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百六十七生目 講座

 交代! っと

 "私"ことドライによる狩りの時間だ!


 ログロナゴという穴子は"私"に背を向けてもう邪悪な音がしないことに安堵している様子。

 ここで改めて攻撃の講座だ。


 この世界での攻撃に分類されない程度の攻撃がいわゆる無行動力攻撃。

 普通に"私"が前脚を振るっても爪先が鋭利に空気を裂くが残念ながらこの世界の魔物たちの頑丈さにはまるで通らないだろう。


 次に攻撃というのが通常の行動力を込めた攻撃。

 私は"近接攻撃"としてまとめられているがスキルでの攻めになり(エフェクト)を纏う。

 その分バレやすいのでギリギリまで殺気を隠して穴子たちに近づき……


 1番後ろにいる奴に思いっきり斬る!

 エフェクトを纏いザクッ! と穴子を引き裂いた!

 不意の攻撃に対応しきれず他の4体は驚愕し攻撃を受けた1体は(たお)れる。

 1やり。


 急速に手頃な位置にいる1体に近付く。

 そして講座の最後は武技。

 今までは小手技が多く単純な威力はわかりづらかったが武技はスキルの中ではきちんと条件を満たせば恐ろしく威力が跳ね上がる。


 穴子が完全に体勢を立て直す前に武技を放つ。

 頭の鎧を変化させて槍のように尖らせ"乱れ突き"!

 力を込め槍先から背中にかけてエネルギーをため(エフェクト)を散らす。


 下がろうとしてももう遅い!

 "私"の全身が狂ったかのように高速で前後し輝く穂先が5回ほど穴子に向かってうち貫く。

 1発は外れ2発が皮を削りさらに2発が穴子を串刺しにした!


 マトモに対応できず貫かれた穴子はそのまま耐えきれずに絶命した。

 貫通した穴からは程よく血が溢れている。

 燃え盛るように熱い火山でも蒸発したり乾燥したりしないらしい。


 1手で5連突きというのは単純に高威力だしこの瞬間だけ行動力によって通常では考えられない動きと力が使える。

 これが武技だ。

 残り3体。


 当然"私"であろうとも3体にマグマのような熱を浴びせられる攻撃をされまくったら危険だ。

 強力な1匹よりも平凡な数匹の方が遥かに恐ろしいことはよくある話。

 囲まれるのを阻止するためにすぐに走り出す。


 ……と思ったら向こうが恐怖したのか1匹マグマに向かって逃走した。

 こちらに向くのは2匹。

 ラッキーだ。


 武技の弱点は派手なエフェクトや決まった動きに制限される点とそれ相応の消費行動力だ。

 気をつけていなければ行動力枯渇の原因になる。

 まあ"私"は"無尽蔵の活力"でよほどムリしなければ持つのだが……


 向こう2匹はその大口を開けて体内から何か吐き出した!

 赤く燃えていて触っていい気はまるでしない。

 ガードは危険と判断して"空蝉の術"で地面を畳替えししつつ影避け。


 印象をその場に残して素早く避けるとひっくり返した地面がジュッ! と鳴りとんできたものがそこに引っ付いた。

 ドロドロとしたそれは明らかにマグマ。

 大気で冷えて固まる。


 このマグマ住みのやつらにとっては特に珍しくもない攻撃らしく第二射がすぐに来る。

 あんなん食らったら燃えるだけで済めばまだ良いほうだよ!

 マグマ内の常識の世界はエグい。


 すぐに地面をひっくり返してこいつも地面に受けさせる。

 "私"自身は今の全身甲冑(フルアーマー)状態では早く動くことも連続で避け続けることも難しい。

 ただマグマそのものはここの地面を溶かす事は難しいようだ。

 まあこの地面も元マグマだろうしね。


 ただ"私"がこの裏に隠れているというだけではどうしようもない。

 "透視"で向こうの様子を見ていたら構えが変わった。

 ドンという音と共に彼がまた何かを発射する。


 あ、マズイ。

 "防御"!

 今度はひっくり返した地面が壊れる。


 ゴンと嫌な音と共に"私"に当たったのは岩。

 正確には溶岩の塊だろう。

 ある程度冷えて強度と重さが増した溶岩を放ってきやがったんだ。


 イテテ、鎧は貫けないが熱いし痛いしタンコブできそう。

 そんなこと考えていたらさらに次の射撃。

 慌てて新たに地面をひっくり返してマグマを受ける。


 マグマを受けたらすぐに岩が飛んできて壊されるから走って移動。

 すぐにマグマが飛んでくるのでまた地面をひっくり返す。

 この繰り返しで地道に移動するしかない。


 何か魔法を放って反撃しなくては。

 土魔法で……


[アースレイン 土や砂粒を勢い良く雨のようの降らせる]


 直接的な高火力はないが範囲が広く陸では遅い穴子は避けられまい。

 行け!

 魔法が形となり宙に泥や砂が発生する。


 それらが突然の豪雨となって穴子たちを襲った。

 本当は水のほうが良かったがあいにく水魔法はないからね。

 それでも振るのは泥やら土やら砂。


 ドダダダダダダダダ!!

 激しい音を立てて雨粒のように土粒が落ちていく。

 悲鳴を上げるまもなく穴子たちは土が当たりそのまま埋められていった。


 ほんの十数秒ほどで豪雨ならぬ豪土は降り止んだがその場に残されたのは大量のつちくれ。

 モゾモゾと動き出して1匹の穴子が顔を出した。


「こんにちはー」


 もちろん"私"はその前に移動済み。

 もう1匹も隣で顔を出した所を前脚に力を込めて武技……

 "回転切り"!!


 鎧を変化させた爪がエフェクトを纏って斬撃が円となって切り取る。

 穴子2匹の頭は吹き飛び血が雨になるために噴き出た。

 おっとっと、回転しすぎて目を回さないようにしないと。

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