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五百六十二生目 面談

 通常豪勢なつくりの建物をみればその運営団体に余裕があるさまがうかがえる。

 しかしこと朱の大地冒険者ギルドでは……裏が見えてきてしまう。

 ピヤア団の影が。


 ただピヤア団は政府にもついている気配がある。

 何をしたいのかはわからないがロクなことはしていない。

 そしてピヤア団に左右される国も。


 幸いなことに冒険者ギルド員のほとんどは単なる冒険者。

 しかも質がいい。

 それはこれまでの調査でわかっている。


 一部の者やギルド員を手引きしどこかしらピヤア団から通りがいいようにしているようにも見える。

 そんなにあちこち根を張ってどうするつもりかはわからないけれど。

 どちらにせよピヤア団の活動はかなり真っ黒だ。


 ピヤア団……正確には全世界の闇を担う一部。

 特に強く目立つのは経済部。

 それは他の地域と違い全ての闇市場に介入があると言われている。


 最初の接触はアノニマルースの闇市場だった。

 ニンゲンたちの世界規模ではそのレベルではない。

 兵器。薬物。違法の魔物。


 何よりもその金でまたあくどい活動をするための人員を雇い全てを裏からコントロールする。

 そういう輩だ。

 カエリラス団の一大魔王復活儀式が表側の明確な危険とすればピヤア団の経済的な動きは裏側からの牛耳るもの。


 どっちも潰せば世界は平和になるかと言われれば微妙な顔になるものの世界が地獄と化さないかで言えば全力で肯定できる。

 要はマイナスを生み出す要因なので潰してもゼロに近づくだけで勝手にプラスへはならない。

 ただまあその差は大きい。


 とりあえず今だ。

 冒険者ギルド内はさすが首都というだけあって最大の盛り上がりだ。

 大きさも納得の込具合。


 外では征火隊(せいかたい)の噂でもちきりだったがここでは自分の戦果やこれから取る戦果の話で持ちきりだ。

 まあ言っちゃえば仕事場だからね。

 私も空いているカウンターに行き受付してもらう。


 まずこの首都に登録。

 そして依頼の完了報告だ。


「これでお願いします」


「はい、たしかにお疲れ様で……んん!? しょ、少々おまちください!」


 私の以来完了証をみて慌ててギルド員さんが駆けていく。

 ちょっと予想通りではある。

 あの依頼がただの額面通りな簡単な依頼ではなかったんだし。


 というわけでそのまま裏へ連れて行かれる。

 中ではいかにもイカツイと言った様子の白髪白髭で小綺麗なのに刻まれた傷跡が目立つ人が応対してくれた。

 なんというか……単なるギルド員というより現役引退した身というか……


「では早速話をさせてもらおう。ワタシの名前はバルク。そちらの名前は、ローズオーラだったな」


「はい、間違いありません」


 いかつく白髪と白ひげとは言え全部短く揃えられている。

 何よりもその黒い瞳がまだ働き盛りであると物語る強さがあった。

 それと今の簡単な受け答えで隅の方に魔力反応がわずかにあった。


 なるほどね……簡単な答弁の真偽を見極める装置だ。

 よく門のそばにある訪問理由を聞く場所にある。

 隠してあるけれど誰かと繋がり互いの嘘がわかるようになっているようだ。


 それほどまでに重要な話ということか……

 この場にいるのはバルクと私が向き合って座りそれに3人が立っている。

 立っている面々はギルド員の制服を着ているがなんというかしっくりきていない。


 いかにもこのときのために初めて着ましたという服の浮き方だ。

 それはまさしく筋肉のつき方が内職というより……現場で戦うものののそれ。


「気になるかね? 彼らは征火隊(せいかたい)の者だ。浮くので制服を着させているが、なかなかどうして、その上で浮くな」


「……えっ!? 征火隊(せいかたい)って最近話題の?」


 話としては聞くつもり満々だった。

 しかしその前に状況で殴られてしまった。

 3人の中誰かに繋がっている魔道具が『正答』であることを魔力反応で返す。


 バルクは自分の白髭を顎ごとなでる。


「貴殿は征火隊(せいかたい)についてどこまで知っておる?」


「いえ、ほとんどは……なぜか王都に入るとき、護衛対象たちを取り囲んで守ったり、別の囮鳥車隊を使い大捕物をしたといくことぐらいしか……」


「なるほど。ではまず基礎知識から言おう。なぜなら、これは貴殿が受けた依頼に深く関わることなのだから」


 ですよねー。

 本人たちを用意しているあたり色々逃がす気がない。

 断れない何かの渦へ既に捕らわれている。


 ただ今はそんな危険へも挑戦しにいきたい。

 私自身が冒険好きなのもあるけれど。

 おそらくは少なくないピヤア団周りの話が得られる!

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