表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1600/2401

五百五生目 昇格

 散々疲弊し中も涙と咳と魔法の音で溢れかえってから魔法を解除し扉から岩を転がす。

 雑にひっくり返った相手からガンガン抑えて倉庫にいたものたちを片っ端から抑えた。


 これで誰かはしらないがおえらいさんが襲撃されることはないだろう。

 よかったよかった。

 ここ東側の冒険者ギルドには捜索が入るらしいがあんまり期待できなさそう。


 私は朝に西のギルドへ赴く。

 そこではもう東の話題で持ちきりだった。


「あそこですげえ騒動だったな!」


「いやあ、悪さしてたんかなああっち」


「こっちはどうだろう?」


「わかんないなあ、僕らはギルド職員たちに詳しいわけじゃないし……」


「地下室にはだれもいませんでしたー! 生活している様子もありませーん! おさないでー!」


 ざわざわと場はやじうまたちで溢れかえり職員たちを問いただしたり地下室を覗き見たりと騒がしい。

 向こうのギルドは今完全に閉鎖中なのも影響があるだろう。

 つまり仕事を受けるにもこっちにこなくてはならないのだ。


 私はちょっと離れた位置から全体を観測する。

 強そうな人たちやランクが高そうな人たち。

 その中で枠があいていそうなところを狙う。


 当たり前だけど大規模民間ギルドほど強い者が多く同時に大規模だから既にチーム枠は埋まっている。

 最悪仲間募集欄に貼ってもらって誘い待ちをするか……

 でもそれだと変なチームに組み込まれるかも。


 そうこう悩んでいる間に冒険者たちも徐々に落ち着きを取り戻していく。

 盛況だった場も今日やりたいことのほうを優先するためにいい感じに凪いできた。

 とりあえずこの状況で変なことを話したり挙動している冒険者は……と。


「なあ……今日どうするよ。アイツ、これないんだろ?」


「他のメンバーも既に予定組んじゃったんだよね」


「でもこの依頼はちょっとフルメンバーじゃないと……」


「良いやついねえ、やっぱ募集かけてるやつは中級者クラスばっかだ」


 男女ツーペアの4人組。

 結構深刻そうに悩んでいる。

 話を漏れ聞く限り大きめな依頼を受けたが良いものもドタキャンされてチームが組めない状態になっちゃったのかな。


 冒険者たちは基本的に5人がフルメンバーとされている。

 他にも速度を活かしたスリーマンセルやバランスや効率を考えたフォーマンセルがある。

 フルメンバーじゃないと厳しいということは迷宮の……しかも特定の強敵撃破かな。


 こっそり近づいて声をかけちゃおう。


「キャンセルするには惜しいしなあ……そもそもこのために何日もかけて準備したのによう」


「あの、メンバー募集はまだしてますか?」


「え?」


 目が一斉に向く。

 ちょっと緊張するよね。

 けど悪意はない。


「あ、もしかして冒険者の方?」


「全然力も……気配も感じない?」


「あ、これギルドの証明書です」


 冒険者のなかにも詐欺師はいる。

 というより冒険者を騙る詐欺師。

 そしてこの場で何よりも意味を持つのはギルドの証明だ。


 見る人がみれば偽造書は簡単に見破れる。

 複数の特徴的な印字や何よりも魔術的構造も巧妙で下手な偽造は素人でも違和感を感じる。

 4人は顔を寄せ合い見て驚きの声を上げる。


「ランクU!? わぁお……」


「ニセモノ……だとは思わないけれど、アイツが休んでいるからわからない……」


「こんなに高いランクの冒険者なんて、大ベテランじゃないか……!」


 あっ。ランクTプラスからまた増えたんだった。

 ちなみに隠し印である"自由"とか国の印はここではチェック不可能。

 ただそれがなくても既にだいぶすごくなっちゃってるなあ……


 AマイナスからZプラスまであるとされる冒険者ランク。

 しかしZプラスランクの現存冒険者はいない。

 というよりXYZのランク自体が特別区分とされ公的にランクを持つものは存在しない。


 ただし唯一……

 過去の勇者パーティー組が死に魔王を倒して伝説となったときに。

 彼らに名誉として冒険者ギルドは特別ランクを与えている。


 それがXYZのランク。

 ぶっちゃけて言えば戦死者のためにある殿堂入りランクだ。

 勇者はもちろんZでほかも実績に応じて与えられたそうだ。


 現勇者パーティーは死んでいないため殿堂入り昇格はしていない。

 そのため1つ下のランクであるWが事実上最高ランクとなる。

 Wランクは冒険者ギルドそのものと国家連合から直接依頼され人知未踏の戦いに足を踏み入れているらしい。


 私の昇格はやはり大河王国でのやりとりが大きかったのだろう。

 ただあの依頼は本来の形では冒険者の依頼ではない。

 ……グレイたちが気をきかせて本当の動きを知らせてくれたのかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ