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六百七生目 変容

 雷撃戦は近代的に難しくなった……

 しかし脅威なのはかわりない。

 今度注目されたのは兵站だったらしい。

 らしいというのは私は軍事になんてそんな詳しくないからだ。

 前世の記憶を引っ張り出せてもそれがなんなのかまるでわからないし良か駄目かもわからない。


 そんな曖昧な状態だからただしく理解できているかは微妙だが……


 ジャグナーは早めに兵站技術を取り入れていたし征火隊含む軍も兵站の重要性は理解していた。

 特に今回みたいに略奪とは言っても何を? みたいな場合において兵站は死ぬほど重要となる。

 潤沢な後方支援さえあれば摩耗せずに戦い続けられる……そうだ。


 つまり軍全体が疲れる前に回復しつづけるということ。

 兵站をもちいて豊富な支援をもとに壁を築きずっと展開した部隊を耐えるという仕組みだ。

 とにかく徹底して死者や負傷を減らしなおかつ敵の息切れを狙う。


 向こうが遠征してきている今回は特に相性がいい。

 相性が良いはずだった。

 さらに私達はその支援を受けてンジャ・ログ城を落とす。


 速攻でそれを行うことで戦争の大部分の意味を終わらせる。

 そして次のフェーズに移行するのが目的だ。

 ゆえに停滞化や鉄壁化狙いに見せかけた電撃戦というのが主な狙いになる。


 だからこそここでいきなり大型兵器たちのドンパチになるのは想定外だった。

 亀のように籠もりつつ的確に刺していくのが狙いなのにこれではまるで逆だ!


『なんで戦線が激化を……?』


『向こうの変身とかいうやつだ……あれが戦場に本格導入されたら、戦場の常識が変わってしまう。兵器の時代が、個人の動ける兵器による活躍になる!』


『変身……! 前もかなりあれこれあったけれど! まさかそんなに悪い方向に!?』


 変身……それは私達がなんどかプロトタイプに出会ったものだ。

 明らかにあらゆる動きを試して使われていたのは明らかでこちらでもいろいろ調査をした。

 まず少なくともプロトタイプ変身は無反動ではない。


 元々が悪魔憑きのエネルギーやパワーだけを抽出し意図的に行えないか考えられたものだ。

 大量の非人道的実験により生み出された。

 その結果に相応しいと言ってはなんだが変身は肉体や精神そして魂に毒だ。


 長時間の使用……といってもほんの十数分の使用後にダウナー気味の症状。

 使用中は逆に過度なハイで狂暴性や攻撃性が増す。

 また連続した使用が見られる相手は平常時に幻覚や幻聴を覚えた。


 またそれらに対し異様な反応を見せる。

 精神が本人の知らぬ間にすり減っているのだ。

 さらに虚脱気味になったりボーッと意図をしない思考や身体の空白が発生。せん妄だ。


 そしてさらに症状が進んだ者は意味がわからない言葉をつぶやきまくりなおかつ強迫性障害が発生するらしい。

 被験者が少ないのでなんとも言えないが少なくとも集団ストーカーの空想を抱いていた。

 ただここで魂を診れるタイプの……つまりホルヴィロスの投下で事実が発覚した。


 魂が悪魔に汚染されているのだ。

 共通して再度変身をしたがるということがあったがどうやら悪魔の力が囁いていたらしい。

 幻聴や幻覚も悪魔の力が見せていてそれを弱さとし強さの象徴である変身に逃げさせようとしていた。


 ホルヴィロスによる治療で被験者は回復。

 ただ……あのままだと。

 悪魔憑きよりもひどい段階に進む可能性も指摘された。


 ちなみに被験者とは勝手にアノニマルースに乗り込み変身して暴れたものや各地で暴れた際に捕縛できたものだ。

 どうすれば変身を消せるか……または良いように転用出来ないか研究そして治療をしていたもの。

 人道に劣るマネはしていない。

 ニンゲンではないけれど。


 つまるところ言えばすごく不便な能力なのだまとめれば。

 擬似的に"進化"のように強くなり悪魔憑きのデメリットをなくしたものともいえなくないが……

 あまりに反動が大きすぎる。


 まさしく悪魔の力……誘惑そのものだった。


『変身使用者が簡単に強くなれてしまうとは聞いていたが、変身をきっかけ周囲も変身するだなんて話はなかった。それに、明らかに手軽になっているだろうな、自発的に変身するやつの数がとんでもなく多い』


『そ、そんな!? 前は周りが変身を誘発されるなんてことは……』


『数とあの特有な頑強さでゴリ押しされれば兵器で打ち払って対抗するしかない……まんまと使われされたんだ』


『そ、それでも、使用可能時間は短いはずじゃあ?』


『わからない……プロトタイプよりも効能を上げてくることは予想されていが、これではまるで別物だ。おそらくは想定を遥かに超えた向こうの兵站に秘密がありそうだ。向こうも単独の強さを活かして戦場を入り乱して帰っていっているあたり、実際には厳密にひとりあたりの行動時間があり撤退させ、交代させつつ復活の措置をとり、そしてまた前線に送り込んでいるのかもしれない』


『うーん……そこはそちらでも協議をしているわけだ』


 想像でしか語れない部分が多すぎる。

 おそらく変身乱用するためのデメリットを向こうはなんとかしているはず……

 それが兵站の中に薬剤とかであったなら……


 そして頑丈さに関しては私も知っていた。

 悪魔の目以外の部分は異様に頑丈だという特徴だ。


 悪魔の目をどうにかしないと突いても叩いてもどうしようもない。

 彼らは体がちぎれとんでも再生して向かってくる。

 兵器で吹き飛ばせばまだ……といった具合だ。

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