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四百九十八生目 三頭

 ジとダ。

 3体の私。

 そして地上で掃討ついでに見上げていたランム。


 ランムは狙撃の腕が良いのもあり空がよく見えた。

 見えてしまった。

 私の向上系魔法は特に他者への強化は大きめに出る。


 3体の私達が互いに強化しあい……

 速度とパワーでぶん殴る。

 それだけでジとダの無理やり受肉した肉体は殴り飛ばされ一部砕ける。


 大きいから1撃では大差ないけれどこちらは細かく小回りが利く。

 対して相手は超大型による物量攻め。

 確かに体のうねりすらあたると痛そうだが……


 (エフェクト)をともなう行動は全て予兆が大きすぎて余裕。

 体をうねらし体当たりを仕掛けてくるのを見てから避けて。

 ついでに何度か前足で爪と拳を叩き込む。


 叩いたところから面白いようにクレーターがあくので殴りがいはある。

 ……全然倒れる気配もないが。

 剣ゼロエネミーを呼んでどんどん斬り裂き銃ビーストセージにより強烈な弾丸で貫く。


 ただ武器らは堅牢な相手には向くけれど大きいだけの相手には逆にそこまでの効果を発揮しない。

 うーんダメージは入っているんだけれど……

 結局理性も何も薄いのが受肉したてで生命らしくないのが元凶か。


 ちくちくと神体の方にダメージが入っているものの自己回復されてしまう。

 やはり引きずり込まないと決着はつきそうにないな……


「ツバイー! そっちはどうお?」


「アインス、やっぱりこのままだとちょっと厳しいかな……ドライ

、いけそう?」


「神力のほうはたまっている、神力塊に変換して、こいつを飲み込むぞ!」


 空の上で頭が2つ寄り添いだしている。

 殴ったり魔法で弾けば少し止まるもののすぐにくっついてくる。

 やはりこのままではまずい……


 私達は全員で集まって前足を掲げる。

 神力を私達の中で集めて塊にしているが……

 今私達は3体。


 3つ分の神力塊を無理やり作り出した。

 神力塊たちを空中に現せて近づける。

 凄まじいエネルギーが発せられて周囲へどんどん広がっていった。


「「開け、"大地の神域"!」」


 凄まじい神の力が場の空気を震わして……

 吠えるような音と共にジとダを包み込んだ後。

 私と共にジとダはその場から消えた。





 数分後。

 私は現実世界へと帰ってきた。

 私の神域に引きずり込んだのは良かったものの相手の受肉した核の部分が肉体と同質かつ移動させていると気づいてからが大変だった……


 ただ。

 今私達の前にいる2つの気味悪くうねる塊は正真正銘の核。

 なんとか瀕死になるまで追い詰めれた。


 もはや念話も弱々しく雑音だらけで何を言いたいかもわからない。

 問題はここから。

 普通に倒すと神なのでまた受肉前に戻るだけ。


 少し時間はかかるだろうが根本的な解決にはならない。

 そろそろ来てくれると良いんだけれど……


「それが今回の奴か?」


「あ、キルルさん!」


 しっぽのような蛇の頭を2つと犬のような体と頭1つ。

 地獄の番犬ケルベロスのキルルさんだ。

 実際に地獄の番犬なのかはしらないが。


 悪魔だと……月の神だと判定できた時点で彼女に連絡していた。

 もともと迷宮から見える第二の月は神の牢獄……もとい隔離所らしい。

 魔王復活を裏で手を引いていたのも彼らが地上に戻るためと聞いている。


 キルルたちはそこに住みながらも地上におりることを許されている。

 つまりは監視側の勢力らしい。

 詳しいことは聞いてないというか聞けないけれど……


 なので漏れ出た彼らを連れ戻すのも役目……なのかな。


「ご苦労。コレで5体目か……」


 アノニマルースはそんな悪魔たちの侵攻に若干なれてきている。

 実はわざわざ話すほどでもないくらいよく襲われていた。

 豊富なエネルギーは私の存在で神力を通して見えてどうしても目立つのだとか。

 ただ……


「事前の話だと、こんなに強力なのが頻繁に出てくるはずはない、とのことだったんですが……」


「まあ……そいつもこちらでは雑魚でしかないが、奇妙だな……地上に降りるまでに著しい弱体を受けるはず。ゆえに、生物へ寄生する必要があるのだが、5体とも自力受肉……? やはり、一度魔王関係で結界がおかしくなって……」


「魔王が地上を月に変えかけた、アレのせいですか?」


「……いや、ここからは私の仕事だ。任せてもらおう」


 正直かなり気になるが……

 キルルの神としての仕事ならば仕方ない。


「そういえば……あのふたりが静かなような」


「くねねとにょろろか? それなら、少し静かにしてもらっている」


 キルルは話しつつ私を通り過ぎ歩む。

 背後には蛇の頭2つ。

 普段はおしゃべりのくねねとにょろろだが。


 ……なぜかふたりの口に特大キャンディが詰め込まれていた。

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