表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1645/2401

五百五十生目 関門

 騎乗スキルというものの奥深さを見た気がする。


「もっとだ! もっと人員よこせ!」


「バカヤロウ! お前たちだけで止めろ!!」


「なんなんだあのカルクックたち! まったく武装していないのに……並の戦車よりも全然崩れない!」


 ここでいう戦車とは前世のアレではない。

 戦うための鳥車を指す。

 ちなみに戦争で本物の鳥戦車を見たけれどゾンビたちを轢いて薙ぎ払っていた。


 それに負けないくらいの猪突猛進をみせているという事実は敵の意志にひびを入れて見せるものでもある。

 敵の立場にたったら私でもどうすればいいか……

 例えば私だけなら簡単に止められていただろう。


 今も目の前にカルクック止めが……あっ。

 謎の衝撃波と共にふっ飛ばされた。

 なあにそれ知らない。


 真面目に言えばカルクック自身の力を騎乗スキルで引き出しているんだろう。

 ただ細い道をノンストップで駆けているだけですごいのにそこまでの芸当をやってみせるとは。

 やっぱりおじいさんただものじゃない。


 さらに数分必死の攻防を続ける。


 1枚結界が無惨に破壊されたが必要経費と割り切る。

 むしろ空から弾丸と矢と槍に岩が雨あられでよくそれだけで済んだ。


 もう言い切ってしまおう。

 こんな盗賊はいない!

 やつらは明確な意志を持ってこちらを暗殺しに来ている!


 結界を貼り直したいが残念ながら結界が残っていると難しい。

 さっきは結界をはったばかりなので重ねられたんだけれど。

 時間がたつと結界同時が反発しあって壊し合っちゃうのよね。


 そうこうしているうちにまた前からカルクック乗りたちが……


「おばさん何かが上に!」


 ええいっ! 目が足りない!

 3つあっても足りない!

 結界上に乗った敵たちを蹴り飛ばし結界壊しを没収する。


 "止目"や"鷹目"それに脳内マッピング……音やにおいそれに風の感じにも気を配り的確に敵を撃ち落とす。

 正面に来ていた炎魔法に火魔法をぶつけて相殺。

 ついでに貫通して向こうを焼く。


 正面から来ているやつらを一気に跳んで肉薄し"爆散華"でショットガンみたいに撃つ。

 爆発と共に大きく弾丸が散るので色々威力が効果的。


「あの護衛化け物か!?」


「速すぎる、そして、強すぎる!!」


「だめです、狙っても護衛はまともにターゲットを引きつけられません!」


「なぜたったあれだけの数を圧殺できん!?」


 武技"充填加速"。

 銃をぐるりと回す。

 再度掴んでイバラを通し連射。


 通常攻撃を強化するというわかりやすい効果ながら使いやすい。

 ただ再使用までにかかる時間は長く通常攻撃強化のほうが早く切れる。

 その間は他の武技で火力を出さなくてはならなくて。


 こう念密な時間の組み立ては補助魔法の組み立てに似ていてスケジュール管理が楽しい。

 まあ状況は楽しくないんだけれど!

 私は連続射撃しつつも包囲網を抜けかけているのを感じた。


「そろそろこの地帯を抜けます!」


「ほっほ、たまには老骨に鞭を打ってみるもんですなぁ」


 一気に視界が広まる。

 崖地帯が終わったのだ。

 そのまま進めば……進めば!?


 遠方に感じ取れる気配。

 それは強者の存在。

 ニンゲンだけじゃあ……ない!


「グッ、手こずらせやがって……! でもこれで……準備完了だ! これで逃したら大赤字、おめえら離れろ! こいつは言うことを聞かねえからな!」


「「うおおー!」」


 必死に道を塞ぐよう設置したそれを四方八方から枷を外す。

 遠くにいるニンゲンたちに耳を傾けて見たら本当にロクでもなさそう。


「みなさん、ドラゴンが……来ます!」


「何!?」

「えっ!?」

「ドラゴン!」


 まだ遠いけれどドラゴンがいるところまでこの速度ならすぐだ。

 さらにこれ……ちょっと地形をかちこち探ってみたんだけれど。

 嫌な予感がする。


「その、この先もしかして、横に逸れられない道ですか……?」


「残念ながら、この地帯を抜けるにはこの先を抜けるしかありません……鳥車では、少し道が険しいのです」


 やっぱりだー!

 少し遠くを見た時にあまりの整備されていなさと1メートル前後の崖を見つけてしまった。

 さっきまでの細道ではなくなったけれどまだエリアを完全には抜けておらず……

 道通りの場所にドラゴン。


 これは……やるしかないか。


「でしたら、鳥車は出来得る限り敵たちの攻撃を避けるように旋回を。私は……ドラゴンを落とします」


 こうなったら神の力と魔物バレ以外の手は全部使うつもりで行く。


「ええっ!? むちゃだよおばさん!」


「大丈夫、私には頼もしい味方(・・)がいるからね」


「味方……?」


 よし。

 片っ端から連絡だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ