六百三十六生目 復活
ローズクオーツはまだ回復させないと難しい。
リーダーの相手は1度勝っている相手だ。
油断せずいこう。
リーダーはおおきく両腕を掲げ……
手と手を打ち合わす。
そのまま広げたら水と毒の混ざった大きい壁が広がり廊下を埋め尽くす……
これでアルセーラのほうにいくのはすこし難しくなった。
ワープすればいいとは言えワープ後スキを狙われたくない。
それに……リーダーも放置ではいけないだろう。
私は銃撃しつつローズクオーツを安全な場所に。
魔法も準備して迫る。
リーダーは多少のダメージは腕で防ぎ皮膚から捻出される毒で溶かしていた。
なかなか毒の粘液は汎用性が高そうだ。
遠くからの射撃に対してグニャリと衝撃を吸収。
先端を溶かして肉体に対してそこまでのダメージを与えないようにしている。
舌をすばやく伸ばしてきたのを私はイバラで受ける。
舌が一瞬でイバラに巻き付いた。
トゲをうまく避けている。
「あ! ローズオーラ様危険です!」
「え? うわッ」
突如凄まじい力によって私ごと引っ張り上げられる。
離脱しようとしたときには床へ叩きつけられていた!
くっ冒険者はどの体勢でも受け身をとれてなんぼ!
しかし問題はそこじゃなかった。
跳ねている間に上から迫る影。
巨大な毒液ボールを両腕で掲げたリーダーの姿。
「死ね、忌まわしい記憶とともに!」
リーダーが腕とともに毒液ボールをぶん投げてきた。
大盾化ゼロエネミー!
針鎧!
そして"防御"!
三重のガードを重ねさらに液体特有のわずかな隙間をねじ込み落ちてくる力。
「ウワァーッ!?」
「ハハハハハ……どうだ、思い知ったか!」
汚泥の中に沈みあがき。
必死に体勢を立て直す。
いつぶりだったかの毒まみれ。
身体を振るい毒を落としたが全身から痛みとともに蒸気が上がる。
あんまり良くない状態だな……
私は首元と尾をイバラにして赤いトゲを生やす。
「ハハハハハッ! どうだ、毒の苦しみは! 私が味わった苦しみを、お前も味わえ! 正直、アルセーラさんがあなたたちを仲間に引き込もうとしているようですが、私にとってはどうでもいいんですよ」
溶けた毒で視界が塞がろうが"見透す眼"で視界を確保する。
このぐらいの痛みがなんだ。
神に弄ばれた毒は更にひどかった。
そして何より……
……一方リーダーがさらに渦巻く水の塊を生み出している。
毒気がまじってにごり明らかにろくでもないものだろう。
「これでトドメだ、ローズオーラァ!!」
そう。そしてなにより。
まだ私は息をしている。
耳はふさがっていない。
ニンゲンとは違うのだからそれだけで十分だ!
「……そうれっ!」
私は土魔法"Eディストラクション"を放つ。
小さな範囲での地震そして地割れ。
リーダーを中心に襲いかかる!
「なっ!? こっちの位置がわかって!?」
リーダーは水を放てなかった。
揺れてバランスをとっていたら足元が割れ……
制御を失った毒水は崩壊し逆にリーダーを飲み込む。
「おぶっ!?」
効果はまあ期待できないが地割れへ挟まり落ちた土魔力ダメージは期待できる。
水毒の壁も順に崩れていった。
私は自分の溶けた毛皮や皮膚を手早く光魔法"リフレッシュ"による状態異常抵抗と聖魔法"トリートメント"による治療痛覚悟の傷の拒否……つまり再生だ。
「ヤアァッ!!」
更にまごついているリーダーに対してイバラを連続で叩きつけ。
剣ゼロエネミーで武技"回転斬り"をして。
着地。蹴り上げて。
武技"すくい上げ"から。
銃ビーストセージの"打上花火"!
「グゥ、グワアアァ!!」
「す、すごすぎる……」
ローズクオーツが驚きのあまり体が動ける範囲で治ったのに呆然としていた。
まあ相手が明らかに油断していたからね。
カエルだから歯はなかったけれど。
さて水壁の向こうではアルセーラが宙に色々浮かべて待っていた。
何か重大な魔力を秘めたコインのような……
少なくとも安物ではなさそう。
アルセーラは私の方にあるいてくる。
同時にコインたちが小さな時空の渦に飲まれた。
「ええっ!? 時空渦が発生した!?」
「さあ、真価を発揮するさね!」
アルセーラが指を鳴らす……かわりに爪を上に指す。
渦が散るとそこには……
火の城内にいた正規兵たち!?
彼らは恐ろしく強い兵として壁に立ちふさがって来たのは記憶に新しい。
イオニムシの次に強い。
更にアルセーラが爪を私に向けると4体ともども私の方へとかけてきてアルセーラを守るように剣を掲げる。
「言うことを……聞いている!?」
「朱竜様から不本意とは生じた力が弱いわけがない……そこから長年調べ上げ、アタシたちはより深く、確かな利用ができることを知り得た……コレはその一端。さらに完全に城周辺を戻すことも、あの頃の軍やメンバーを、まるで何事もなかったかのように復活させることも出来る……と言ったらどうさね?」
ちょっとコレは聞いていないかな……!




