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六百五生目 不解

 私達全員がはしごを登りきった。


「お、ちゃんと続いてんじゃん道」

「ちゃんと立て、落ちるなよ〜」 「もっと木登りとかしろ」


「ひいぃ〜高い!」


 ハウコニファーじゃないけれど高いのは同意だ……

 足が地についているだけマシ。

 ただハウコニファー以外はここから落ちるような鍛え方はしていない。


 大半はこちらに干渉してこない兵たちのイザコザを見ながら進むだけだ。

 戦いをあまり直視しないようにしつつ進む。

 ハウコニファーも下ばかり見ている。


 それでも恐ろしい声と血生臭さは伝わってくるのだから。

 攻め込む兵がこんな細い場でも全力で駆けて。

 迎え撃つ正規兵が足場を固め安全工具をつけた場所から狙い撃つ。


 現実にあった場だと思うと悲惨な戦いだ……

 ただ私達が進むとこの場の時も進んでいく。

 連合軍が突破したのだ。


 爆発物を投げられ魔法合戦を行い。

 正面には巨大な盾を構えてのチャージアタック。

 範囲魔法で一気に安全器具を壊したり足場を崩したり。


 あまりにえげつない落下させる戦争がそこにあった。

 ……あったのだが。


「な、なんだいきなりぎゃああ!!」


「味方、ではなうぐはぁ!?」


「あ、あぁ……」


 それに出くわした時に私達は一同顔をしかめた。

 なにせ。

 無差別に兵を切り落としているイオニムシ。


 どうしてそうなっといわざるを得ない1本道にいる。

 たった1体だからっていていい場所じゃないんだけれど。

 敵はこちらの事情などくんではくれない。


 こちらを見て剣を構える。

 凄まじい威圧感と殺意。

 全員が全員顔を見合わせた。


 ここ……逃げ場がないって。

 モヤによる侵入阻害経路が多いせいで空中も難しい。

 イオニムシは凍てつく炎を関節部や隙間から吐く。


 相手の手は割れているがだからといって止めなければ意味がない強技が中心。

 魔法……準備完了。


「行けええ!!」


 イオニムシも剣に力がこもる。


「「止めろおおおー!!」」


 狭い足場をなんのその。

 全力疾走をかました。





「属性つきでなぐれ、殴れ!」


「もはや魔法でぶっとんで! ……耐えた!?」


「足場せっま、人って平坦に広い場所じゃないとまともに戦えなんだよ?」


「これ無理じゃない? これ無理じゃない!?」


「「ぎゃああああ!!」」


「さっきより断然キツイんだが!?」


「ひい、ひい、おじちゃんにはしんどい! ひゃあ!?」


「手を、手を止めないで! やあぁ!」


「バカヤロー! いい加減落ちろやー!!」






 史上稀に見えるゴリ押しだった。

 モヤとなって消えたところには謎のモヤが変質したような石。

 石とは言っても両腕で抱えるほどに大きく……それなのにハウコニファーが持てるほどに軽い。

 さっきのイオニムシ戦でも落としていたな……


 亜空間に回収し全員で大きなため息をついてから進んだ。

 回復はする。







 ひいこら言いながら屋根を伝って登っていく。

 さすがに1本道イオニムシとかいう悪魔みたいな構成はあそこだけだが……

 魔物以外の過去の英兵やらゴーレムやらはどんどんやってくる。


 落ちないように気をつけつつ足場を利用してちゃんと対処していく。

 相手の英兵を落とした時にモヤに包まれていた。

 私達は落ちないほうが良さそうだ。


 割と何度か誰かが落ちかけたりはしたがそのたびに手やらイバラやら杖やらで回収。

 よく誰も欠けずここまで来れたなあ……

 屋根移動はどんどんと高い塔へと移動する。


 このまま本殿らしき方まで行けるのだろうか……?

 何よりも見晴らしのいいここは前までと違って空間詐欺がない。

 つまり何時間も走るとかそんなことはなかった。


 ただ細く狭く敵がいて。

 そんな場所をチマチマ行かざるを得ないのが本質。

 時間や体力より神経を使う……


「封印するモヤは……まだかな……?」


「身体についているモヤの量がまたましてきたぞ!」


「どう? まだ先……?」


「道がまっすぐじゃないから……遠周りだけれど、確実に近づいているよ」


 とりあえずこのルートを通るとモヤにたどり着けないということはなさそうだ。

 上ばかりを通るだけではなく塔の一部を崩され中に踏み入れるようになっていた。

 ハウコニファーが示すのでその先へ進む。


 そのまま真っすぐ入っていくと塔の中では死屍累々と言った様子で鼻をつく血のにおい。

 死臭が一気にきて思わず「ウッ」と声を漏らす。

 イタ吉も鼻をならしニンゲン組も布か何かで覆った。


「やべぇなここ、明らかに長居していい空気してねぇぞ」


「ハウコニファー、どこにあるかわかる?」


「うう……この、下だよ」


 なるほど降りていかねばならないと。

 たぶん外から飛び降りれば怖さは別として距離としてはそうでもないがそんなルートを通らせてくれるわけがなくて。

 崩壊しかけているこの場所を順番に下っていくほかない。


 幸いなことに下までは階段が直通である。

 途中何度も塞がれていたようだがあらかた連合軍たちが破壊してある。

 ひたすら嫌な気配のただようここをゆっくり急いで下っていこう……

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