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五百四十九生目 片軸

 向こう側からやってくるやつらを少しだけどかして道がひらけた!

 けれど狭いことそのものには代わりはない。

 どうする……?


「さあいきますよ。お嬢さんが命懸けで開けてくれ道、ここで通さねば我が誓いは嘘というもの……!」


 私は御者さんの変化に気をとられた。

 いつの間にか自然にしていた髪を全てまとめ固定し。

 燃えるような顔で手綱を握る。


 そして手綱から熱意が伝わるらしい。

 というか鳥車全体トカルクックが結界じゃない(エフェクト)に包まれている。

 これは何かするぞ……


 カルクックの目つきもキリッとして今にも飛びそうな勢いだ。


「今なら、何でもできちゃう、できちゃうぞ……! なんだかわからないけれど、無限のパワーがある……!」


 何それこわい。

 カルクックの声はともかくとして既に私が敵たちと交戦し道がわずかしかないところまで目の前。

 このままだと危ないけれど……


 一瞬カルクックと御者おじいちゃんが同じ顔をした。


「そこじゃあっ!!」

「うおおりゃあ!!」


 同時の叫び。

 そして息を呑むような手綱さばき。

 それは1つ身のこなしやふりかぶりそらに重心移動どれをミスしてもなしえない動き。


 人馬一体という言葉がある。

 しかしこれはヒトと鳥そして車。

 人鳥車一体の動きだ!


 明らかに無理だろうといったところを片輪わざと浮かせて突っ込む。


「バカな!?」


「す、すごい……」


 ちゃんと通り抜けてからガシャンと元に戻る。

 あんなことできるのか……

 私はその後ろを追いかけていった。


 そのあともどんどん湧いてくる敵たちを片っ端から撃ち抜く。


「どうして……既に首都まで狙われないように策をうっているはずでは?」


「おそらく、あちらはこちら以上の大隊でしょう……それほどまでに、敵に余裕があるということですじゃ」


「そんな!」


 ツカエや御者さんの意味深な話が漏れ聞こえてくる。

 ふーむなるほど。

 なんとなくは予想がついた。


 おそらくもっと派手に移動してい鳥車隊がありそちらは全部ニセモノなのだ。

 いや大抵はただのニセモノじゃなくて運び物はあるしニンゲンやカルクックもたくさんなので失われたら困るけれど……

 だけどもこちらがわ3人が狙われるよりはマシと。


 これ結構ヤバい依頼引いちゃったかなあ。

 隠れ依頼でもなんでもなく手続きはギルドを通して行われている。

 そう今思えば何だけれど……普段と少し違っていた。


 いつもどおりギルドに身分を証明して見た職員が裏にお呼びして。

 まあここまではよくあるしなんならこの後「依頼受けませんか?」と明らかに溜まってしまっているような高難易度依頼や限界まで速度を振り絞ってほしい緊急依頼が渡される。


 そうだ……思い出したぞ。

 詳しいことは言えないけれど王都に向かうなら王都への簡単な護衛があるからと。

 さらに護衛ギルドにも所属しているならとてもタイミングがいいと。


 護衛ギルドと冒険者ギルド合同の簡単(・・)なクエスト?

 仲の悪いギルド同士が合同でだしているのに?

 護衛人数ひとりに限る?


 そしてなにより……

 私がタイミングがいい?

 確かに私がかかわるとまわり的に良くなることは多い。


 ただ逆に言えば私的には激しいトラブルの前兆で。

 そして実際今トラブルである。

 世界って治安悪いなあ!


 私が物思いに耽っていると空から降ってくるニンゲンたち。

 結界に張り付いて手に持ったものを刺そうとしている!

 すぐに撃ち抜いて追い払う。


「ぐへぇ!」


「気をつけて! 直接結界壊しを刺そうとしている!」


 一応正式名はあるけれど通名として言われる結界壊し。

 大きな杭みたいなものなんだけれど刺さるとアンチ結界陣を展開する。

 即席の結界くらいだと凄まじい勢いで結界の残り耐久を削るので気が気でない。


「ど、どうしたら良いの!?」


「うーんハコビは何か鳥車の屋根あたりが揺れたら警告だして!」


「わたしは結界対抗ですね!」


「よろしくお願いします!」


 ハコビとツカエに頼んでおく。

 結界があっても大きな衝撃は中にも伝わる。

 というか大きすぎると貫通して伝わってしまうし。


 まあ結界二重の今は減衰して25%程度でなによりも直接当たらないことが大きい。 直接当たると火矢とか燃えちゃう。


 そして鳥車に意識を向けるとカルクックがめちゃくちゃ狙われる。

 さっきみたいにカルクックをびっくりさせられたら最悪ひっくり返る。

 それだけはさせないようになんとか防いではいるんだけれどそれ以上に。


「飛ぶ矢は所詮蚊蜻蛉のように!」


「道塞ぐ岩は所詮子鼠のように!」


「「今こそ突撃せん!」」


 なんか御者さんとカルクックがシンクロしていて下手な妨害なら蹴り壊しているんですが……

 なにあれ……こわ……

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