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五百四生目 封圧

 この世界とほぼ同じ軸上にある亜空間に身を隠す。

 すると攻撃も感知も逃れられるが……

 向こうの関与もできないけどこっちの関与もできないという弱点がある。


 動きの制限から呼吸の制限まで。

 ただ呼吸に関しては私が神になってだいぶ解決した。

 ……肺活量が多くなったのもほうだがそれだけじゃないよ。


 半ば精神生命体だの魂の存在だの言われる類にジャンルわけされるようになったことで酸素の取り込みと二酸化炭素の吐き出しは必須ではなくなった。

 正確には動かなければ酸素はなくてもいきていける……らしい。


 ただやっぱり息苦しは感じるから呼吸していたいね。

 音に関しては私の異次元の狭間スレスレを通して聞こえはするんだよね。

 光もやや淡く変化するが見えるし。


 ギルドの中を透かして見てみるとかなり手狭。

 やはり外からうかがっていて正解だったらしい


「おい、まだ開かねえのかウスノロ」


「いいだろ鍵くらいゆっくりでもよ。どうせ冒険者達はまだこねえんだから」


「ここの地下が1番安全ってのはよく考えたもんだぜ。まあそれも、冒険者ギルド員のやつらも、なかなか話のわかるやつらが多いからなぁ」


「うし、入れ」


 やはりここの冒険者ギルド員とグルか。

 じゃあ彼らはピヤア団かな。

 ぞろぞろと地下室らしき先へ降りて最後に扉が閉じられる。


 ……む。

 こっから先はスキル妨害がかかっている。

 無理やり突破してもいいがそうすると向こうに探知されるかもなあ。


 だったら慎重に結界を解こう。

 スキルの力突破じゃなくて知識や"獣の賢者"による魔法への理解による解除狙い。

 銃ビーストセージを亜空間から取り出して。


 これを杖として使う。

 ハックツールだ。

 良い子には見せられない方法を使って……と。


 よし。

 こっそり結界に裏口扉を作った。

 バックドアとも言う。


 この裏口扉からこっそり視界や音をもらう。

 中を見てみると……

 そこは以外にも広々とした空間が広がっていた。


 ただ雑多な生活跡が見られるものの部屋の様子からして人が暮らすものではない。

 元は倉庫か。


「――てわけで、確実に近日中偉いやつがこの街に来る! そいつは俺たちピヤア団だけじゃあなく、蒼の大地で主にやってた魔王作戦も潰しやがったやつらしい!」


「マジか! あれで魔王崇拝者たちがごっそり抜けちまったんだろ? だいぶ強い奴らも捕まったり死んじまってさあ」


「つまりはチャンス! わたしらでぶち殺しゃあ一気に昇格よ!」


 ……うん?

 もしかしてもしかしなくても。

 私のことを話していないか?


 ……もうちょっと聞いてみよう。


「そんで、まだ来ている情報はないんだな?」


「ああ、大人数の移動、異様な力の気配がする者、不審な鳥車、情報をかき集めたけど、そんな物はいまのところない」


「街に入られたらやっかいだからな、孤立無援なところで暗殺する!」


「いくら強敵でも、こちらも精鋭を集めた。さらには数も多くホームはこちら。正面切って戦うときは得意かもしれないが、最大限卑怯な手を使ってやる」


 ううーん?

 軍のおえらいさん狙いかな。

 だったら私は違うな。


 まあ聞けることはある程度きけた。

 やたら苦しいしやることやっちゃお。

 こっそり魔法を解除して大きく息をしてから移動する。


 そのままギルド内に潜んで入り。

 我が家の倉庫をロックする魔法聖魔法"ロバーストネス"。

 それから結界に細工して転移魔法禁止を外側から内側に反射。

 さらに大きな岩を地魔法で作り出してと。


 ゴトンと立てかけた。


「なんだ!? 今の音は!?」

「上に、なんだ……?」

「あ、あかねえ!? 鍵が動かねえ!?」

「おい、これって魔法で封じられてるのか!?」


 よし。

 これで時間は稼げるだろう。

 地下室だし倉庫なので他にニンゲンが通れる抜け道はないのをチェック済み。


 よーしおまわりさん呼んでこよーと。


「んなっ!? お、俺の解除魔法が通らねえ!? ばかな、この扉にかかった結界に傷すらつけられないだと……!?」


「やべぇ……扉もそうだがその奥、何かやたら重いもんが置いてあるぞ。地下階段の途中だから坂に配置されていてこれじゃあ、たとえ扉が破れて押しても開かねえ!」


「な、なんなんだぁ、何が起きたんだあ!?」


 明朝にさしかかり。

 日は僅かに光を夜にさした。










 結論から言えば彼らはピヤア団のごく一部であっさり捕まった。

 ただ実力者は集まっていたらしいのでだいぶ良かった。

 わりかし前科つきもいたのだとか。


 ちなみに突入時が1番ハチャメチャになりやすいかなと思ったら兵士たちは徹底的にいじめぬいた。

 まず下に落ちるタイプの煙を通気孔から流しまくる。

 外から常に声をかけつづけ圧を与える。

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