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百五十五生目 血汗

 なんとか魔法記述の修正(バグチェック)を終えて再び保存。

 さらには実行をした。

 魔法の光(エフェクト)が走る。

 地面からオーロラがでているようだ。


「うわあ、キレイですね!」

「成功したみたい。これで次の段階に進めるよ」

「ようし、今度はバッチリきめてやってやる!」


 今度やるのは大地が痛みを修復している間に再び龍脈の道を作るために土の質を戻す作業だ。

 元の土質は周囲の、特に龍脈が走っている場所を参考にする。

 土質は荒れているとは言え根本は変わっていないようだ。

 それならばなんとかなる。


[リチリー 土の質を改善し植物が育ちやすくする]


 土魔法でようは畑を作る魔法だ。

 植物の魔物ならば自身が恩恵を受けやすい土壌にするために使われるのだろう。

 しかし今回は畑にするわけではない。

 この魔法を利用してこの大地の質を戻そう。


「まずはこの上から書いて行って」

「あれ? 戦いの外側?」

「うん、ここの情報がいるからね」


 龍脈が無事通っている地面の上に妖精たちに指示し書いていく。

 『地面情報』これをさっき私が魔法で理解した内容を追記して補足し『保存』『名称付与:じめんじょうほう』をする。

 荒れている大地の方へと戻り新たに書き始める。


 『地面情報』また私の情報を元に書き足して『取得』。

 『上記が終了後』『取得した内容』を『指定の情報を元に質を同化させる』『指定:じめんじょうほう』『範囲選択』ここでびびーっとまた線を引いていく。

 今度は魔法陣とも言えそうな円形だがこのとにかく広い。

 戦いで抉れた跡全体をひくので面倒。

 それに私の血も頑張って増やさないと足りなくなる。


 『範囲内で実行させる』『魔法使用』『魔法を利用して命令を実行』『魔法:リチリー』『指定された魔法を起動キーにする』『保存』

 先ほどより慣れたはずなのにとにかくあれもこれも書き込む事になって妖精たちはグッタリだ。

 わたしは血を吸われてゲッソリだがまあそれは"ヒーリング"しておこう。

 あと食事したり。


 試しに起動してみようと"リチリー"を唱えたが普通に"リチリー"が発動し肝心の魔法記述はうまく走らなかった。

 楽しい楽しいチェックのお時間だよー。


 妖精たちと書き込んだ文字を逐一チェックし直しては動かそうとしてまた確認する。

 どこが不具合が起こっているか調べるための魔法記述が世の中にはあると聞いた時は笑ったが今は笑えない。

 ただまあそれを組むのはもっと私が作るのにこなれないと難しそうだが……


 チェック作業を何度も何度も繰り返し……


「やった! 発動した!」


 魔法の光(エフェクト)が走り荒れた大地が魔法の力で徐々に変質していった。

 実際には荒れ果てる前に戻るというのが正解か。

 とにかく動いたのだ。


「ひゃあ! カンドーした!」

「私たち、やったんですね……! やったんですね……!」


 噛みしめるようにそう言う妖精たちは苦労が伺える。

 まあめちゃくちゃ大変だったからね……

 とは言っても彼らは自分たちのためにやっているせいかやる気もひとしおだ。


「さあ、残りもやってしまおう!」


 私は土魔法"リチリー"を唱え続けつつ作業を続ける。

 最後は大地が治ったら龍脈を元の方向につなぎ直すという作業だ。

 ここで泉の水脈と交わらなければ水に力が戻らない。

 妖精たちが労働に耐えきれる間に仕上げてしまおう。


 新規に書き始める。

 龍脈のはじっこにまずは『ポイントc』荒れ果てた大地を挟んでもう片側の龍脈がある土地に『ポイントd』

 『ポイントcとdに指示』で『特定の気力の流れを探知』『探知後』に『可能ならば』『感知した気力の流れをポイントcとd間に接続』する。


 『必要コスト:術者から』『可能ならば:感知した気力の流れ』にしてと。

 多分今までの経験からこうならば動く……

 その場に応じた変化が求められるから面倒だが柔軟とも言える。


 『保存』をして試しに走らせる。

 まだ龍脈は土地が治ってないため繋がらないが書いた内容がちゃんと動いていれば起動はするが『条件が整っていないので動きません』となるはずだ。

 私が術式に触れ『起動』!


「あ、動いた」

「おお! やったあ、イッパツ!」

「ついにやりましたね……!」

「……え、なんで動いた?」

「え?」


 妖精たちが首をかしげるがこれはまだ条件が整っていないから動かないはずなのだ。

 しかし現にエフェクトが文字を輝かし地下にある龍脈が徐々にこの荒れた大地を通って行こうとしている。

 ……いや、そういえば。


 ずっとこの地面とにらめっこしていたから気づきにくかったがよく見たら荒れ果て抉られた土地だったのが周囲の無事な土地に気配が似通ってきている。

 色や感触それにかおり。

 ずいぶんと良さげだ。


 『土の加護』がある私の血を触媒に妖精たちが妖精たちの群れを想い汗を流して書いた魔法記述。

 その想いが血を通してよく地面にまで伝わっていたようだ。

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