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五百十六生目 圧勝

「おっと、さすがに強いね!」


 リバーオンたちは初手にハチャメチャな殴られ方をしたが3頭中2頭はまだ健在。

 さすがにオオルにまで斬られたやつは戦闘不能になっていた。

 リバーオンたちはこのままではいけないとその場から散る。


「やっと出番だなぁ」


「私も!」


 ワンチと共に私も構える。

 相手が回り込んでくるのを見てスレイカやスウマが襲撃されないようさらに外側へ展開する。

 互いに脚を止めにらみ合い。


 ワンチは縮めてあった箱をギュッと押すと長い形状の棒へと変わる。

 この木製の棒は両端が薄く削られていた。

 つまりは刃物。


 中心を持って構える。

 たくさんの溝掘りと中心にある石がこの棒は杖としての技能があることを指し示す。

 溝に(エフェクト)が流れ込むように走り攻撃準備を終えた。


 私は無手で構える。

 "観察"もしたし、声もかけられるのだがあえて何も言わず武器も出さず。

 にらみあった。


「今そっちへ!」


 オオルたちが切り返し取り囲むように動き出す。

 よしいい感じ。

 では近距離の魔法を見せつけよう。


[インスタントアーマー 全身に使い捨ての地属性岩鎧を纏う]


 私自身が似たようなことができるためそんなに使わないが……

 私の全身をひと回り大きく岩の鎧が覆っていく。

 まるでパワードアーマーだ。


 そしてこの鎧は正しくパワードアーマーとしての機能がある。


「はあぁっ!」


「うわぁ!? なんなんだこいつ!?」


 リバーオンの悲鳴をききつつ殴りかかる。

 重い見た目に反して突如加速するかのように拳が振るわれる。

 そして衝撃波があたりに散り避けたはずのリバーオンに食らわしていた。


「うぐっ!?」


 そうこの魔法はそもそも魔法使いが魔力を糧に近接攻撃するための魔法。

 いるのは筋力ではなく魔力。

 そして維持する行動力。


「せいやーっ!」


「ちょっ、まっ!? ウガァッ」


 ガシャンガシャン動かしていたら反撃の爪撃。

 なんらかの武技らしく水中なのに華麗なステップを踏み3回もグルグル回って爪撃を与えてくる。

 前から思ってきたけれど爪ってひとふり4から3つの斬撃与えるから効率いいよね。


 そんなことは思いつつも……


「って嘘ぉ!?」


「私の魔力を突破しないかぎり、効かない!」


 速い移動とかは難しいもののこうなると強い強い。

 鎧により9割以上ダメージがカットされたあげく内部の私自身が残りを防いだ。

 つまり無効化。


 こっちは後雑に暴れるだけとして。

 向こうのワンチは……


「さいやっ、そいやっ!」


「ああああぁっ、嫌らしい!」


 的確な槍術でリバーオンを翻弄していた。 

 リバーオンが近づけば高速で振る槍に弾かれて。

 リバーオンが回り込もうとすると鋭い突きやなぎ払いが飛んでくる。


 武技を行使しないサポート型特有の立ち回りは防御に優れていてまともな攻撃が出来ずにいた。

 地味に見えて高技術なさばき。

 当たったらちゃんと痛いのがまたリバーオンからしたら嫌な点だろう。


「だったら!」


「こいつで!」


 リバーオンたちが私達を突破するため双方が(エフェクト)を纏い水の輝きを放つ。

 水生生物は水のスキルや魔法をよく覚える。

 そのためやってくることは想定していたが……


「遅いよ!」


「「あっ」」


 当然回り込みを失敗した彼らの背後から迫る者がいるわけで。

 飛んできた弾丸や鉄球が炸裂した……!










「なんというか……楽すぎる」


「いいことじゃないですか」


「それはそうなんだけれど……」


 何故かみんなの視線がこちらに向く中私達は数回の戦闘を終えて河の中の森を抜けた。

 ぶっちゃけみんなが強い。

 私はと言えば片手間に強化魔法と回復魔法それにうち漏らしを適当にあしらっただけだ。


 本格的に筋力強化とかかけだしてからみんなが困惑したり叫んだりこっちをみたりしてきている。

 げせぬ。


「確かに今回途中からスムーズ度が違うなって思ったけれど……よく考えたらローズさんの支援が半端じゃない効果なだけだった」


「水中の魔物、普通は撃退可能能力は陸上よりかなり高めに設定されるんだなぁ。それを陸同然の戦いにさらたら……」


「むしろ、空を舞うくらいに向上してたし……そもそも治す力も、俺が武技で使った生命力を片っ端から片手間に治していたしなあ」


「あと戦闘補助魔法……かけてもらったら、わたしだけでリバーオンが完封できた時は、さすがにどうかと思いました……これが……ランクU……」


「グフがなんで次期ランクWとか称されているのか本当にバカらしくなってきた……ローズさん、その、もしかして直接戦っても私達全員より強いんじゃない……?」


 あははと曖昧な返事を返すしかなかった。

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