六百三生目 崩壊
ペラさんと戦っていたイオニムシも不意に下がる。
どうやら連携を優先したらしい。
みんなの身体にハウコニファーが継続回復の緩やかな炎をまとわせている。
イオニムシの4本腕は集合した2体と合流。
すぐさま私が射撃を開始してペラさんもなにか放つ。
同時にイオニムシはイタ吉へと一斉に襲いかかった。
「「うおおおお!?」」
「ムリムリムリ!」
「疲れてるんだってば!」
イタ吉たちは私達の方へと向かって全力逃走。
イオニムシたちの吐く凍てつく炎が合わさってめちゃくちゃこわい。
とにかくイタ吉たちにはこちらへ合流してもらってと。
私は銃ビーストセージで射撃で牽制。
当たってはいるんだけれど剣で弾かれる。
剣士はそういう未来予測でもしていそうな動きをするものたちがたまにいるんだよね。
それでも連続で当て続ければさすがに怯む。
私のトゲ弾に威力がないわけではない。
というより本来トゲにはかなりの威力がある。
どうしても属性のみの威力になると実感としてだいぶ効きにくくなる。
というわけでイタ吉がこちらにたどり着いた段階で魔法戦術だ。
[ストーンヘンジ 繋いだ石柱で周囲に展開する壁を作る]
「大地よ!」
気合を入れて地面に手を叩きつける。
私達の周囲に一気に石柱が湧いて激しくグルグルと回りだす。
いきなりの石柱を巻き込まれないようにイオニムシたちは下がって避けった。
「"拒絶の天、不埒なる邪悪、害意を遠ざけよ、バリアー"!」
そしてすぐ天井を結界で塞ぐ。
当たり前のように上から何かが投げ込まれたのでそれが弾かれる。
遠くまでとんで行って爆発音が響いた。
「うひぃ、間一髪!」
「なんで石柱が回るの……?」
「敵さんも嫌な戦闘経験の高さをうかがわせてやーだなーぁ、もう」
「じゃあ、この後はタイミング合わせて抜けるよ!」
あたりまえだが籠もってて良いことは少ない。
時間も使うし。
イタ吉の息が整うの見計らい合図して魔法解除。
すぐに横へ跳ぶ。
私が"鷹目"で外がどうなっていたかはわかっていたので全員遅れることはない。
目の前に迫ってきた斬撃ビームをそうして避けてやり過ごす。
普通の斬撃光を飛ばす攻撃と違って地面をえぐり何もかもを吹き飛ばすような衝撃波。
ガッツリチャージして待っていたなぁ……
私とペラさん。イタ吉とハウコニファーで別れた。
「お返し、だよ!」
ハウコニファーが杖から魔法を放ちまた空から光線を降らす。
触れて焼かれればマヒをする魔法だ。
ランダムに降り注ぐ光線の合間を抜けるようにして3体ひとかたまりで接近してくる……!
たぶん幽霊なので聖なる属性に敏感なのだ。
察知されてしまっている。
ひとかたまりなのはもう全員限界が近いからか。
実際3体に轢かれればかなり高速でひとりの生命力を飛ばしてしまう。
ただし形としてはこちらが挟撃している状態になるのでデメリットばかりではない。
「ペラさん!」
「合わせるよー!」
私はイバラで武技"龍螺旋"を組みながら銃を撃ち剣ゼロエネミーを背後から飛ばす。
さらに聖魔法"レストンス""ホーリースラッシュ"を構える。
ペラさんも身構えた。
「チャンスだ!」
「ぶったたくぞ!」
「攻撃を全部避けられ……あっ、あ、アタクシも!? わ、わかったっ」
「ぶちかますぜ、トドメをな!」
イタ吉たちが駆け寄らず遠くで身体を捻ってタメている。
それを見てハウコニファーも慌てて杖を構え直した。
私は少し前に出てから魔法を放つ。
聖なる光が放たれ浄化でもするように大量の光が敵に襲い……
さらに聖なる光の刃を腕に纏って敵の剣に合わせ斬り裂く。
ゼロエネミーによって背後上空から大剣化して重量により叩き吹き飛ばす。
もちろんそれで浮き跳ぶほどイオニムシは弱くないが。
イオニムシの物理無効化はかなり手痛い。
だがスキマはできた。
合わせてペラさんが力を込めて小袋投げつけると床から急速に植物が生えていく。
その植物は光を帯びていてペラさんの身体と光がリンクしていた。
急速に成長したつるのような植物たちが暴れるようにイオニムシたちの身体を巻き込む。
見た目とは違い草花エネルギーを叩きつけているためイオニムシたちにはきついだろう。
つい動きが止まりつつも必死に剣を振って切り落としているがそれより早く成長する。
さらにイタ吉たちが武器を使って大きくパワーを込めて。
100%の大振りで斬撃を飛ばしてきた!
さらにはハウコニファーが杖から炎の光線を放つ!
各々の技はほぼ同時に。
しかも邪魔をしないずらしをもってして行われた。
つまり。
激突地である3体のイオニムシたちは対処のしきれない攻撃の渦に襲われて。
一気に崩壊させられたのだ!




