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四百九十七生目 同体

 避難所だってあの無限湧き粘体が周りにいるだろう。

 少なくない戦力を割かないといけない。

 だからこそ……


「ランムさん、街の民たちの安全確保なら、やってもらえますか?」


「……それならば、引き受けます。ただ、あの上空にいる敵をどうにかしできるという保証があるならばです」


「それなら大丈夫です、私が倒せそうですから」


「えっ……!?」


 周囲の魔物たちが追いついてきて月組の周りを守るように囲む。

 これなら安心。

 ということで空に跳ぶ!


 エアハリー風に縮んで背から針の翼を伸ばす。

 欠損状態でも飛べるのだが実は最初からない状態と判定が違うらしくスキル的に著しく効果が落ちる。

 伸ばしておいたほうが良いということだ。


 そのまま空に行く。

 地上の方は私を見上げているけれどとりあえず安全は大丈夫そう。

 無限にわいてくる粘体はそんなに強くない。


『そっちに行かなくて本当に良いのか?』


『イタ吉、うん、まず街の方を頼んだ!』


『わかったぜ!』


 イタ吉も私が無謀な戦いを仕掛けるタイプではないのは知っている。

 確かに相手は強いが…… 

 今回の強さは広範囲に被害を与えるタイプだ。


 対個にめちゃくちゃ強いわけではない。

 私は急いで空に加速していく。

 音の壁を越える……!


 そろそろ使おう。

 "魂分・同体の奇跡"だ!

 首からさがる竜の鱗で出来たアクセサリーに力を込めると……


 神力が解放され身を内から包む。

 この状態ならば神位スキルを使える。

 しかも当然私に注目が集まるわけで。


 上空に浮かぶジとダはゆったりとだが私の方に顔を向けている気がする。

 目に似ている光の部分がこちらに向いていた。


『『ヨコセエエェェェ!!』』


「うるさっ」


 念話なので意味ないが思わず耳がへたれてしまう。

 大丈夫……言葉そのものに精神汚染をかけるような余裕はないらしい。

 単純な声のデカさで勝負している。


 私はスキルを使用し(エフェクト)を纏う。

 すると上空からやはり私狙いのエネルギー砲が放たれてきた。

 球体状の(エフェクト)塊が大量に降ってきている。


 1つ1つは私を飲み込む程度の大きさ。

 わざわざ食らうまでもないだろうし……

 地上は大丈夫。


 エネルギーの塊が目の前に迫ってきた段階でスキルが動く。

 私が2つに別れ(・・・・・)て弾を避ける。

 さらにもうひとつ分裂する。


 合計3体の私。

 これは分身じゃない。

 正真正銘全部私本体だ。


 私自身の最大行動力を一時的に犠牲にして少しずつ減った3体で動いているが戦闘は全員フルで可能。

 私と言えば効率のいい行動力消費量みたいなところがあるからね。

 ただ今の所慣れていなくて戦いとして出せるのは3体まで。


 なぜかといえば……


「"私"に遅れるなよ!」


「まったく、"わたし"が空でおくれるわけないよ、ふあんなのは……」


「だ、大丈夫……ちゃんとひとりで出来るから……」


 3つの人格を割り当てているだけ。

 理屈上は神力のある限りどれだけわかれてもそれぞれの私が担当してくれる。

 しかしどうも戦いへリソースを割くさいに全力でやりにくい。


 おそらくは慣れの問題だ。

 ドラーグは出来ているし。

 種族のスキル魔法という本能に裏打ちされたものと神位スキルというマニュアルドライブ化されたスキルとの違い。


 ただ最大のパワーで戦えるのが3体というだけでも良しとしよう。

 普通なら分割して最大値減少状態はかなりの致命的だけれど……

 私にとってはなんの問題もない!


 アノニマルース側にエネルギー球が届くと空中でバチバチと散る。

 結界の力だ。

 もしそのまま食らっていたら恐ろしいくらい結界が削られている。


 能力差ではなく格の差。

 神力相手なので神力でガードしないとおぞましいほど食らってしまうのだ。

 私の領域なのでセーフだった。


 私達は(エフェクト)の尾を引きながら空に舞う。

 普通の星ならば空気が薄くなっているだろう。

 普通の星じゃない小さな世界なので平気だが。


 そこまできてやっと敵の真ん前までこれた。

 ジとダは私の方に向けて顔を向ける。

 鼻の穴として形成されていそうな部分に私が入れてしまいそうだ。


「とりあえず、ボコるか」


 ドライの掛け声で全員が一斉に魔法を放つ。

 稲光。豪炎。極光。

 ジとダの表面に当たり弾け傷を刻む。


 怒りのあまり念話で理解不能な叫びで吠えてきた。

 とりあえず距離は詰めた。

 あとは弱点見つけて倒す!




 ……そこからの戦いはランムによるとまるで神話のようだったという。


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