五百五十九生目 犠牲
色というのは様々な細かさがある。
赤と言っても大人しいカラーリングやシックな色それに派手派手しい色にキュートな色。
イタ吉の赤は……派手にカッコイイ色だった。
何よりも光が迸るような色ととなっている。
アレ私も制作に少しだけ噛んでるから知っているけれど凄まじいピーキーさなんだよね。
「さあ、コイツを喰らいな!」
イタ吉の特徴上本来の戦術は3体で引っ掻き回して避け盾しつつ連続で攻撃を入れることだ。
しかしあの状態はむしろ逆。
それはロマンとも言えるような。
イタ吉の悩み。
それは尾刃が使いにくいというとんでもないものだった。
仮にも自分の身体なのに……
ただ尾刃は技量武器だ。
爪もまあまあか技量がいるけれどようはカマと似たようなもの。
私も使えないしイタ吉の性格は乱雑側だから割と不器用。
だから武器につけられた注文は……
「オラアッ!」
赤く迸る光がスラリと伸びる。
長く伸びる尾の部分を芯に据えて。
それは形だけ見れば両刃の大剣。
「唸るぜ大斬剣テイルカバー! 出力300%!」
そんなに上がらない。
現在の状態が正常に出力90%である。
まあ言いたいことはわかる。
普段の出力30%に対する比率だろう。
ちなみに90%出力というのはまさしくエンジンがうなりをあげまくっている状態。
ノーリスクではない。
「そしてぇ、分身して倍!」
イタ吉の手数に対して異常なほどの追加する能力である質量を伴った分身。
殴られると消えるが殴られるまでは相手を殴る分身も赤い光が大剣を作る。
詳しい仕組みはわからないけれど武器も増やすとかズルだと思う。
「「そして! お前の目に叩き込んでさらに倍! 3カケル2カケル2で12倍だぁ!!」」
そうはならないんだけどイタ吉の中ではそうなった赤い斬撃が非常に重々しく叩き付けられる。
赤いエネルギーがほとばしり爆発して深く刻み。
ついでに小イタ吉たちも追撃して。
無事にひとりとふたりのイタ吉たちがキメてロガの前から出てきた。
「ふうぅ……本当に死ぬかとおもった」
「じゃあ後は私が!」
ゲッソリしている尾刃イタ吉。
開放した力100%出力を使った代償。
何でエンジンを燃やしていたかと言えば生命力だ。
尾刃イタ吉だけのとは言え死ぬギリギリまで燃料にくべるというピーキーすぎるワザ。
ただこれを使ったことでロガの生命力は既に1割切っている。
これ私の用意いらな――
「ガアアアアアッ!!!」
「元気すぎだろ!」
「主、何かを放ってきます!」
あの巨体さらに今さっきイタ吉とアヅキに致命打を食らって仰向けになっていたのに。
機敏に転がり4足歩行となって大きく息を吸い込む。
しかもとんでもなく光が輝いている。
もう明らかに灼熱悪溶じゃん!
結局私も大技鬼札切るしかない。
「みんな全力退避! 力のぶつかり合いが始まるよ!」
もはや私の方も限界までチャージしている。
4つの魔法……全て聖魔法統一で繋げている。
本来極化魔法砲は4つの別種類魔法を無理やり融合させることでその反発エネルギーから凄まじい力を得る。
そして反発エネルギーごと純粋な破壊エネルギーとして発射するのだ。
では4つの同じ種類別の用途魔法を発動前に体内でぶつければ?
本来は融合しても大した過剰エネルギーを生まないはずがグングンと私の行動力を食べて成長するデカい聖魔力塊が私の中でできていた。
破壊エネルギーに変換するにしても純魔法エネルギーを成長させるとしても行動力の浪費がすごい。
何度も練習して試して効率的になっているとは言え大前提として素の消費が大きい。
フルからからっけつにまで減ることもある。
ただそこまでしなくても最近はなんとかなる。
神になったりして全体的に強くなったのもそうなんだけれど。
からっけつまで放つという特徴をなんとか解除したことでもある。
これは"獣の賢者"による効果も大きい。
理解っちゃえば早い話だった。
というわけで向こうも放つまでの時間をそんなに取るきはないらしい。
「ギャアオオオオオオオオォォォ!!」
「月へ帰れ、悪魔たる神ッ!!」
私も悪いけれど2本足で耐えられる気はしない。
形は変えないようにしてかがみこみ手を地面に。
敵を見据え目の前に膨大な力を持った聖魔力エネルギーの塊を発生。
向こうの輝きがついに瞬くのと同時に発射した!!
互いのビームが何かを語る前に着弾。
遅れた反動が地面ごとあらゆるものを吹き飛ばしていく!




