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五百九十九生目 戦時

 不可思議な種族トキハリーとの邂逅だった。

 彼らがいた場所のすぐ先には進むための大きな門。

 その大口を開いて待ち構えている。


「彼らのことも気にはかかるけれど……」


「うん、こっからだねえ、ほとんど未知の領域、何よりニンゲンが突破できるような時間設定じゃないねぇ!」


「それなら、突入した瞬間に大幅な封印をかけるよ! それなら、本格的に封印するまでに時間を稼げる」


「えっ、それってどうなの!?」


「……おばさん、回復魔法をしっかりよろしくね」


 うんかなりキツイ死滅の利用になりそうだ。

 私も気を引き締め生命力減少にも対応できるようにしよう。

 "ヒーリング"もだけれど……


 聖魔法"リターンライフ"も使おう。

 瀕死にまでいったら効果があるはず。


「よし……くぐろう」


 大きな門はやはり光の膜があって中が見えない。

 いちおう1回だけ行ったことがある。

 あの時は時間が短すぎてなんとも言えなかったが……


 間違いなく1番過酷だ。








「……え?」


「おいおい、追いつかれたのか?」


「いいや……」


 そこは城内。

 しかし今や互いに攻めの手を緩めぬ兵士たちが血で血を洗う場所。

 滞在可能時間5分。


 ここは戦場の時だ。

 しかもおそらくは敗戦時。

 昔ここには非常に巨大な国があったといわれている。


 つまり過去形。

 さけられぬ終わりを記憶した場所。

 先程まで私たちと争いその力を見せつけていた鎧の者たちが何者かもはっきりとはわからない別の鎧たちに殺されしかばねを晒している。


 そう。

 正規兵たちは統一された服装なのに対して乗り込んでくるものたちは鎧の規格が統一されていない。

 連合軍……むしろ寄せ集めか。


 それでも数が末恐ろしい。

 国の正規兵たちが早々に正面衝突を諦め防衛施設をフル稼働させ地形を変えてその場しのぎの防壁を築いていてる。

 そしてそれらの特徴として。


「こっちに、気づいていない……?」


「実体はあるみたいなんだけれど、どうやら干渉するまで気づかないみたいなんだ。それよりも時間が無いから、よろしく!」


「う、うん!」


 ハウコニファーの手を取る。

 制御の指輪は1つも取らなかった。

 これは……何が起こる?


「死滅の名にて命ずる! 我が身を散らし、おぞましき身を蝕む力を封じよ! ううっ!?」


 ……腕がねじれ消えた!?

 一瞬片側半身消えたかのように見えるほどの力。

 生命力……ピンチ!


「"リターンライフ"!」


「うわっ!? 大丈夫かい!?」


「うう……! この戦場がなんだか気持ち悪いのもあって……これで気持ち悪いのあって……」


 あたりには血と金属とそして火薬のにおい。

 殺気の乱れ。

 そして互いの想いが全てを押しつぶそうとしている。


 私は倒れるハウコニファーをすぐに支え魔法で蘇生させる。

 正確には死にゆく時から引き戻す。

 こうして腕が無くなったのに相変わらず血は出ない。


 同時に"ヒーリング"と"トリートメント"で急速回復。

 半ば意識が乱れているのかうめくのみで反応を示さない。

 腕は……大丈夫治りだしている。


 私の最悪の想定は私の魔法では治らないようになること。

 死滅という魔法がどこまでの代償になるかギリギリまでの検証などされていない。

 それをしたら彼女はここにいないからだ。


 だからこそハウコニファーを信頼し暴れ狂う力から自衛できるように手を取る必要があるわけだ。


「戦場の気にやられたってことは……もしかして、想定以上に身体を消耗した?」


「うんおばさん……もっと集中できていたら、こんなにダメージを負わずにすんだのに……」


 やっぱり本人の精神状態に左右されるのってすごく大変だ。


「だけどよ、身体からモヤが出ていないぜ!」


「多分1時間くらいは大丈夫のはでででででっ!」


「そいつぁ重畳、本当に……お嬢ちゃんのおかげで、ここまでこれたよ。お嬢ちゃんにおじちゃんたち、情けない姿を見せられんないね」


 ペラさんはなんとも慈しむような悲しむような。

 そんな複雑な目をハウコニファーに向けていた。

 普通にキツイ光景だからね……


 ハウコニファーは身に纏う雰囲気や使命からして気丈そうで大人と肩を並べられるがいちばん大事な年齢が少ない。

 あくまで子どもだ。

 大人のものだって死の淵を見るのはつらいのに子どものを見るのは見るに堪えない。


 おそらく口内を噛んだのだろう血を吐き出しつつハウコニファーは私に支えられ立ち上がる。


「いける?」


「……行けるを動ける範囲は、さんざん確認したから……うん、あの修業で……おばさんの修業で……」


「ローズオーラさん?」


「ふ、普通の訓練しかしていないから! ただ、時間がないから、急ごしらえだけれど!」


 慌てて勘違いを解きつつ。

 ペラさんの疑惑の目を受けつつも先へ進むこととした。

 なんだかハウコニファーはブツブツつぶやきだしたしイタ吉は納得という顔をしているが解せぬ。

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