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五百三十七生目 相談

 私が神として生き物として安定しているのに別々にわかれたり性格は好みが全然違っても自分として確立できていた。

 それを見てホルヴィロスは不思議がったりなやんだりしていたのか。

 ホルヴィロスは自身の内臓を内側にしまう。


「まあ、私はなんで神になってから安定したのかわからないけれど……ホルヴィロスはそれを、内臓をどうにかしたいってことなの?」


「ううーん……正確には、私にもわからない。私はこれをどうしたいのか。正直、昔からこれを引きずるということは、どこかで私の成長にストップをかけている気はするんだけれど……同時に、これがあるから私だっていう認識はしていて。私は他人にアレコレと言う割に、思ったより自分が成長していないなって最近よく思うようになっていて……」


 思ったよりしっかりと人生相談だった。

 ホルヴィロスの私からした普段のイメージって脳内お花畑だから……


「うーん成長かあ……成長かどうかはわからないけれど、ホルヴィロス自体はこういう装置や、普段の医療、最近は料理も積極的だし、普段はみんなに神様みたいな感じで教えてるから、言うほど成長していないとは思わないけれど……」


「もちろん、そこはそうなんだけれど、なんというか……まるで、小さい頃大事にしていたものを、すっかり大人になって特に見向きもしないのに捨てるのもためらうというか……」


「あー、大丈夫大丈夫、わりといるよ」


「わりといるんだ」


 ここに食いついてきたか。


「なんなら大人になってから赤ん坊をあやすためのグッズを自分用に買い直したりするのもいるから、そこまで変な行動じゃないよ」


「赤ん坊をあやすグッズを自分用に買い直すの!?」


「そうそう、普通の生き物たちも生きているだけで不安を抱えるけれど、ニンゲンもそうで、そういうものがあると安心するんだってさ」


 よしよし話に乗ってきてくれた。


「だからさ、なんでも昔を捨てられるからえらいわけでも、抱えているから止まっているわけでもないし、振り返った時に何もないのも虚しいからね。だから、ホルヴィロスは自分がなりたいようになれば大丈夫。それを抱えていても、手放しても、ホルヴィロスはホルヴィロスだよ」


「ローズ……!」


 パアァと明るくなったあと。

 ホルヴィロスは深刻な顔を見せる。

 今までにない真面目な顔だ。


 いっ……一体?


「じゃあ……質問なんだけれど」


 ホルヴィロスの目が輝く。


「どっちがローズ的にイケたやつにみえる」


「はい、相談タイムは終わりでーす」


「そんなー!!」


 やっぱり頭が花畑だった。

 私はホルヴィロスの泣き声を聞きつつ目を閉じる。

 スッと眠りに落ちた。






 夢を見る。

 割と昔見ていた地獄のような悪夢は最近鳴りを潜めている。

 代わりに見る夢はなんなのか。


 夢には荒唐無稽さや理解できないことがらがよくあるし……

 なんなら理不尽に死ぬこともあるという。

 私が見ているコレはおそらく明晰夢という夢を夢だと認識できるものだ。


 私が全く別の私だ。

 どこかわからない部屋の中にいる。

 あまりに綺麗すぎて整えられた空間……


 私も相手も何を言っているのかはわからない。

 ただそこにいる私はすごく……平坦だった。

 私なのに私の感情が読めない平坦な心。


 一体隣に座る誰かと何を話し……

 私はどんな姿で受け答え。

 どう返して笑いかけるのか。


 そんな疑問と共に夢は終わる。










 起きて回復カプセル植物から出た。

 なんというか……気力満タン!

 耳の中に入っていた水も自然に抜けている。


 割と全身スッキリした。

 ホルヴィロスは諦めて作業の続きをしていたらしい。

 私がでてきたのを見て耳をピンとたて寄ってくる。


「ローズ! おはよう、調子はどう?」


「バッチリ! こんなにすごくさっぱりというか、新鮮な気分になるとは思っていなかったよ。ありがとうホルヴィロス」


「えへへ……こういうことなら任せて」


 とりあえず向こうの大陸では夜ぐらいになってきただろうしホルヴィロスのかおりや顔も華やかに戻っている。

 今重い悩みをしていないなら大丈夫か……










 私は2足型になって煉民主国に戻ってきた。

 すっかり夜がふけてあたりは暗い……と思ったが案外明るいな?

 街だというのもあるけれどあちこちで炎が明かりがわりに燃えている。


 もちろん街が焼けているわけではなくそういうつくりなのだ。

 夜中は炎の窓とか閉じて明かり対策するんだろう。

 今はまだ大人たちがうろつく程度の時間。


「おーい! ローズさーん!」


 歩いていたら少し遠くから声をかけられた。

 小洒落た格好をしたスウマとスレイカだった。

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