五百八十一生目 戦前
そういえば気になっていたことがある。
「乗り物修復って、何を材料に?」
[もらった様々な想いのこもったものたちをまずつかう。さらに積んだ経験を全部注ぎ込んだ。そういう仕組みを利用した改変は得意だ]
「経験を……? ということはもしかして……力量は……」
[もちろんまだ1]
圧巻の1だった。
胸を張りドヤッとしているが1。
レベルなんて最初の10は普通に生きているだけで上がるのに。
経験ともらった物を注ぎ込んで直したらしい乗り物。
前は化け物ドラゴンみたいな感じだった。
あと乗り物なのでとにかく大きい。
……そうだ。
今更のタイミングだけれどこれは使えるかもしれない。
相談したらフォウは快諾してくれて司令部も根回ししてくれそうだった。
朱竜へのサプライズプレゼントだ。
作戦時間は現地の夜。
夜なのは理由がある。
守る側が有利だかららしい。
敵の兵站は秘密裏である以上は限りが存在する。
こちらの兵站は過剰なほどにあるらしい。
最も強くもなく最も広くもないフォンダター派だがもっとも古い。
この大陸で古いことは特別な意味を持つ。
神の火にすら焼けずむしろ鍛え上げられたということ。
火を征する者たち。
事前に……それこそだいぶ古くから話は通っていたらしい。
蓄積された備えは今この時に燃やす。
遺跡を破壊しつくすために。
不落要塞遺跡……ンジャ・ログ城は戦場となる。
征火隊率いる複合軍の動きは派手だ。
アノニマルース軍も率いていてバレないはずもない。
ピヤア団も馬鹿ではない。
不落要塞近くの戦地へとガラの悪い面々が集まりだした。
……ただの犯罪者と思わないほうが良いだろう。
確実に変身できるメンツがたくさんいる。
そして幹部級とトップも。
変身は厄介だ。
進化が使えない面々も気軽に進化のような強化状態になれる。
悪魔憑き化ということはロクでもないことを人工的にやっているというだけで戦争上ではエゲツないほどに強くなる。
私は未だ進化に成功していない。
いや理論は掴んでいる。
ほぼこれしかないというやり方が。
ただ理論わかったことが全部出来ていたら世の中楽だよねという。
土壇場の未来の私に期待しつつ私達も戦いの準備をする。
派手にドンパチ始めたらそこを目くらましに突入する。
メンバーは高速で行くから最小限に。
冒険者としてカウント出来るのはさすがに護衛対象はのぞく。
つまりスリーマンセルとプラス1だ。
「本当に良いのかい? おじさんも参戦して。こんな大舞台、緊張しちゃうねぇー」
ただのおじさん風やばい人ことペラさんだ。
ペラおじさんは裏で調べてもらったが本当に凄い。
数大陸に渡って活動した実績がある。
そう。朱の大地出身者じゃないんだ。
これは大きい。
朱の大地絡みのニンゲンだと余計な思想が入り乱れる可能性が高いからね。
「今日はみなさま、よろしくおねがいします」
まだお淑やかモードのハウコニファー。
服装も今日は決めてきている。
宗教上重要とされている服で布地に見えるが竜鱗すら練り込まれているらしい。
そう。
戦うための巫女服だ。
当然のように過去勇者一行に付き添った回復術士を参考にしている。
その資料は非常に貴重品ゆえ海外朱竜教会に保存されているとか……
海外保存はピヤア団の専売特許ではないのだ。
「うひょー、楽しみにしてたんだ! やっぱこういう有名所へのアタックって漢のロマンだからな!」
そして速度重視を考えるとイタ吉は外せなかった。
まあメンバーから外すと絶対うるさいからというのもある。
他のメンバーは戦場の方で待機している。
ジャグナーはもちろん指揮。
指揮といいつつ最前線で殴りに行くのが彼のスタイル。
アヅキは今回の戦いで重要な空の防衛になる。
空が落とされれば一気に城へ潜入されてしまう。
たぬ吉は兵站係だ。
戦争は好きじゃないからみんなが無事帰れる手伝いをする。
ユウレンとウロスさんはちまちままた精神汚染対策を作っては渡しているらしい。
ドラーグとコロロは遊撃だ。
投入して一定時間最大戦力を発揮できるので食い破りたいところにぶちこむのが1番だかららしい。
そして重要なのは朱竜の動向。
朱竜な現在遠い海沿いの国を焼いているらしい。
もし異変に気づきすっとんできても数時間はかかる。
朱竜の巨体は大気圏内では非常に枷だ。
もし本体ではなく分神がきたらさらにラッキー。
分神は事前情報によりそんなに強くない。
ちょっと一騎当千なくらい。
1万人力で押しつぶせる。
まあ神様なので押しつぶすことはきっとみんなしない。
そのかわり争奪戦になるだろう。




