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四百九十九生目 残忍

「ふーむっ、ムムム、ムームッ」

「ンクク、マムムマーマームム!」


 蛇2匹ともに巨大飴がつめこまれていた。

 ああなったらいくら蛇と言えど関節を外して飲むのは苦労がいる。

 牙が刺さっているような気もするし。


「これは……おかしの城にある……?」


「ええ、少し借りました。食べたそうにしていたので」


「ンンンッー!」


「ムムムン、ンッンー」


 何を言っているかはわからないが何か抗議の意味合いはありそうだ……

 彼女は2つの核に近づく。

 ジとダは何か察したのか宙でバタバタしているが大した事はできていない。


 割とここまで無力化するのは骨が折れたからね……

 物理的にも。

 治したけど。


「さて」


 キルルは2つの塊を見つめる。

 その顔はまさしく地獄の試写らしく。

 燃ゆるような熱量がありながらもどこまでも冷徹そうな目。


 それは殺意ではない。

 ……嗜虐者の目だ。


「今だ現世に不快を撒き散らす汚物よ、月では永い裁きが待っている。楽に帰れると思うな」


 (エフェクト)が迸る。

 今の一瞬で斬撃が放たれ……

 バラバラになり黒い炎に包まれ静かに消えた。


 ただただ悲鳴の念話だけをそこに残して。

 こ……こわい。


「冥界送りをした。協力感謝する」


「あ、はい、ありがとうございます」


 そしてあっという間に姿が掻き消える。

 分神だからだ。

 私より強くて神として長いから分神なんていくらでも出せると思うけれど……

 よほど忙しいらしい。


 私はひと息吐いて避難所の方へ歩き出した……









 避難所の方ではランムが武器をしまったり片付けを行っていた。

 こちらはほぼ無傷だったようだ。


「お疲れさまです、お手数をおかけして申し訳ありません」


「いえ、それより……あなた、あんなに実力を隠していたんですね」


「え?」


 ここで初めて見られていたことに気づいた。

 これは絶対まずいな……

 思った瞬間には距離を詰められていた。


「あの異常な飛行能力は何なのですか? さらに分裂しましたよね、本人の存在感はほとんどそのままに、しかもいざ戦い始めたら、わたしの見立てよりずっと激しい戦いを行って、もはや人知を超えかねないほどの威力のぶつけ合いをして、なおかつ突然消えましたよね。その後どうなって、あなたは帰ってきたのですか、敵は、悪魔は!? むしろあなたが兵器!?」


「あわわわわ」


 やっぱりものすごい質問攻めにされた!

 ……その後答えられる範囲で答えるまで解放してくれなかった。









 月組のみなさんは結局そこまで活躍する機会がなく中途半端に高揚した気分を持て余したらしい。

 自分の街ではないのにテキパキ後処理してくれてあっという間に片付いた。

 粘体たちは何ものこさなかったし戦いも警察や軍が行ったので派手な破壊もなし。


「今度こそ、お別れですね」


「わたしとしては都に帰ったらやらねばならないことが山積みで既に頭が痛いんですがね……」


「あはは、悪くは書かないでくださいね……」


 ランムに苦笑いで返すしかない。

 ほんとさじ加減でここが安全になるかどうか変わるからなあ。


 そのあと他愛のないことを話しつつなんとか鳥車が出発してくれた。

 見送って。

 大きなため息。


「終わったああ……」


 トラブルが多すぎる。

 みんなはよくやってくれたけれど外部のトラブルはどうしようもないよ。

 あと私の引き起こしたトラブルが悪い。


 なんだかぐっと疲れてしまってみんなに挨拶をかわしたあと家に帰ってまた寝てしまった。


 その後都が……ニンゲンたちの街が……アノニマルースという存在と価値を正式に認識しだして大変なことになるのだがそれはまたのちの話。

 競売所がここにあるのは我ながらすごいとは思うが月組にとって重要なのは隠された脅威なので興味が向かなかったらしい。

 それらもまた後々注目の的へとなっていく……







 日にちが変わって。

 平日。

 今度こそ朱の大地へ再び赴く準備をする。


 最近裏でちょくちょく分神が召喚されている。

 召喚は冒険者たちにより世界各地で行われる。

 ただちょっと変わったのもあって……


 まず私が召喚されて即返されたパターン。

 なんと研究者だ。

 ランダム召喚の変化を見届ける云々……きこえた気がしたけどすぐ終わってしまった。


 そして珍しいニンゲン以外の召喚パターンもあった。

 どこかの集落的な所でトカゲ人みたいな魔物たちが私を呼んで……

 したことといえば。


「少し、河の作業を手伝ってほしい」


 ……どうやら川魚たちをうまく確保するための設備直しに手が必要だったらしく呼ばれた。

 その日は一切戦闘もなしに終わりめちゃくちゃ感謝されて解散。

 何だろう……割と何でもするんだなって再認識。

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