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五百三十一生目 格闘

 よく手負いの獣がいちばん危ないと言うが目の前にいる相手にはまさしくその言葉が当てはまった。

 グフは全身から煙を立ち上げて(エフェクト)のオーラを発している。

 少なくともこちらの有利に働くような状態ではない。


「なんだあのグフは!?」


「みんなも見たことがない?」


「そもそも、グフがそんなに追い詰められたことを聞いたことがないから……」


「ぬおおおおあああぁ!!」


 グフを"観察"してみる。

 ……激怒状態?

 自身の火力を底上げするかわりに凄まじく体力を消耗しつづける状態らしい。


「みんなは"魔炎"マジックロードのほうを、私は……グフを止めてみる」


「ええっと……わ、わかった! みんな、"魔炎"をまずなんとかするよ!」


 スウマの声で4人の動きは再度オクマホ狙いになった。

 私はグフへと走り寄って。


「へっ」

「ッ!?」


 なにか悪寒がしたときには仕掛けられていた。

 グフの前にスミや水で濡れた地面。

 そして振られた腕から飛来してきたのは濡れた土砂。


 まさかのここで目潰し!

 "止目"で時間間隔が限界まで引き伸ばされまるで時が止まったかのようになる。

 土砂が目に当たるのはもう避けることは難しいけれど……


 目ん玉そのものにあたると大変。

 両目は閉じておく。

 代わりに隠してある額の目で"見透す眼"により透視する。


 時間間隔を戻すとなんとか目を閉じることは間に合ったが思いっきり目潰しが瞼にあたる。

 うへえべったりして下手に目を開けられない!

 でも周囲の状況はそれでも……


「おらよっ!」


 ……私の剣ゼロエネミーが弾き飛ばされた!?

 今の下方から丁寧に剣で剣ゼロエネミーを跳ね飛ばす動き……

 まさか武技の"すくい上げ"!?


 まさか激怒したらとたんにこんな器用な戦い方を……

 平常時はあんな乱雑なのに。

 "すくい上げ"の威力ってあんまりないものの敵の行動阻害力はとても高い。


 さらに……武技の後動作中なのにいきなり身体をひねり出し動きがかわる。

 これは一部武技同士が繋がってより強烈な連撃に繋げられるというキャンセル行動……!


 雷撃のような(エフェクト)が飛び散りその雷撃をもってしてナナメに2回斬られ。

 さらに剣を上に掲げると雷撃がそこから私に落ちて。

 大きく回転して吹き飛ばすように雷撃の回転斬りを与えてきた。


 凄まじい力に壁までふっ飛ばされる!


「"雷襲回転"……! はぁ、はぁ、どうだ……! 嫌なんだよ本当は、こんなせせっこましい真似は! まるで俺が、オマエより弱いみたいだからな……だがな、負けるよりはマシだ。だから確実に殺す技を、必殺技を選んだ……なのに!」


 私は壁に脚をついていた。

 そして重力に従って降りる。

 実際斬られたのはかなり痛かったし危なかった。


 というか今もジクジク痛いから光魔法"ヒーリング"で抑え込んでいる。

 直撃だけはうまく避けたっていうのと。

 私の手元に剣ゼロエネミー。


 わざわざ歯を食いしばって怒り狂っているグフに伝える気はないけれど……

 剣ゼロエネミーは弾いてもすぐ自力で戻ってくる。

 さらにいえば少し距離があっても土魔法とか電気魔法とかの属性を吸ってしまう。


 本来大打撃を与えるはずの雷撃部分が全部私の力に還元されるだけになってしまった。


「オマエは、何者なんだあああぁぁ!!」


 グフは叫びながら突っ込んでくる。

 私はあえて剣ゼロエネミーを地面に刺して。

 グフの動きを限界まで見極める。


 一応向こうからしたら目潰しが入っているけれど……


「さあ、こい!」


 私は異様なタックルを仕掛けてこようとするグフのほうに身構える。

 直前で"止目"!

 ……タックル直前で右斜め前に拳。


 やはりこの場面でいちばん重要なのはにおいの微妙な差分だ。

 何を考えてどこに重きを置いているのか……

 視覚だけではなくそこからも得る。


 総合的に言えば……殺気だ。

 "止目"解除。


「らあっ!」

「ハッ!」


 "止目"。

 剣を地面に叩き付け。

 跳ばないと多分危険。


「ハァッ!」

「やッ」


 3回目。

 止める時間は秒単位で脳に負担をかけないようにする。

 今の私だと胸の石コアのほうかな。


 地面に衝撃波が走っていく。

 避けなかったら揺らされていた。 というわけで私が相手の上を取る形に。


「それっ!」

「ハァッ!?」


 ここでグフは剣を手放す選択をしたのか。

 私の蹴り落としをスレスレで腕による塞ぐ。

 腕に仕込んだ鎧たちが壊れる音。


 グフは死ぬほど痛いだろうがそれでも前に出つつ横に移動。

 この体勢から出すのは……"止目"。

 これは蹴るな。


 私は着地した瞬間にかがむ。

 すると頭上を蹴りが通り過ぎていった。

 チャンス!

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