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五百八十三生目 記録

 ンジャ・ログ城に突入可能になった。

 ただいくらなんでもこの状況は……!

 一斉にこちらも反撃が始まる。


 軍の隊列による魔術で火力や距離が増した魔法や武技が空を舞う。

 当然のように敵や地面でも一斉攻撃が始まった。

 私達も引っ張られるように移動を始める。


 軍魔術効果……!

 攻撃を避けるようにワッと散って一瞬で再形成。

 リーダーの引っ張る力によって形成が崩れないように進む。


 なんといえばいいか上下左右に動けるのだがコースとしては決められている感じ。

 凄まじい力で前へ前へ進む。


「ど、どうすれば良いんだろう!?」


「枢機卿! わざと戦場を乱します! その時に脱出を!」


「は、はい!」


 ハウコニファーが慌てふためいていると近くの征火隊隊員から声がけされた。

 そしてこの隊のリーダー……

 遠くで荒々しく飛ぶその背中は。


「いっちょやってみるかあ! レデイのみなさん、エスコートの通りに……」


 バレットだ。

 一気に隊が斜めになって落ちていく。


「お、お、おほほほほっ!?」


「Gがすごい、Gが!」


「ヒャッホー!」

「来いやー!」

「ぐえっ」


 ペラやらイタ吉やらも大幅に揺り動かされる。

 というかほんとにGがきっつい!

 レベルで感覚ゴリ押し。


 ただ軍人たちも当然鍛えているのでギリギリを攻めた動きをしている。

 ハウコニファー泡ふいているように見えるけれど大丈夫かなこれ!?

 ただ遠くから来る銃撃がさっきまでいた位置をえぐったり集団シールドにかすめていく。


 敵の先進隊ももうじきぶつかる。

 私達も必死になんとか反撃し……

 ギリギリのところを進んでいく。


 私達は振り回されつつも良い位置につきだした。

 城上空に近い。

 周囲のメンバーが私達の隊を覆うかのように移動しているようだ。


 だが敵側も既にだいぶ近づいてきている。

 敵の先端側は当然猛者だ。

 こちらの攻撃をかいくぐり軍陣形による恩恵を得ずこっちを崩すように連撃してくる。


 遠くから叫びが聞こえてくる。

 先端と先端がぶつかる。

 激しい衝突だ!


「舐めるなテロリスト風情が!」


「テロリストはどっちがだ! 政府に協力しているのはこちらだ!」


 征火隊や政府軍がこちらにいるが……

 向こうは向こうで非正規の政府軍みたいなものだ。

 正義の反対は正義なんて月並みなことを思うつもりはない。


 かわりに思うのは絶対にここで勝つという想いのみだ。

 向こうのこなした非道がのちの歴史でなんやかんやとただしかった道のりにされるのだけは避けなくては。

 ぐっと高度が落ちる。

 一気に落下して敵の砲撃を避ける構え。


「グットラック!」


 遠く他のメンツには聞こえないだろうけれどバレットが指で合図したのはみんな見えた。

 陣形の波にのりそのまま下がって……

 他のメンツが切り返す中私達だけ落ち続ける。


 遠くからはぐれ(・・・)を撃とうとするのを目の冷たい女性が横から狙撃して防ぐ。

 感謝をしつつ私達は一気に下へと落ちていった。

 景色が移ろい変わっていく……










「「着陸態勢!」」


「わわっ!?」


「地面だ!」


 私とペラが同時に叫ぶ。

 跨っていた装置を床に下を向けて。

 ブーストが下方向にかかっていく。


 これが不落要塞遺跡第一の関門。

 落下事故!

 当たり前だが空からの侵入ということは落ちるということ。


 そしてずっと地面がみえていれば問題ないのだが時空のモヤが何もかもわからなくする。

 今が地面という慣れがなくてはそのまま落下死することあとがたえない。

 なので今全員が無事に着陸できたのはかなりよしとしよう。


「みんな、大丈夫だね?」


「な、なんとか……」


「おお……? なんだここ、まだ砦の中じゃあないんだよな?」

「外だな外」


 まだ砦の内側じゃない。

 ココは外壁部分……

 ゴーレムはほとんどいないけれど魔物が多い。


 今の騒ぎを聞きつけて……

 来た!


「後ろから3体来ているよ!」


「は、早い!」


「上空から近づいてきているやつはいない!」


「とうっ!」


 イタ吉たちが魔術具から飛び降りる。

 魔術具は私が魔法でしまいつつ陣形を整え……

 背後から来た魔物2体と向き合う。


 こいつらは突入時だいたい来るんだ。

 現代では見かけない魔物。

 太古の躍動を感じさせるようなダイナミックさがある。


 筋骨隆々で羽毛と鱗を持つ魔物……恐竜型だ。

 後ろ足2本で走り前足2本は短く垂れ下がっている。

 ただ爪は鋭く長い。


「記録、回し始めました!」


「お、ここにいるイケメンとイケジョが映ってるかい?」


「じゃあ、手早く翻訳しながら片します。多分あの兄弟の動きはブレないんで……」


「なんだ? 任せていいならまかせるぞ」


「……ツッコミなしだとそれはそれでさみしいのよね」


 今回ハウコニファーに求められるのは死滅以外もある。


 記録をとっている。

 この場所がなくなるから。

 その歴史を遺すために。


 魔術解釈と私の前世であった記録方法の話……

 そこからこっちの世界技術に九尾博士やバローくんたち研究員が造ってくれた。

 なんでも見るくんとなんでも聞くくんだ。


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