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六百二十三生目 灯台

 (くう)魔法"ゲートポータル"は特定の2箇所を空間無視でつなげる魔法だ。

 今作ったゲートAはまだ機能していない。

 しかしこのゲートがはたして外に行って帰ってこれるのかは調べられる。


 機能不全チェック機能というやつだ。

 えーっと……

 いけ……そう。


 いやこれいけるな。

 いけちゃうわな。

 外にaゲートを設置してくれれば問題がなくいける。


 符号は連絡すれば合わせられるが問題として向こう側もそれなりよ力を持つものが必要。

 というわけで作戦本部に連絡。


『かくかくしかじかって感じなんだけれど、いけるかな?』


『いきなりなんてことを……!? 実際助かるけれど、まあ話を回せるけどさあ!』


『ゴメン、行けるかなと思ってただけで確信はなかったから』


 というわけで話を回せてもらえるようになった。

 このゲートが勝手に他と繋がることはない。

 少し待つ。


 こういう時に寝る。

 向こうも事情があるからすぐには来ないだろうし。

 冒険での睡眠とまとまった普段の睡眠はまた別のものだからね。








 というわけでぐっすり眠って少しして。

 念話が入って身体を起こす。


『もしもし? 向こうの準備が出来た。一気に開けるなら開いてほしい相手は――』


『えっ!? わ、わかった!』


 聞いた相手に念話をつなげゲートの符号をあわせる。

 Aゲートとaゲートが繋がったことを示すように稼働しだす。

 ぐるぐる回りだして光の膜が張られ景色が変わりだす。


 

 やがて向こう側の景色が映る。

 アノニマルースの門が見えた。

 そしてゲートを開けた面々も。


 そこにはアカネが謎のマントをなびかせ立っていた。


「おまたせ、ローズ。援軍をつれてきたよ」


「アカネが参戦してくれるだなんて、おどろきだよほんと」


「バカなダカシに代わってアカネちゃんが参戦なのです」


 謎のマントをバサリと腕で払いアカネが中に入ってきた。

 ……ついに外部との交通が再開できるぞ!


「ところでそのマントって」


「さあ、たくさんの兵隊さんたちが待っている! 追加支援もたくさん! 他の道も待っているから、仕事をしよう!」


「マント……」


 ザッとマントを翻してさっさと歩いていった。

 えぇ……

 コレはあれだなあ。


 兄から変な成分だけ受け継いだな……?


 さらに中から次々とやってくる。

 無言の雷神。

 付き添ってくる兵たち。


 雷神はもともと後出しする予定だったらしい。

 途中から参戦して引っ掻き回す役。

 戦力の随時投入ぽいが守備である以上息切れしないことと手の内を完全に明らかな状態にしないことは大事だ。


 それに対朱竜時の重要な防衛役になるってこともある。

 さらに続いて私のゴーレム組であるクオーツとノーツが来た。

 彼らは戦争に参加すると言うよりは朱竜戦時に役割がある。


 朱竜は最強だが……

 朱竜は無敵ではない。

 そのことを改めて認識させられた。


 突け入るスキはある……と思う。

 私の思うものならばいくつかの対策ができる。

 少なくとも司令部はみんなを賭けにださずに済むように配置するはずだ。


 他にもゾロゾロ入るのを見て作戦本部にひとこと念話。


『もしもし、作戦成功しました』








 無事ワープを開けた。

 しかも1つ開けた影響か私が探す前提だが次々開けるようになった。

 仕組みとしては前開けたワープ拠点を私が許可する形でハブにして開いているようだ。


 普通こんな状況に陥らないので単なる思考実験例があったんだけれど知っててよかった雑学。

 さらに竜巻内は干渉がないためある程度おおざっぱに目的地には"ファストトラベル"で飛べる。

 現状偵察どおりならばこちらが大幅な有利で進められている。


 問題は多い。

 まず向こうの最大目的達成方法が不明のまま。

 どうやってここから竜巻を最大化なり解放なりする気なのか。


 はたまたそういった情報もブラフなのか……

 当然向こうの頭もわからない。

 こちらは明らかにフォンダター派閥の征火隊がトップをきっている。


 しかし向こうは誰がトップかわからない。

 おそらく偵察する限りではあの空に浮かぶ巨大な飛空艇にいるのではないか……とされていた。

 絶対ピヤア団幹部は関わっている。


 ピヤア団幹部は今まで裏の裏で活躍し続けていた。

 暗躍というやつだ。

 ただ今回明らかに派手な資金投入と過去からの準備が大きい。


 アノニマルース街での暗躍時も肝いりだったらしく隠れてはいたが現地まできていた。

 ……そうか。


「違う……」


 彼らは敵の懐でぬくぬくと状況を見守る。

 派手に悪事をやらかしてる場所ではない。

 カルトス団がらみの時もおそらくは直ぐ側に幹部級がいたのに気付けなかった。


 その可能性があるのなら。

 私は冷や汗が滲むのを感じた。

 私達は逃げて急いでいたのではなく……


 もしかしたら追い立てられたのかもしれない。

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