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五百九生目 納得

 この迷宮は密林に覆われまくっていて先が見えない。

 その中を進んでいくためどうしてもニンゲンたちでは鈍足行脚になる。

 加えて土地柄慣れない気候に冒険者たちと言えど非常に苦労してここを進むらしい。


 結局町中にあるからといっておいそれと弱い冒険者が入ろうものなら簡単に死ぬのが最大の封じられた要因。

 ゆえに。


「ああ、いけるいける」


「ま、ここらへんひゃっぺん通ったからな。任せとけって」


「やることが……ありません」


「ふぁ……くわぁーあ」


 ベテランの彼らにおいてはまさしく手際がよかった。

 凄まじい速度で道が切り開かれ何を言うでもなく進んでいく。

 ら……楽〜。


 雑に見えて抑えるべきポイントをおさえて手際よく捌きまくっているのだ。

 しかも。


「魔物だ!」


「まあ、こんな感じで」


「おしまいです……」


 オオルが小柄さをカバーする肉厚で巨大な剣を。

 スウマがヒーラーなのにトゲだらけの鉄球が繋がったチェーンを。

 スレイカが和服に似合わない2丁拳銃を。


 見つけた巨大トンボやら牙が生えて目が怖いウサギじみた魔物を片っ端からしばく。

 まさしく見敵必殺。

 武技による消耗も気にせずサポートもなしでボッコボコだ。


 魔物たちは一目散に逃げ出していい感じのものを置いていってくれる。


「そ、そこまで飛ばして大丈夫?」


「全然平気!」


「まあ、みんなが強いのもあるけれどよう、物資の買いだめも怠っていないからなぁ」


「おお、すごい」


 冒険者立ちはあらくれが多かったり学より腕のやつが多かったりとまあなんやかんやとこまめにコツコツやることが苦手な者が多い。

 悪いことではないのだがわりと中級の壁にぶつかるのはそこだったりする。

 最悪準備不足でひどい怪我をおって引退するのだ。


 生傷の多い冒険者が1番怖いのは破傷風系の病気だったりするのもよくあること。

 ベテラン冒険者ともなるとさこらへんの対策も済んでいて何より道具の備蓄がすごい。

 その日暮らしは脱していてたいていは豊富な備蓄から安定した冒険運用をしている。


 ほぼ被弾をせず進むので回復にさかれる行動力やポーションもない。

 びっくりするぐらい順調に進み。

 ……それは姿を表した。


「おおー! やっとここまで出てこれた」


 スウマが駆けて開けた景色を見に行く。

 私達もそのあとに続き……

 この迷宮の名を見た。


 ……ひたすら続くきらめく水面。

 流れ落ちる轟音。

 広く濁った色は黄金。


 ここは見渡す限り巨大な滝。

 大瀑布の迷宮だ。


「お、おっきいー……」


「こっからが本番だなあ」


「密林部分に大河部分、それに瀑布部分に上下。細かくさらにエリアわけもされるよ。まあ今回はあまり気にしなくていいけれど」


 ワンチが眩しさにその巨体を締めるような小さな目を細めマップを開く。

 そうここからが本番だ。

 何せ"魔炎"マジックロードがいるのは……この大河の中を進まなくてはならない。


 滝に落ちたら非常に危険だがのぼりすぎると別の場所に行ってしまう。

 なのでこの大瀑布の上側を沿うように水のなかを進む。

 まだ行ったことがないので私は聞いただけだけどこの水の中は視界が悪すぎる。


 そのために各員魔法のゴーグルみたいなものをつけて移動する。

 酸素ボンベならぬ酸素魔法つき。

 すごく軽装だが5つ用意するのにかなりの額と素材を渡しているはずだ。


 正直私はこれらがあっても生きたくはないけどね!

 ただまあ水の中が噂通り天然の迷路になっているのなら歩く感覚でいけるかな……?


「全員つけたー? いくよ?」


「おうさぁ」

「はーい」

「うしっ」

「あわわ、も、もうちょっと……よし、弾丸を水中製にしました」


 最後にスレイカが和服を結び2丁拳銃の中身を詰め替える。

 おっとそうだった。

 私としたことが水に緊張しすぎてやるべきことを忘れていた。


「ちょっとみんな集まってくださいね……水は空、身体は魚、"フィッシュウィズウォーター"」


「おっ、コレって水中でも地上と同じように動ける魔法! ありがたいねえ」


「弾け鱗よ、水気を払え。"レインコート"」


「ええと、水に濡れなくなる魔法……?」


「纏う激流よ、今は眠れ、"ドロップアンカー"」


「……え? さらに水に流されにくくする魔法?」


 気管支に水が入らなくなる魔法"ギルス"。

 筋肉がつる防止の"フレキシブル"。

 水圧を軽減化する"サブマリナー"。


 エトセトラエトセトラ……


「まったまった!? どれだけ魔法を使うんだ!?」


「そうですか? 水に入る前は補助を10個くらいつけないと安心できないんだけれど……」


「さすがランクU……規格外……」


 なんだか別の方向で納得はしてくれたようだ。

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