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五百四十三生目 笑顔

 蒼竜の秘密を1つ知れた。

 地道な活動もしているようだ。

 それに知ってはいたしなんとなく理解はしていたけれど……


 神にとって世界そのものに関わったり誰かのためになる仕事をこなすのは趣味なのだ。

 そして本業は信仰心集め。

 自らのために神格を高め成長すること。


 その違いはちゃんと認識しておいたほうがいいだろう。

 向こうからしたらこちらは趣味に時間を費やしているように見えるのだから。


「それで、何かピヤア団の重要そうな手がかりは掴めた?」


「うーん、とりあえず先日大摘発された集団は、ピヤア団を含む強大なパワーを持ったメンツなのはわかったんだけれど」


「その摘発、閉じ込めて通報したの私」


「えーっ、誰かがわからない、匿名の相手だったから何かと思ったら、君かい! じゃあ、それはいい情報としてもらおう。あとはピヤア団自体の情報で、近々何か大規模なやり取りが行われるってことまでは掴んだかな。正直第2第3の魔王復活じみたことをされると気が気でないからね、あまり彼らの行動を縛るつもりはないけれど、知りにきたわけさ」


「できることなら悪いたくらみは全部阻止してほしいんだけどね。蒼竜にそこは期待していないけれど。まあだいたいは蒼竜側の事情もわかったから、これで……」


 確実になにか大きなことをピヤア団が起こそうとしている……か。

 そしておそらく蒼竜も確実性がないから言わなかったのだろうがこの煉民主国にピヤア団とおもわしき本拠地があると。

 だからこそ蒼竜もここに足を伸ばしたのだろう。


 さすがにもう魔王は復活しないがそれに同等することは起こせる。

 神話時代は各地にいまだ残る神話そのものが凄惨さを訴えている。

 それに魔王……つまりフォウはたくさんの仲間達がいたと言っている。


 フォウの乗り物クラスの力を行使できる存在たちが……世界を生み出したものたちが。

 もしその力を持って1柱でも現代に蘇れば何があってもおかしくない。

 さらにいえばナブシウが信仰する神みたいな古代神。


 倫理観の保証すらできない面々を蘇らせて世界が滅びましたカッコ笑いカッコ閉じでは当然だめなわけで。

 案外世界滅亡の危機はそこら中に眠っている。


 ピヤア団はそこらへんの倫理観には期待ができないからね。


「おっと、少し待った」


「え?」


 行こうとしたら蒼竜に呼び止められた。

 嫌な予感がする。

 だいたいこういう時ろくな目にあわないんだ。


 そんな目で返したが全く怯まない。

 それもそうか……神だし。

 しかも蒼竜だし。


「久々に組んでみようか、探偵と、助手でね」


「ええっ……」


「露骨に嫌そうな顔するね! アハハ、まあそうだろうとは思ったけれど! けれど、利点はそちらのほうがあるのは、なんとなくわかってるんじゃないかな?」


「うっ……」


 確かに否定はできない……

 残念ながら蒼竜は仕事しないけど有能だ。

 ちゃんと引き込めば解決までは一気に近づく。

 問題は……


「それじゃあ、早速」


「待って。そっちは何を要求するの?」


「それはもちろん……」


 蒼竜が目をつむってためる。

 そしてわざと牙が生え揃った口でいたずらっぽく笑う。


「面白い事を、みとどける」











 買い物として安いのか高いのか……

 いや間違いなく高い買い物をした。

 蒼竜というウエポンは強いものの引っ掻き回され引っ張り回されること間違いなし。


 とりあえず彼はさらなる調査を重ねるらしく私と別行動。

 私は私でみんなに会いに来ていた。


「お! 君が噂の!」


「ああ、一時的に加入させてもらってました」


 目の前にいる相手は実のところ会ったことがない。

 ただオオルたちに囲まれていてピンときた。

 このヒゲがおしゃれな男性こそが……


「申し遅れた、私が、このチームを引っ張らせてもらっている、ジェンですとも」


「私は多分聞いていると思いますが、ローズオーラです。代わりに参加させてもらって、すごく有意義でした」


「ほんと、ローズさんがフリーだったら誘ってたのになあ!」


「スウマリーダーで上手く回ってたからなあ、オレもやりやすかったし」


「まあ、あるべき姿に戻ったのかなぁ」


「まあ……ジェンさんの代わりにローズでもぜんぜん……」


「ちょっ、ちょっと! そりゃあないってえ! 私の席残しておいてくれ!」


「「ハハハハハ!」」


 すごく賑やかでなんというか一体感が有る。

 良いチームなんだろうな……

 私の居場所はきっともうここになくて大丈夫。


 その後も雑談を数分してから。


「ほんと、数日の間ありがとうございました。またどこかで!」


「「またねー!」」


 私は彼らと笑顔で別れたのだった。

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