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百六十一生目 加工

 そこから数日は忙しく走り回ることになった。

 私はこの場所で暮らしていくために多数いる仲間たちと話し合いこの場所でどうするかを決める事になる。


「最終的にはここに都市を立てられるのですよね?」

「……あれ? そんなこと言ったっけ?」

「ええ、外界の森の中での演説の時に話しておられました」


 赤蛇と黒蜘蛛の事に関してはあっさり許可が降りた。

 と思って将来どうするかの話をしたらこうなっていた。


 アヅキだけではなく周りのみんなそうだそうだと言う。

 まじかーまじかー。

 あの時頭真っ白になって雑な事言ってたなやっぱり……


「迷宮で見た小さな魔物たちの街より立派な都市が目標だって掲げてたじゃないの、だいぶ景気良いこと言うなとは思っていたのだけれど」

「うーん、言ったような言ってないような……まあ最初はそこまではやれないから初期段階にどうするかは決めないと」

「まあまず簡単な雨風を凌げる施設を作ることかしらね」


 魔物たちの集まりだから野宿でも問題ないと言えば問題ないのだが、小さいものでも雨風凌げるものがあれば文明化としては大きい。

 というわけで私たちは簡単な布やら木やらでつくるテントを量産することとなった。


 とは言ったものの荒野ではそれらの材料調達は難しい。

 文字通り山ほど石や岩はあるがマトモに加工技術がない中でそれを建築物にまでしたてあげるのは困難。

 なので必然的に私が飛び回ることになった。


 空魔法"ファストトラベル"を使い小さな魔物たちの街へ移動。

 ユウレンとアヅキも連れて買い出しだ。

 購入するのはこの街の家にもよく使われる強靭な布たち。


 ユウレンたちはドラゴン退治で資金は腐るほどあるので腐らせるより物に変える。

 尋常でない量の買い付けになったので複数店舗回ったがなんとかなった。

 加工道具は……


「やあいらっしゃい! 聞いたよ、なんだか大口注文して回っているって? うちでも何か買っていってよ!」

「うん、それじゃあ……」


 あのりんごやらスカーフやら買ったお店はなんでも屋さんだったので布加工用具一式をいくつも取り出してきてもらった。


「良かった、在庫がキレーに捌けたよ! 毎度どうもー!」

「ああそういえば、前買わせてもらったスカーフなんだけれど……」


 私は破れてしまったスカーフを出すと店主がこういうものを直す店を紹介してくれた。

 ごきげんだったから素直に教えてもらえて良かった。


 お礼を言ってその店へ。

 アライグマのような、それでもかなり小さい魔物がやっているお店だった。


「はいはい、何か破れたり壊れたりしたのかな?」

「これなんですが……」


 タカとの戦いで破れてしまったスカーフ。

 見せると難しそうな顔をしていた。


「全く前と同じ状態に修復は難しいね……まあやれるだけやってみるけれど」

「そうですか……いえ、お願いします」

「わかった。あと、修理のついでに何か追加加工するかい?」

「追加加工ですか?」


 話を聞くとスカーフみたいなアクセサリーを直すついでに何か素材になりそうなものさえ渡せばアレンジ加工してくれらしい。


「特にここまでボロボロだと、アレンジしてしまって違うものに直してしまったほうがやりやすいからね。

 外で採取なり討伐なりする仕事の奴らなら良く加工して、ちょっと他と違う効果を持たせて仕事を有利に進めたりしているそうだよ」

「へぇ……その素材って何を使うんですか?」

「これなら……植物とか毛皮とかあとは宝石や羽根なんかが変わり種で使えそうだね」


 そう言われてフッと思い出した。

 確かバッグの中に入れっぱなしのはずだ。


「これなんてどうです?」


 タカから貰った風切り羽根。

 いくつか貰ったがとりあえず1枚。


「どれどれ……大きいね。

 立派な羽根だしなかなか良さげだね。じゃあチャチャッと直すからお昼頃に取りにきてよ」


 今は朝は過ぎたが昼には少し時間がある頃。

 物を預けて私たちは次の作業に向かった。





 今度は木だ。

 木は森の迷宮にいくらでも生えてくる。

 もちろん切り過ぎには注意だが……


 木を斬り倒すために多くの魔物たちを"ファストトラベル"で移動させた。

 細めの木なら彼等が攻撃すればなんとか折れる。

 太めの木は、


「そぉうら!」


 ドガッ! バキッ!

 と音を立ててジャグナーが木を斬り倒す。

 自慢の爪と腕力は恐るべし破壊力だ。


 森の生態を破壊しない程度に伐採して山積みしていく。

 空魔法"ゲートポータル"でたまにこの地点と作業場を繋いで運搬しまた閉じる。

 この魔法は開いている時に行動力を消費するためだ。


 丸太は作ったものや街で買ったものそれに各々自慢の技で加工していく。

 魔物とはいえ種類が多いからこういうそれぞれ得意な分担が出来るわけだ。

 木材として使えるようになったらテントをはる場所に移動。


 ユウレンはひたすら骸骨たちを召喚し加工しては現場に送り出す。

 そのままでは単純な作業しか命令出来ない骸骨たちも専用化させ魔法技術を駆使すればそれだけならばかなりの腕になる。

 どんな木材だろうときれいにかんながけしたりひたすら同じ型だけを組んだり出来る。

 作ってしまえば疲れしらずだが作るまでがユウレンはひたすら苦労する。


 ヒーコラ言っている中、私も手があいた時にはユウレンと話をしていた。

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