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五百二十一生目 不意

 めちゃくちゃノリノリでオクマホは攻撃すると宣言してくれた。

 それだったら私は存分に対策させてもらおう。


 オクマホはその8本の脚を宙に浮かせる。

 身体が空に……!

 魔法タイプの強さがあるというのは嘘ではなかったらしい。


 宙でくるりと回り。

 下へと向けて頭の下にあるものを斜めに向ける。

 つまりは……口だ。


 凄まじいエネルギーがそこから形を持って。

 そう……青黒い炎となって。

 放たれた炎たちは一瞬で洞窟内を覆い尽くしていく。


 おっと威力そのものはハッタリじゃない。

 (くう)魔法"ステルス"を発動!

 私は亜空間に隠れる。


 炎がブワッと広がり私のいる場所を通り過ぎていく。

 さすがに亜空間にいるものまで焼く力はない。

 空間系統の属性が付与されていれば別だったが……


 見事にただ通り過ぎるだけ。

 だがこの炎で近場はほぼもやされてしまっただろう。

 慣れている小さい魔物は穴に隠れたり天井に張り付いたりしているようだ。


 消えると共に"ステルス"解除。

 ……あれっ。

 この臭い……海鮮のにおいというか……


 そうだ。

 なんで黒いか悩んでいたんだけれど。

 もしかして彼の吐く墨を媒介にして魔力を伝え燃やしている!?


 なるほどそれは賢いな……

 私も似たような応用はできるかもしれない。


「ふう、これでどんなやつもウェルダンのはずだ。さて、いい感じに焼けて食べられるか見てくるかな……」


 完全に油断している。

 私はオクマホの意識外に入り込むように飛び込んで……

 そのまま奇襲をかける。


「ふーん……んぇ?」


 飛び込み拳を頭に叩き込む!

 さらに2足になり剣ゼロエネミーを出して武技"ズタ裂き"!

 赤く(エフェクト)をまとった刃が複数回切り裂く。


 不意打ち成功!

 これでオクマホが裂かれた部位から出血して継続的な生命力減少がはいる。

 私は少し距離をとって見つめ合う。


『ば、馬鹿な……生きていただと!?』


「一応言っておくけれど、今のうちに暴れるのをやめておとなしくこの迷宮から出ていくって話は出来ない?」


「なっ!? 俺の言葉をなぜ……いや、今はそれどころではない……キサマ、俺に傷を入れたな!? 調子に乗りおってからに、この場所は誰にも渡さん!」


「場所はいらないけれど……多くの生物たちがキミに焼き払われて生態系が崩れかけている、不必要な殺生をしているらしいからね」


「む!? 不必要な……? ええい、会話などいらん! どちらにせよ俺はキサマを倒してここで俺の城を建てる!」


 向こうはやはり説得に応じないか……

 話している間にも漆黒の焔とやらが飛んでくる。

 魔炎の正体は墨……斬るだけ不利だから避けに徹する。


 スキに斬り込んだら8本の腕を使い(エフェクト)を纏って弾き返してきた。

 手数が多いせいでうまく斬り込めない!

 くっ……柔らかそうな見た目なのにッ。


「ははは、どうしたどうした! 先程までの威勢は!」


 よし。オクマホが押し込んでくれて助かった。

 彼の背後にできた……召喚できそうなスペース!

 じゃあいっちょ派手にやりますか。


 地魔法"Eランス"!

 私の前方に巨大な岩槍が浮かぶ。

 厚い岩盤のような槍はそのままオクマホに向かって飛んでいく。


「うわっ、破壊は……出来んか!」


 オクマホはすぐに見極め宙に浮いた身体を器用にひねる。

 直撃は避けつつも槍に跳ね飛ばされるように食らった。

 地面に転がってすぐ立て直す。


 地面に落ちて砕けた岩槍や地面から強烈に粉塵が空に舞う。


「っはぁ! 残念だったな! 喰らえ、俺の闇の――」


 私は粉塵の向こう側へ事前に魔法を放っていた。

 それが今発動し……

 粉塵が少しだけ薄まった時に。


 大量の攻撃がオクマホに向かって放たれた。


「――焔にぐへらっ!?」


 斬撃の衝撃波。

 トゲつき鉄球。

 弾丸。

 爆発する光。


 その全てに出来得る限りの力を込めて最高の1打をぶちこんだ。

 ちゃんと話していた通り準備していてくれたらしい。


「あれがオクマホだよな!」


「うん、助かったよ」


「ぐ、ぐぐ……!」


 思いっきり攻撃されたオクマホは苦しげに起き上がる。

 やはりなかなかのタフ。

 このメンツの攻撃力はなかなかのものなのに。


 新しいメンバーが増えたとみてオクマホは念話に切り替える。


『なーにをする! 俺の抱く闇の焔を放とうとしたというのに! 新規の敵か! 何体来ようと引くわけにはいかないっ』


 オクマホは近距離で止まっていると危険と判断して腕を広げて空を飛ぶ。

 い……意外に早いぞ。

 部屋が割と広いもんで引きずり降ろさないと機敏に動かれてしまう。


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