五百四十八生目 強襲
私は鳥車の直ぐ側を駆ける。
不幸なことに一気に周囲は崖だらけになりどこかかどう攻めてくるかわかりにくくなった。
……違うか。
「みなさん! おそらく、あいつらはただの先発隊! 盗賊か何かの襲撃は、この地形を利用してきます、備えて!」
「お、おばさん……!」
「ハコビは火の小鳥を守って!」
「っ! う、うん!」
私達は緊張感を保ちながら駆ける。
亜空間から銃ビーストセージを出して準備完了。
剣ゼロエネミーには残党狩りをしてもらっている。
……きた! 崖上や向こう側から次々盗賊反応!
おそらく一気に動き出して反応が早く見つかったのだ。
「来る!」
「わかりましたですじゃ!」
「わたしはわたしの出来る事をしようかねえ……ふん!」
そうツカエが言うと鳥車周囲に結界が貼られる。
ありがたい!
私の方でも結界系をかけておこう。
正式にはスキルの魔法と結界系は少し遠い。
しかし根は似ている。
私もそういう魔法はいくつか読んでいるので……
「よし、"拒絶の壁、移動を共にし、害意を遠ざけよ、バリアー"!」
詠唱をして放ったそれは鳥車にさらなる結界をもたらす。
これでだいぶ防御性能を確保できた。
このまま駆ける!
崖上から早速次々と頭を出してきた。
当然のように火矢を構えているのえげつないのでやめてもらえますかね!
とにかく射線が通った瞬間に頭を連射して撃ち抜く!
今は殺意高めにしてもそんなに意味がない。
ゆえに通常射撃以外は武技だ。
[打上花火 対象に向かって飛んでいったあと着弾または任意の場所で爆発させる]
名前は打ち上げるものだが正面にも放てる。
大事なのは弾丸が飛んでいったあと……
「おわーっ!?」
ドカーン! と大きく爆発を描くともいうものだ。
名目上花火とついているがきれいなだけじゃない。
かなりしっかりときつい爆発光が放たれる。
そのかわり貫通力はまったくないので使い分けだ。
さらにいえば使用後"打上花火"は少しの間使えなくなる。
武技というものは特有の行動スキのほかにリキャストタイムとかクールダウンとか言われる再使用不能時間が存在する。
つまりどの武技であれ多少の時間連続使用ができなかったりするのだ。
もちろんそれを無理やりゼロにするスキルもあるだろうが……
それはそれで武技特有の行動力消費が行動に対して非常に安上がりという利点が多分飛ぶ。
まあ私には再使用時間がかかるということ以外はそんなに問題ないことだ。
というわけでは次々顔を出してくる相手を武技と連射で分けながら行う。
[充填加速 チャージした後通常射撃がしばらく強化される。連射力と命中精度が上昇する]
銃ビーストセージを軽く一回転させるとエネルギーが満ちる。
この状態で発射するとさっきまでの1射撃の間に2射撃近く発射される。
結果的に超連射を正確に叩き込めるわけだ。
「遠くから狙っていますですじゃ……!」
「はあッ!」
遠くの相手に武技"雷電轟華"!
スナイパー弾丸のように飛ばして感電させつつ……
土魔法"Eスピア"なんかも交えつつ上の敵を倒す。
今度は近くに3人も。
再使用不能時間が終わった武技"打上花火"でまとめて焼く。
悲鳴を聞き流しつつ急いで別のところにいるやつを撃ちまくって……
多い……やることが多い……!
「わあっ!?」
「クッ」
重い音が結界に当たる。
結界を壊しにかかってきている!
情報伝達が早いしやはり全部は対処できない。
弾や矢だけじゃなくて魔法や球それに岩も投げてくる。
ふざけるなとおもいつつ口の前に手を動かす。
直前まで迫っていた岩が私の魔法岩により相殺された。
「御者さん前からくる、気をつけて!」
「なるほど……腕の見せどころですじゃ」
なんだろう震えているのはそのままなのに。
ゾクリとするような気配を纏った。
「オラー! 地の利は我らにあり!」
「「オオー!!」」
向こうから突っ込んでくるカルクックに乗った盗賊たち。
いやあ本当に盗賊か?
なんであんなにカルクックたちがきれいなんだ?
そんなことはともかく3頭も来ている。
カルクックたちには悪いが……
武技"爆散華"!
「ふっとべ!」
「うおおおおっ!?」
「「ぎゃああぁっ!?」」
軽装甲を積んだカルクックたちとはいえ目の前で何か大爆発しながら飛来していくる多数の破片は別。
つまり音と光にビビる。
使う時は私も味方カルクックから少し距離を取る必要があるものの駆けて敵に近寄ったから大丈夫。
もちろん当たったら痛いしいろんな要因が重なることで狭い崖道なのに左右に転げるよう避けてくれた。




