去兵を呼び出し使役したものだ。


 大きく周囲に振りまいた

 しかし1枚も床にはおちずチリチリと金属音を奏でる。

 ……辺りにはその金貨たち含むあきらかに媒体らしきもので溢れてイたのだから。


「本当はもっと行程や配置それに宗教的に大事な儀式、より効率の良いやり方……色々あったんさね。ただ中途半端になっちまったから、こんな不格好にもリソース全部つぎ込むような真似にさせられているんさね」


「ここにきて、そんな量を……? 何をするつもりかわからないけど止め……いや、まさか!」


 ……朱竜の玉座。

 ここがそうだとアルセーラが知らないはずがない。


 アルセーラは戦いの最中1つだけ大嘘をついた。

 この先を調べさせたが何もない空間だと。

 半分は本当だ。


 すでにここの主は私たちが倒した。

 戦いの最中なんて常ににおいも入り乱れ深く言葉を吟味なんてしなかった。

 攻撃1つ1つブラフやフェイントが交じるからどれがどの嘘のにおいなんて判断していることは難しい。


 読みを1つずらしてこちらの予想を上回れば……

 それだけで一気に形勢を変えられる。

 そして隠していたものがあまりに馬鹿げていて非現実的で……


 ギリギリまでバレなければ何もかも変わるとしたら。

 

「長年生きてきたのに、ただの生娘と同じ扱いはあまりにむなしいじゃないさね?」


 あまりにいい笑顔だった。

 唇が裂けて耳まで辿り着きそれでも笑うかのような。

 悪魔の笑顔とはこのことか。

 ……おそろしさに震えた。


「朱竜様を2柱にする」


「過去の朱竜を現代に呼び戻す!?」


 そんな馬鹿げたことをと言いたくなることを。

 彼女はずっとここで準備して行っていた。

 あの日誓った後から……それはもはや。


 あの狂気に満ちた顔は。

 妄執そのものではないか!


 というかそのために自分の神を増やすとかもはや何!?

 こう……冒涜という範囲なのか!?


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