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五百八十四生目 侵入

前回の文と今回の文が入れ替わっていました(2021/08/23)

 技術的にはそこまでこちらの世界で目新しいものではない。

 ただそこから使い方を転用させたり組み合わせたもの……らしい。

 水晶みたいな魔術具で遠くの映像を映せるからそこらへんの利用だよね。


「……重そうじゃね?」


「はい……実を言うと少し……」


 ハウコニファーはレベルが上がったとはいえまだまだ。

 ただそれに鑑みてもなんでも見るくんは重い。

 人体全身に補助パーツを取り付けて背負う形でなんとか成り立たせている。


 頭の上から水晶のような魔術具があり背中にはゴテゴテしつつもリュックサックじみたものがある。

 ……というかなんかランドセルを思わせるんだよねあのリュックサック。

 誰もツッコまないから言うに言えなかった。


 なんでも聞くくんはマイクの役割……なんだけれど。

 なんか空を飛び回ってるんだよね。

 羽虫みたいに。


 これに関しては見た時に「なんで?」としか言えなかった。

 しかも羽虫みたいに落ち着きがない。

 かつ羽虫にしてはまあまあでかい。


 普通に鳥サイズある。

 真ん中の部分は光体で輝いている。

 これらももちろん致し方なくこうなってしまったらしい。


 この魔物みたいななんでも聞くくんは疑似生命体……ズバリゴーレムと同等の存在。

 まあ疑似魔物なんだよね。

 物を聞いて覚えさせるには疑似生命を生やしたほうが早いというのが魔法科学技術学の悪いところだと思う。


 とまあダブル制御不能な代物だ。

 効能は時代を考えてもすごく高いものの問題がまだある。

 一点物だということ。


 物自体がまだ試作段階であり私がかき集めた資材と膨大な研究費をつぎ込んで出来上がった趣味といい切っても間違いではない。

 ぶっちゃけ剣ゼロエネミーや銃ビーストセージみたいなもんだ。

 通常範囲に落とし込まなければこの時代のオーパーツとして滅びるだけだろう。


 それはともかく目の前の相手。


「侵入者だ兄弟! やっちまうか!?」


「知らせ出して呼んだらどうだ兄弟!?」


「必要ねえ、ここでカタす!」


「それもそうだな兄弟!」


「……と話してます」


「いつもそんなこと言ってたんだぁ、ここでグダると応援呼ばれっから気をつけるんだよ、後世の諸君!」


「もしまだ攻略できるとしたら私達死んでるので縁起でもないですね……」


 ここはもう完全にお決まりの動きだ。

 正確には同じ動きをして相手を同じ動きを誘う。

 まず時短のため私とペラが前へ詰める。

 

 当然向こうも最速反撃を構えるので……

 側面へ転がりこんで。

 さらにすぐ元の位置へ戻る。


 すると向こうは中途半端な位置に最速反撃を先手としてぶちこんでしまう。

 つまり隙だらけだ。

 ふたりそろって近距離から顎を蹴り上げる。


「「ガッ!?」」


 このまま情け無用の連撃を叩き込む。

 ペラさんは先程とは違う短剣で私はトゲつき拳で。

 ここは各々の戦い方で削っていく。


「このっ!」


「離れろ!」


 今度は蹴り込みが来るので半歩分ずらして脚の真横を取る。

 不安定になって蹴りが目の前に来たところでつかみ脚を払い軸にしてぶん投げる。

 相手の体が浮くと同時にペラさん側の敵も浮く。


 背中合わせにかち合わせて双方から強烈なケリを叩き込む!


「「ゲェーー!」」


 この衝撃で2名とも目を回してダウン。

 戦闘終了だ。


「とまあ、決まった動きすればラクショーだからね、時間との勝負だから、とっとと済ませてねー」


「つ、強い……」


「おう、まあまあやるな!」


 そうこう話していると2体の恐竜が不思議なピンクもやがまとわりつき散る。

 そこには彼らの鱗だけが1枚残されていた。

 後は変な魔石が1つ。


「消えちゃったけれど、これは……?」


「えーっと、基本的にダウンしたり死んだものは時空のもやに飲まれて、この場を去ります。彼らはこの時代この時の再現であって本物じゃないんです。ただ、たまに侵食されずに済んだ一部が残ったりします。あとは侵食されて変質したものとかも」


「生きているときは自然に時へ対抗してるんじゃないか、とかなんとか前ローズオーラさん語ってたよねえ」


「あくまで仮説ですけれどねー」


 さすがに検証は間に合わない。

 私達は素早く移動を開始した。

 ハウコニファーはなんでも見るくんが多少の重みとなりガチャガチャと音を立てつつ移動する。


「平気そう?」


「意外になんとかなりそう! これも特訓の成果だね!」


「無理すんなよちびっ子、まだ先は長いぞー?」


「アタクシより小さいイタ吉さんたちに言われても……」


「こう見えて鍛えてんだよ!」

「背丈の話じゃなくて経験の差だな!」

「お、こっちか?」


 性質上常に小走りしながらの会話となる。

 私やイタ吉が全力を出すとぶっちぎってしまうためそこらへんは調整しつつ。

 ただハウコニファーはけして遅くない。


「おじょうちゃん! おじさんびっくりした、まだ速度をあげられるのかい?」


「補助魔法もあるのだけど……走り方1つからみっちり学んだから!」


 学んですぐ身につけて笑顔を見せるハウコニファー。

 まさしくギフテッドにふさわしい能力だった。

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