五百八十五生目 遺物
前回の文と今回の文が入れ替わっていました(2021/08/23)
ハウコニファーの身体的能力はこの短期間でだいぶ伸びた。
さらにその力を考えながら扱えるようにした。
知識も身につけてちょっとした力で最大限の能力を発揮する。
つまりは効率。
この短期間で出来たことは基礎を上げて効率でごリ押すやり方だ!
「それに、こんな運動はあの日々に比べたらまるで自由に遊んでいるかのようなもの……」
「おじょうちゃん?」
「ハッ! い、いえなんでも……あっ! みんな空を!」
まだ外なのもあるがここは時空の流れがおかしいせいか時空渦内なら空の様子がよく見える。
空にはドラゴンクラスの戦艦。
そして……多数の敵戦艦!?
ドラゴンクラスはいないものの先程遠くからの狙撃は小型艦隊たちがたくさん来ていたからなのか。
もしかしたら遅れて中型も来るかもしれない。
「おじょうちゃん、アレは!?」
「イオシクラス! イオシクラスは単独出撃しない……必ず母艦がくるよ!」
「さっきの大きな砲撃は、その母艦からか……」
「やべーな、空の状況……早くここを突破するぞ!」
「飛空船団……!」
イタ吉の言葉通りこんな外縁部に足取られている場合じゃない。
あれでは長時間持たないかも……
ダッシュで駆けていく。
道中不意に現れる恐竜系魔物たちをぶっ飛ばし出来得る限り最低限の戦闘で済ませる。
「さあさあ、動きは覚えておいてね。だいたい出てくるところは同じだからさぁ、毎回地形は変わるからどこから奥に行けるかがランダムなんだけれど、完全にランダムじゃなくて一定の決まりがあるんだよ」
「そうそう、この地形だとこの角を右に曲がると……」
「そこっ!」
「知ってる!」
「なあにい!? ギャーッ!」
待ち伏せしていた恐竜魔物が壁から生えた土槍で刺され囲んで叩く。
とにかく効率化され確定した動きをとっていく。
じゃないとこの先やっていけない。
やっと入り口を見つけた。
門は閉まっているから開く扉を見つけるのが大変なんだよね。
中に入れば今度は細い道のように場が整えられて壁がそびえる。
「あの! 空飛んじゃだめなの!?」
「あーそれねえ、みんな試したんだけれど、ここは上空に行くほど時空の渦がやばくって、巻かれちゃうのよ」
「死滅の力でなんとかできたり……する?」
「む、無理ですね……!」
「まあ仕方ないからね、そこは。ここからはゴーレムが出てくるぞい!」
ペラの言うとおりここからがゴーレム出現ポイント。
そして第二の試練もそろそろ……
「なあ、まだラクショーなやつらばっかなのか!?」
「ラクショーかもしれないけれど攻撃が痛いのと、時間ばかりかかって時間的にまずいのの2つかなー」
「言っていたらおいでなすった!」
「ノッポとデブだ!」
「なるほど見た目通り!」
イタ吉の叫びと共に近くにゴーレムが2体飛び降りてくる。
まさしくノッポと太っちょ。
ガラスレンガ石で出来た肉体がうなりを上げる。
ノッポの方は非常に脆いがビームが痛いし範囲が広い。
太っちょはノッポの前に陣取り徹底的に攻撃をガードする。
シールド型結界がなかなかに厄介だ。
「イタ吉は太っちょのほうを邪魔して! ペラさんは私と一緒にノッポを!」
「頭数が多いと楽で良いねえ」
イタ吉が武器を起動し尾刃と爪に光エフェクトを帯びさせる。
3体が太っちょに取り付くように攻める。
スキがないように連打しているため太っちょが動けない。
私はイバラを伸ばしつつ銃ビーストセージを杖として使う。
石が輝き真なる力を引き出そうとする……
光は魔法となり敵を襲う!
地魔法……
「"グランドフォール"!」
あっという間に大岩がロボたちの上空に形成され……
イタ吉たちが斬ってさがるのと同時に降らす。
ペラさんは私と同じ位置からスローナイフを投げつけていた。
スローナイフを全て弾けずにノッポのビームを放つガラス部分に突き刺さり……
上からは容赦のない大岩が叩きつけられる!
そのままふたつの影は大岩の下へと潰された。
「おーし! やったぜ!」
「やったんか?」
「よし、みんな走って!?」
「「えっ?」」
そう。
まだだめだ。
大岩がガタリと動く。
「なんかしらないけどやべえ!」
「何か光が漏れ出してきているー!」
「ゴーレムたちはまともに相手にせず封じてダッシュ、これ基本ね!」
ペラさんの言う通り。
一気に駆けて距離を話すと大岩の下から光が溢れて。
ビームが岩を貫いていく。
砕かれた下から這い出ようとしているのだ。
どうしてもノッポを太っちょがカバーしてしまうため潰しきれない。
まともに相手をしてもいいのだが今回は急ぐので時間をかけたくない。
なのでまた現れる気配を感じつつ彼らも封じる。
地魔法"アースイーター"!
スパイクの生えた岩壁が口のように2つでゴーレムたちを捉える。
ペラさんが的確にスローナイフでビーム発射装置に攻撃を加える。
すると僅かな時間だけ動きが止まるのだ。
「ほらはしれはしれー!」




