表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1687/2401

五百九十四生目 燃城

 ヒュドラと呼ばれたナイフからは毒が大量に放たれる。

 奔流になるかと思われたその毒は一定の方向性を得る。

 具体的に言うと……何かの腕じみた形を整えた。


 肉厚で重厚な腕から毒の爪が形成される。

 熱波は余波にかわりつつありそれがうるさそうに腕を振るう。

 その爪で熱の翼がへし折れた!


 そのスキにペラさんは間近くに着地。

 ナイフで的確に相手の急所を斬り裂いていく。

 ナイフでは敵の剣を受けにくいから速度重視だ。


 更に武技でナイフからたくさんの(エフェクト)による尾が伸びる。

 その尾ごとナイフを振りかぶり相手の身体を大きく切り裂く。

 鎧ごといった!


「毒を受けた身に効く技さ、案外侮れないだろう?」


 なるほど私の"拷問払い"みたいなものなんだ。

 というわけで私も接近して参加。

 執拗にイバラで打ち据えるこの武技をハチロクは執拗に多数の赤熱剣で打ち払う。


 ペラさんは何度か跳んで下がり次の準備。

 イタ吉たちが私達の攻防の合間を縫って仕掛ける。

 小型のが爪を振り上げて向かいハチロクが舞う炎で防ごうとすると……そこに身体はなく。


 代わりに尾刃イタ吉が少し遠くの意識外から尾刃の斬撃で刈り取る。

 最後のイタ吉があえて衝突するとそのままぬるりとまとわりつく。

 爪で剣を持つ腕関節を切り裂いた。


 それでも剣を落とさなかったのはハチロクの矜持か。

 赤熱剣を逆の手で振るってイタ吉を切り払う。


「あっつ!」


 イタ吉たちはそれでも前に詰めて連続で攻め込んでいく。

 イタ吉の技を相手にするとまるで幻覚でも相手しているように見える。

 防御型のハチロクとは相性が悪い。


 地魔法"クラッキング"!

 床がハチロクのいる場所が砕かれるような(エフェクト)が走り足が埋まる。

 みんなに目線を合わせてうなずく。


「逃げろー!!」


「ええーっ!?」


 ハウコニファーから抗議の声がきこえてきたけれど倒すよりさっさと進むのが優先なのだ。

 それに。


「毒うってある程度攻撃して足止めしたから、あとは勝手に倒れる!」


「な、なるほど!」


「ついでに!」


 影魔法で影に影矢を放って縫い止めペラさんが道具を投げるロクハチに当たって一瞬で縛り付ける。

 魔法のロープだ。


 ペラさんはなんでも出てくるヒトになりかけているけれど魔法はあんまり出せないらしい。

 とりあえずこれで3重拘束だ。

 私達は傷を診ながらその場を後にする……









 ログのほうにハチロクの死亡が流れてから何分走っただろうか。

 少なくともゴーレムやらなんやらと遭遇しているし……

 何より身体のモヤが濃くなってきた。


 だけれども。


「ああっ、ついた!」


「間に合ったーっ! おいふたりとも!」


「頼むよー! 警戒してるからねえ」


「うん。ハコ!」


 明らかに漂うモヤが濃い場所についた。

 封印ポイントだ。

 早く手をつないでかがげる。


「死滅の名にて命ずる! 我が身を散らし、おぞましき身を蝕む力を封じよ!」


 ハウコニファーの宣言により一気に指が弾ける。

 今回は中指薬指の指輪を外して虚空へ消えた。

 2本指分の痛みが走りハウコニファーは小さくうめいた。


 一気にモヤが晴れ……

 私達についていたモヤも消えた!


「やった!」


「うぅ……」


「"トリートメント"! やっぱり負担は大きそうだね……ちゃんとひどくなったら言ってね」


「まだ、まだ大丈夫あたたただ」


 治療痛は根性関係なく痛い。

 指の開放数が増えたということはそれだけ封印の効果も大きい。

 今後の負担は持つだろうか……?


 とにもかくにも移動しながら回復。

 外の状況はすでに伝えてある。


「……もう下にはいくらか兵士が来ているだろうねえ」


「追いついてくるとおもいますか?」


「まず間に合わないんじゃあないかな」


 やっぱりそう思うよね。


「えっ!? でも向こうは強力な兵……なんだよね?」


「いくらこちらがゆっくり進軍するといっても、だてに不落要塞を名乗ってないわけだよ」


「数で攻略できるんなら、最初から世界的に有名にはならねぇからな」

「まあ詳しくはしらねぇけど!」

「言うなや!」


「ええっと、要は、ある程度の人数でモヤにより別の空間に閉じ込められるのと、特定の相手は敵が増えれば増えるほど数が増すんだ」


「それって、さっきの時空を超えた兵士たちのように……」


「御名答だね、お嬢ちゃん」


 そう。たとえ100人こようと100人は何十にもわけられなおかつ100の相手が来る。

 私達は時間制限を封印して回っているから多少は遅くなるが……

 早い行動を忘れなければよほど追いつかれない。


 というわけで。


 燃えた場所は避けつつ通れるところを探る。

 私単独なら燃えていても突っ込めるのでそこで道をさぐったり。

 なんならワープも試したり。


 ただワープは不安定になりがちなため乱用はさける。

 場所が悪いからね……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ