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五百二十二生目 岩壁

 オクマホが飛び回った。

 どんどんと攻撃を避けて……

 わりと腹立つくらいに煽られていた。


「降りてこーい! うわっ!」


「はあぁー! うっ、当たらない!」


「えぇ……弾丸を受け流されている……?」


『ハッハッハッ! 不意打ちならともかく、普段から俺は多数の相手をしつづけている! キサマら程度に負けるなよ!』


 ぬめりをもった腕で丁寧に弾かれていく。

 8本もあるとやはりどれかの腕で対処されてしまう。

 さらに油断すれば向こうの魔法攻撃が飛んでくる。


 別に魔炎へのこだわりがなければ水魔法と火魔法を扱えるらしい。

 相反しそうな2属性を操り的確にこちらへダメージを与えてくれる。

 私はともかく4人たちにダメージが……


 ……うん?

 さらに誰かが近づいてくる?

 そのまま気にせず戦っていたら1つの影が部屋の入口まできた。


「ハァ、ハァ……! こ、こんなに早く見つけ……な! なんでもうお前たちが!? こんなところまでそんな速度で!? おかしいだろっ!」


「グフ!?」


 それは汗だくのグフだった。

 取り巻きたちがいない……

 もしダッシュでほぼ外れ探索なしでここまで来たのならすごい……が。


 ひとりしかいないということは置いてきたのか。

 相変わらず噂通りのやつだ。

 グフはワープして連れてくるとかしないだろうし。


「残念だってねグフッ、こっちは優秀なサポーターさんが臨時で入ってくれたんだ!」


「なんだと!?」


「ははは、オマエがバカにした奴が、真っ先に見つけたのさぁ」


「馬鹿な、あの雑魚そうなのがこんな奥地へ真っ先に来れるはずが!」


「もっと言うと……わたしたちをここにワープもさせてくれましたから……あなたも似たようなこと、したらどうですか……?」


「は、はあぁ……!? いくらなんでもそれは嘘だ! 手軽に大人数呼び寄せられるはずもない! キサマら、どんなイカサマを使った!」


 こうなればもう向こうは絶対認めようとはしないだろう。

 まあ認めてもらう必要もない。


「どちらにせよ、キミはもうそこで

見ていることしか出来ないよ」


「ングぐぐぐ……!!」


 グフは私の言葉に怒り震えている。

 正直前科で横殴り……つまり他のチームが狩っている魔物を横取りしたことがあると聞いている。

 だから不安ではあるけどそれはそのときだ。


 オクマホのほうは新手が来たと勘違いしたのかさらに入り口方面から距離を取る。


『ハーッハッハッハ! 何体来ようと俺が抱く闇を、貴様らは打ち破れまい! そろそろ本気を、いや、本気を超えた、俺ですら制御できない闇を見せつけてやろう!』


「なんだ!? こいつ、わざわざ、念話で何かをしてくるって言ってる!?」


「気をつけて、芝居がかってんのも何かのブラフかもしれない!」


 いえ……たぶん彼が調子に乗っているだけです。

 それはともかく実力は大口を叩くだけある。

 回転して身体の下にある口から大量の墨を吐き出し炎を纏わせてあたりに一瞬で広げていく。


 魔炎だ!

 広い範囲を襲いかかるこの大技はためるのに時間がかかるようだが……

 いざ放たれると全域攻撃でえげつない。


 このままだと一気にチームが半壊する。

 あんまり使いたくないけれどスタンバイ済みの地魔法"コクーンアース"で味方と私を覆う。


「この岩壁の中に!」


「うわっ!?」

「危ないっ」

「あっつぅ!?」


 慌てて全員を避難。

 タイミングさえ合えば強力な攻撃に繋げられるんだけれどそのためにはみんなにオクマホをうまく追い込んでもらわないと。


 岩盤は炎を完全に防ぐ。

 しかし熱い!

 凄まじい熱だ。


 後遠くで悲鳴が聞こえた気がしたがまあよしとして。

 岩盤を解除したらタコスミのにおいと共にオクマホ本体が急接近。


「「うわっ!?」」


 8本の腕を器用に操って高速乱撃!

 近接戦闘もこなせるのが器用だなあ……!


『フハハハッ、何故か魔法を連発されているのは奇妙だが、問題ない! 押し切る!』


「こいつ……戦い慣れしているなぁ。全員、魔物相手というよりも、賢い手練相手だと思うようにぃ!」


「よし! 少しバック側に回るよ!」


 ワンチとスウマは攻めるのではなく全員のサポートに回る。

 回復や戦闘能力向上させる力を用いてくれるようだ。

 その分私やスレイカそれにオオルが攻めの姿勢に回れる。


 直接的に殴りへいけば必ずオクマホは8本の腕で跳ね返してくる。

 何か対策をしないといけない。

 ここはやってみるか……時空魔法!


[スロウド 相手の時間間隔を操作し全体的に鈍化させる]


 簡単に言えば相手の速度を下げる魔法。

 あくまで向こうの感覚をゆっくりにするだけで根本的な破壊力なんかは変わらないから注意が必要だ。

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