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百六十四生目 役割

「それでまずは、めでたくテントたちが完成しました! お疲れ様でした!」


 私が音頭を取るとそれぞれ口々に「おつかれ」「何とかなったね」と苦労をたたえだした。

 ちなみに私以外の全員が万能翻訳機装備済み。

 ニンゲンなら拍手する所だが拍手できるのがユウレンとカムラさんくらいなので拍手は起きない。


 お疲れ会も兼ねているのでカムラさんが淹れてくれたお茶やらアヅキが作ったお茶菓子やらを低い机の上に置いてそれぞれ自由につまみながら話す。

 ちなみに低い机というのは余った木材の寄せ集め加工品であってこのために買ってきたわけではない。


「む……やはり魔物によって茶の種類すらも変えて……うまい……」

「ふむ……比較的人に近い(わたくし)でも楽しめるように味付けされた、きのみを挽いて固め味を整えて焼いたクッキー……絶妙な塩梅……」

「だが」「しかし」

「「負けてはいない……!」」


 小声でアヅキとカムラさんが何か呟いているが私はスルーさせてもらう。

 ああいうのは"読心"とかしちゃ、だめなやつだ。

 背後に炎が見えたり目線で火花散ったりしていないと、私は思い込む。


「さてこれで最低限雨風防げ住める場所を確保できました」

「質問!」

「はいハック」

「なんで昔みたいに外じゃだめなの!」


 良い質問だ!

 とか敏腕なタイプなら言うのだろうか。


「単純言うと野ざらしは危険が大きいから。雨で体が濡れて風は毛皮を痛める。それに敵に襲われたさいに一枚防御できるスキマがあるだけで取れる対策が変わるよ。あとプライバシーの配慮あたりもあるけれど……」

「ぷらいばしぃ?」

「うーん、まあ知らない魔物が近くにいると眠りにくいって魔物も多いってことだよ」

「あ、それならなんとなくわかる! ちょっと落ち着かないよね」


 プライバシーに関しては細かく突き詰めると面倒なのでハックにわかりやすい範囲まで説明し割愛。

 ユウレンあたりはさすがに今の話を聞いても当然という顔しかしていない。

 アヅキはわかっていないのに当然という顔をしているやつだ。


「他には何かある人?」

「じゃあ俺」

「インカ兄さんは?」

「これからはどうする?」


 うん、確かにお疲れ会は兼ねているがぶっちゃけそっちの話をメインにしようとしていた。


「うん、ここからさらに発展させるにしても何から手をつけようかと思って。それに私単独で何かを決めるには規模が大きすぎるからね。それでみんなとそこらへん話し合おうかなって」

「うーんでも、そういうのはクイーンの妹がやりたいようにしたら良いんじゃないか?」

「え? 私クイーンじゃないよ?」

「え?」


 クイーンとはホエハリ内の群れでトップで指示をするメスの事なのはわかる。

 ペアでそのクイーンと共に群れを支えるキングがいるがこの群れはそんなのはいない。

 そもそもホエハリ族は3匹しかいないよこの群れ。


「え、ローズお姉ちゃんはリーダーじゃないの?」

「うーん、そう言われると微妙なんだけれど……そもそもホエハリ族と同じルールにしても絶対うまくいかないから、そこは変えるつもりなんだよ」

「そういえば話には聞いていたが俺らの群れとはみんな違う規則があるんだっけか。狩り仲間から聞いたよ」


 ハックの問いに私が答えインカも納得する。

 インカは狩りで多くの魔物たちと組んだからその違いをある程度肌でも理解しているのだろう。


「うん、なら妹の言うとおり色々変えていった方が良いな。じゃあまずはどうする」

「うん、まずは私がリーダーから降りる」

「いやいや」「それは困ります」


 インカとアヅキからツッコまれるが続きがあるのだ。


「その代わりにそれぞれ分野毎にわけてリーダーを複数にしようかなと思って」

「複数とは?」

「魔物の多すぎる数のために責任を持つ魔物も増やして管理しきれるように分けようと思って。それで頭数で割るより得意分野で別れるほうが良いかなって」

「ああ、ようはクローバー(ていさつ)隊やスペード(かり)隊に別れる感じかー」


 アヅキの疑問に答えた私にインカが噛み砕いて言った。

 いやまあ例えがホエハリ族にしか分からないんだけれど。


「それで、誰を何に割り当てるのよ? 私はそういうの自体はパスだけど、死後の面倒なら見るわよ」

「まあ誰が誰って決めているわけではないけれど……なってほしいかなっていうのはある」


 ユウレンは確かに食したものの供養やら骸骨制作して単純作業労力を増やしてもらった方が良い。


「へぇ〜、ローズ様も色々と考えているんだなぁ……僕は関係なさそうだけれど」

「例えばドラーグは裏方としてみんながうまく暮らせるようにルールやマナー……そのうちは法の作成も行ってほしいかな」

「ふえっ!?」


 仕事を振られると思っていなかったのかドラーグはちょっとかわいい変な声で驚いた。

 そりゃあ、そのために呼んだみんなだもの。

 私だけではどうしようもない部分は多いのだからみんなにも働いてもらうよ。

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