五百二生目 美人
やってみたら周囲の時間が巻き戻っていくように過去の会話が見られた。
……
…………うーん。
ざっくり近日中の見たけれど罵り合っている……というかみんな自分たちのことばかり話している。
そしてそのことに関して周りがわやいのやいのと騒いでいる感じ。
仲がいいのか悪いのかぜんぜんわからん。
あと割と鮮明に記憶から映像を抜けるらしくてカードでの戦いがフル映像で残されていた。
そこなんだ……残すの。
これは受信機持ち同士しかできないログを使った会話とはまた趣きが違うね。
私は仮想部屋から抜けた。
あれだよねこれ……
ソーシャルネットワークサービス。通称SNS!
めちゃくちゃSNSだ。
ただインターネットを介して無いからソーシャルゴットワークサービスかもしれないけど。
SGS。
うん……なんか違和感あるね。
「なんというか……全く知らない世界だったよ」
「ハッ、少しは最新のトレンドも取り入れることだね。時代遅れのリュウみたくなりたくなければね」
「ああ、はい……で、なんであんなに仲の悪いどうしてつるみ合っているの? 顔のない神って……?」
「それはアイツラがボクの価値に気づかないのが悪いだけで、別に嫌い合っているわけでもない。顔のない神々というのは、なんとも説明をしづらいが、簡単に言ってしまえば腐れ縁だな」
もうちょっとあの顔のない神たちのSNSは覗きたくないな。
自分の【会話部屋】を作って神たちを後で誘ってみよう……
にしても腐れ縁か。
なんとなくそれなら言葉としてしっくりくる。
結局顔のない神自体の説明にはなっていないけれど。
とか考えていたらいつの間にかスイセンが歩きだしていた。
ざ……雑な扱い!
「その、悪さしないでね!」
「言うことはそれかい? まったく、ブスは別れの言葉も気がきかないね。そっちも、ボクを追いかけ回さないでくれ、今は黒真珠のような肌の子を探して目の保養にしなくては、逃亡生活なんてやっていられないしな……」
本当に大丈夫なのかわからないが歩きだとは思えないような速度でこの場から消える。
……それにしても。
前言っていた彼にとっての美人の感覚とズレている気がするけどなんでだろう。
スイセンはともかくとしてだれでも入りやすいということは犯罪者も入りやすいという環境だということだ。
煉民主国はどうしてもカエリラス団系の悪者集団に目をつけられやすい環境なわけだ。
朱の大地的に言えばピヤアか。
数時間かけて都市までたどり着く。
さすがに大きな街であるここまでくればずっと文明のかおりがする。
例のごとく赤いガラスレンガで出来た建物たちが立ち並んでいる。
この建物たちはすぐに出来て材料は灰からの精製だからということで良く用いられる。
色が違うベースのものもあるがそっちだと頑丈さや高級さがかなり高い。
最高に貴重な金の灰は高級でごく一部に使われているが建物ではない。
今日も街には白い灰がちらつく。
この白灰は1番価値が低いものだ。
ただし価値が低いとは言え工芸品は作れるし様々な環境的影響を与えるらしいから量の多さは偉大だ。
いつもどおり冒険者ギルドに入り灰を落とし登録手続き。
この国でも動けるように後ろ盾を得たあと得た後本格的に活動……する前に宿をとる。
ただ効率性を重視するのならこの脚でそのまま首都まで行ったほうがいいんだけれど。
それにどうしても首都だけでは集めきれない情報もあるだろうしね。
私が対ピヤア団対策部……つまりはいつものメンバー集めて会議した結果もらった指示。
それはピヤア団との遭遇そして本拠点の発見。
サーチアンドデストロイというやつだ。
情報は私も協力するがやはり数にまさるものはない。
それにドラーグの分体も探してくれていて激運に期待できる。
そして私も悪い引きなら期待できるわけで。
こういう時に肝心な敵と対峙しやすいのが私。
まあご存知の通りさきほどもスイセンと対峙したし。
そうこう考えている間にもホテルへ到着。
大きな期間滞在する宿屋もいいけれど今回はちょっと滞在して別の街へ行きたい。
明日受ける依頼もどうするか……
とりあえず有力者と組めて情報を集めやすくしたいなあ。
朱の大地は全体的に冒険者たちの実力が高い。
きっと有名所もいるだろう。
さすがにニンゲンたちの中に私の強さに単独で追いつくものはそれこそ勇者くらいだろうけれど……
それでも強いパーティーがたまたま空きがあればかなりの信頼が得られるはず。
そうすれば情報も安定して入ってくる。
海外の国で私が今までやってきたとおりにね。




